2014年05月04日

toujyouka016.jpg 共稼ぎと専業主婦の推移

「夫だけが外で働き妻が専業主婦」という55年体制時代の「標準家族」は
だんだんと減ってきて、「夫婦共稼ぎ」の世帯が増えていることは、
多くのかたが予想し、かつ実感もしていることだと思います。
それをグラフでしめした図があるので、ご紹介したいと思います。

「増える共働き・減る専業主婦…共働き世帯の増え方をグラフ化してみる」

 
はじめに「男性雇用者と無業の妻からなる世帯」と
「雇用者の共働き世帯」の数の年次推移をグラフにしたものをしめします。
1980年からのデータと、2001年からのデータを並べておきます。

共働き等世帯数の推移(万世帯)

共働き等世帯数の推移(万世帯)(2001年〜)

このグラフは「単身世帯」「夫婦ともに非雇用世帯(年金生活者など)」
「世帯主が事業者(経営者や個人事業、商店主など)」
「農林業従事者世帯(農業で生活している人など)」は含まれないです。
よってまさに一般的にイメージするであろう「サラリーマン家庭」の中で、
「妻が専業主婦の世帯」と「共稼ぎ世帯」を比較していることになります。

共稼ぎ世帯の増加傾向と、専業主婦世帯の減少傾向はあきらかですね。
1980年代は専業主婦世帯が共稼ぎ世帯よりずっと多かったのですが、
1990年代で両者がほぼ同数になっています。
そして2000年代以降は共稼ぎ世帯のほうが、専業主婦世帯より多くなっています。

5月3日エントリでご紹介の、配偶者控除の廃止に関する
ちょっと変な記事には、2010以降のデータも載せてあります。
震災の影響でデータに不備がありますが、2010年代に入って共稼ぎ世帯は
さらに増えていて、専業主婦世帯が減っていることがわかります。

「共稼ぎ等世帯数の推移」


2010年代のいま、「夫が働き妻が専業主婦」は
すでに「標準家庭」ではなくむしろ少数であり、
「夫婦共稼ぎ」が「あたりまえ」になっていると言えます。
今後もこの傾向はさらに強まることは容易に予想できますね。
「固定的な役割分担が合理的」などというのが、
いかに時代に合わないピントのずれた考えであるかがわかります。

やや意外な点があるとすれば、景気がよく男女雇用均等法がなかった
1980年代のほうが共稼ぎ世帯の増加率が大きく、
均等法が実行され、不況で妻も働く必要が出て来た1990年以降は、
共稼ぎ世帯の増加率が鈍くなっていることだと思います。

3月7日エントリで、女性の多くは派遣やパートなどにあてがわれることで、
女性の労働力率が上がったことをお話ししました。
「夫婦共稼ぎ世帯が増えた」と言っても、すくなくない女性が
非正規雇用にまわされていることは、注意が必要だろうと思います。

「M字カーブ緩和の原因」


ついで「男性雇用者と無業の妻からなる世帯」と「雇用者の共働き世帯」の
全世帯にしめる割合の年次推移をしめします。
これも1980年からと2001年からのグラフを並べておきます。
「全世帯」にはさきのグラフからはカウントを除外した
単身者や年金生活者、個人事業者や農林業従事者も、全部含まれます。

共働き等世帯数の全世帯数に占める割合推移

共働き等世帯数の全世帯数に占める割合推移(2001年〜)

1980年代は共稼ぎ世帯の割合は増えていたのですが、
1990年代以降ほとんど増えていないことがわかります。
共稼ぎ世帯の絶対数は増えているのですが、
非婚世帯や非サラリーマン家庭も同時に増えているので、
全世帯にしめる割合はほとんど増えていないのだと思います。

1990年代の男女雇用均等法とバブル崩壊以降の不況は、
夫婦共稼ぎ世帯を増やしたのだろうと思いますが、
それ以上に単身者を増やしたものと思います。
また高齢化が進むことによって、年金生活者も増えているのでしょう。

さきにお話しした1980年代よりも1990年代のほうが、
共稼ぎ世帯の増加が鈍くなったのは、「夫婦共稼ぎ」以前に
結婚しない(できない)人が増えたということではないかと思います。

posted by たんぽぽ at 22:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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