5月28日エントリでお話した、日本の人口を50年後も1億人を維持するという
政府の「選択する未来」委員会の目標設定の続きです。
「人口、50年後に1億人維持 政府が少子化対応で初目標」
「人口 50年後に1億人維持 政府が初の目標 少子化に対応」(全文)
(はてなブックマーク)
「人口維持、経済制約に危機感 制作設計の土台に」
「経済制約に危機感 人口維持 政策設計の土台に」(全文)
「日本の人口、働き手は50年後に半減」
「日本の人口 働き手は50年後に半減」(全文)
>移民の受け入れ
「選択する未来」委員会は、移民の受け入れも検討していたのでした。
今回の目標設定では、移民の受け入れは一旦棚上げになったようです。
記事には「戦略的に受け入れる」とだけ書いてあるのですが、
これは具体的にはどういうことなのかと思います。
http://lacrima09.web.fc2.com/figs/population-target1.html
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外国人材の活用に関しては「移民政策としてではなく
外国人材を戦略的に受け入れる」とする。
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日本社会が外国人を受け入れると言った場合、
1. 開発途上国から安い労働力を受け入れる
2. 技術や専門知識のある「高度な」人材を受け入れる
のどちらかなのですよね。
外国人を「都合のいい労働力」と考えているということです。
もろに「アウトサイダー」扱いしているということですよ。
「戦略的に受け入れる」も、察するにこうしたことではないかと想像します。
人口政策を議論しているのに、外国人を「自分たちの社会で
いっしょに暮らす同胞」と考えられないうちは、
まだまだ「本気になっている」とは言えないですね。
移民の受け入れは与党内からの反対があったとありますよ。
http://lacrima09.web.fc2.com/figs/population-target2.html
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与党内の反発に配慮し今回の提言では移民の導入を見送ったが、
一定の移民を受け入れて、日本の活力を高めるべきだとの見方もある。
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「女性の活用」に関しては感情的反発もあいかわらずあるものの、
それなりに受け入れられているあたり、ジェンダーや家族に因習的な彼らも、
ある程度はしかたなしに認めざるをえないと思っているのでしょう。
(安倍首相に逆らえないのもあるのかもしれないですが。)
移民に関しては、「ガイジンを日本社会に入れられない」という
感情的反発を前面に出す余裕が、まだまだあるのだろうと思います。
経済合理性よりも差別感情を優先していられるというのは、
それだけ「追いつめられている」という意識がとぼしく
まだ余裕があるつもりでいる、ということだと思います。
>子ども手当て
記事では子育て支援の必要についても述べられ、子ども手当てにも言及があります。
「中途半端なまま終わった」と、他人ごとのように書いていますが、
自民党や官僚やマスコミがこぞって子ども手当てを
潰しにかかったことを、いまどう思っているのかと思います。
http://lacrima09.web.fc2.com/figs/population-target2.html
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民主党政権が目指した子ども手当ては2兆円を超す
巨額な資金が必要で、財政難から中途半端なまま終わった。
経済財政諮問会議では第3子以降の給付を手厚くする議論もあるが、
年100万円の給付には3兆円の財源が必要になる。
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当時は民主党の政策だからとか、官僚の裁量権がないからといった
近視眼的な動機で、とにかく子ども手当てを潰すこと自体が、
目的になっていたと思います。
「かぎられた財源でも可能なかぎり実現しよう」とか、
「とにかく制度を定着だけでもさせよう」といったような、
建設的な議論はほとんどなかったのでした。
少子化対策の緊急性なんて、ぜんぜん認識されていなかったですね。
それゆえ安心して子ども手当てつぶしができたのもあるのでしょう。
団塊ジュニア世代が出産適齢期の上限に達していて、
少子化対策で人口が増える最後の機会だと言われていましたが、
こうした警告を顧みられることはほとんどなかったのでした。
「あのとき子ども手当てをつぶしたのは間違いではなかったか?」
という反省は、いまのところぜんぜん出てこないですね。
「子ども手当ては民主党がだめだった」くらいに思っているのでしょう。
もっともっと追いつめられてからでないと、
過去を愚行として後悔する気にはならないのかもしれないです。
経済財政諮問会議の検討している、第3子以降の給付を手厚くする案は、
「財源がたりない」と言ってつぶした子ども手当てよりも、
さらに多くの財源が必要というのが、失礼ながら失笑します。
彼らもまた民主党の政策をさんざん批判したのでしょうか?
その民主党の政策よりすぐれたものを作れないようですね。
そして「少子化対策のためなら、財源はなにがなんでも確保しろ」
という論調には、まだなっていないようですね。
まだまだお金を出し惜しみする「余裕」はあるということです。
少子化に対する危機意識は、いまのところ「その程度」のようですね。
「少子化に無関心な世間」