5月15日にあの「少子化危機突破タスクフォース」の会議がありました。
そのときの議論のようすを、ツイッターでつぶやいた参加者がいらして、
それがまとめられているので、ご紹介したいと思います。
「少子化危機突破タスクフォース(第2期)の開催について」
「5/15(水)少子化危機突破タスクフォース(第2期)第4回まとめ」
「出生率の数値目標、提言見送り 政府会議で賛否割れる」
「出生率の数値目標、提言見送り 政府会議で賛否割れる」(全文)
これは5月28日エントリと5月29日エントリでお話した、
「目標1億人維持」の「選択する未来」委員会の会議とはべつものです。
ただし「少子化危機突破タスクフォース」の議論も、
「選択する未来」委員会が調査した数値を参照しています。
会議のおもな議題は、「出生率の目標を設定するか」だったのでした。
https://twitter.com/worklifeb/status/466822545933492224
========
今から内閣府の少子化危機突破タスクフォース会議に参加します。
冒頭に、今注目の、出生率の目標をどうするべきか、
について意見を述べる予定です。
========
https://twitter.com/8bit_HORIJUN/status/466833547399950336
========
内閣府少子化危機突破タスクフォース、今回の議題は
「合計特殊出生率を数値目標を設定するべきか否か」。
========
4月24日エントリと4月25日エントリでも、「少子化危機突破タスクフォース」は
出生率を数値目標とする提案を出したことをお話しましたが、
今回の会議の内容も、それとほぼおなじもののようです。
「出生率上昇に数値目標?」
「出生率上昇に数値目標?(2)」
出生率の数値目標を設定すること自体に反対する意見も出ています。
数値目標の設定が国家ではなく国民個人の目標ととらえられ、
女性に出産を押し付ける圧力となりかねない、というものです。
これをご覧の多くのかたもおなじ懸念を持っているのではないかと思います。
さらに数値目標反対の理由として、出生率が回復している国でも
出生率の数値目標は設定していないこと、そして数値目標よりも
具体的な政策実行をさっさと進めることが大事、という指摘が出ています。
このあたりは、以前のエントリで取り上げたことにもあったことです。
https://twitter.com/Hiroki_Komazaki/status/466823906431467520
========
宮本参事官「これまでの議論では『出産を押し付けているかのように、
とらえられかねない』という意見もある。また『フランスやスウェーデンでも、
出生率等は使われていなかった』という意見もある。
『数値目標は慎重であるべき』『人権の議論が先だ』という意見も。」
========
https://twitter.com/Hiroki_Komazaki/status/466824922317090818
https://twitter.com/Hiroki_Komazaki/status/466825372999221248
https://twitter.com/Hiroki_Komazaki/status/466826293598617600
========
伊藤和子(ヒューマンライツ)「子どもを産むか産まないかは、女性の自由。
国家が個人の自由を侵害すべきではない。
リプロダクティブヘルスライツ、人権の侵害になる恐れがある。」
「女性達は女性手帳の際も、押しつけと感じ猛反発した。
一方で、産みたくても産めない方々もいる。不妊治療や貧困状態にある女性。
こうした人々にきちんと対応していかねばならない。
マタニティハラスメントにあっている女性もいる」
「合計特殊出生率を設定して、女性の権利を侵害するのではなく、
こうした産み育てやすいインフラ整備をしていくことが重要だ。」
========
なんらかの数値目標は必要だという意見も出ていました。
それはあくまで国家の目標であり、個人の目標ととられないよう、
くりかえし確認するようにはしています。
国家に数値目標が必要なのは、国が対策の達成度を確認する
必要があるからであり、また目標を定めないことで結局なにもせずに
終わることのないようにするためです。
https://twitter.com/Hiroki_Komazaki/status/466834174007967745
https://twitter.com/Hiroki_Komazaki/status/466835393048887296
========
山田正人委員「数値目標は必要だ。選択する未来委員会事務局は、
人口1億人維持を骨太の方針に盛り込もう、と頑張っている。
甘利大臣の方でここまで踏み込んでいるのに、森大臣のところで
目標設定を先送りにすることは、梯子を外すことに等しい」
「2050年から振り返って、あの時なぜ本気で目標を立てることをせず、
逃げてしまったのか、と思われないようにしなくてはならない。
作文だけ書いて何もしなかった、という事例は、これまでいくらでもあった。」
========
https://twitter.com/Hiroki_Komazaki/status/466836877283049472
========
成澤委員(文京区長)「何らかの目標があるべきだ。
政府の目標だ、ということに賛成。以前から、そういう議論をしてきた。
我々が産めよ増やせよ、という議論をしている、というミスリードがされている」
========
数値目標として「希望出産数達成度」を設定する案も出ています。
https://twitter.com/Hiroki_Komazaki/status/466828942817517569
========
駒崎弘樹「政策目標を設定すべきだ。
でなければ政策の投資対効果や達成度が測れない。
そこで、国民の『生みたい子どもの数』と
『実際産んだ(産めた)子どもの数』の達成度合で考えるべき。
『希望出産数達成度』のようなものを設定したら良いのでは。」
========
結局どうなったのかですが、朝日新聞の記事を見ると
http://lacrima09.web.fc2.com/figs/taskforce-target.html
========
「何らかの目標設定は必要」としながらも、焦点だった出生率の
目標では賛否が割れた。報告書は、様々な意見の併記にとどめる見通しだ。
========
とあります。
出生率その他の数値目標を取りやめるとはしてないけれど、
設定することも決められずじまいということになりそうです。
上記まとめのツイートをなさっていた駒崎弘樹氏は、
数値目標を設定することは、あくまで政府や企業のためであり、
個人の目標ではなく女性に出産の圧力をかけるものではない、
ということを、あらためて念押ししています。
https://twitter.com/Hiroki_Komazaki/statuses/466847603552813056
========
駒崎解説:数値目標設定は、女性の生き方に踏み込む話になるということで、
メディアネタとしてはおいしく、内容と関係なく炎上していく、
という不幸な環境でした。しかし、目標自体は個人に課すものではなく、
政府や企業が持って、施策の効果を検証するものです。
========
このように繰り返し言われるのですが、それでもなかなか
信用できないかたもたくさんいるだろうと思います。
かかる不信感が出てくるのは、やはり安倍政権が主導しているから、
ということが大きいのではないかと思います。
https://twitter.com/akupiyocco/status/467301585643909120
========
例のタスクフォースの議論。数値目標は政府の目標だと言っても、
信じられない人が多いのは安倍政権の日頃の行いゆえだろう。
やはり多様なライフスタイルの宣言をしないで、少子化の解消をすすめても
負担感や拘束感ばかりが募り、逆機能しか持たないんじゃないか。
========
安倍晋三首相は「純潔思想」や「家族のカチ」を信奉しているし、
10年前はジェンダーフリーバッシングを主導していたのでした。
女性の権利やライフスタイルに無理解であり続けてきた人が、
きゅうに「経済発展のために女性活用」と言ったところで、
お金のために「女性を活用」したいのだろうとしか
思われなくても無理もないことだと思います。
「安倍政権・女性活用の不信」
「安倍政権・女性活用の不信(2)」
となれば、政府会議が少子化対策の一環として出生率に
数値目標を定めると言い出せば、「お国のために子どもを
産んでもらおうという圧力になるのではないか」と
警戒されるのも、むべなるかなです。
付記:
出生率の数値目標は個人、とくに女性への圧力とならないよう
配慮する必要があるが、国家には必要という主旨の記事。
「出生率・出生数の数値目標からは逃げられないのではないか?」