2014年06月04日

toujyouka016.jpg 少子化危機突破TFの議論

少子化危機突破タスクフォースのメンバーですが、
つぎの資料を見ると昨年の第1期とおなじく、
そうそうたるかたたちが集まっていることがわかります。

「少子化危機突破タスクフォース(第2期)の開催について」
「5/15(水)少子化危機突破タスクフォース(第2期)第4回まとめ」

集まったメンバーを見ていると、安倍政権が少子化に対して
危機意識を持っていることはたしかかもしれないです。
危機意識がたりなかったら、それこそおかしな人たちばかり集めて
見当違いの議論ばっかりやっているだろうからです。

 
まとめられたツイートをいくつか見て行きたいと思います。
わたしがいままでに話題にしたことも出て来ています。
ここにあらためて並べることで「復習」をしたいと思います。

>地方から若年女性が流出


これは日本創成会議が発表した衝撃的な調査ですね。
人口自体も減少するのですが、若年女性の減少率はさらに高いのが特徴です。

「地方から女性が消える」

若年女性の減少率ワースト自治体


>家族関係の公的支出


日本の大学は授業料がとても高いのに、奨学金などの援助がすくない
OECD加盟国の中でただひとつの国ですね。
日本が教育に予算を割かないことがよく反映されています。

「学費は高いわ援助はないわ・・・日本の高等教育@OECD」

Average tuition fees (USD) vs. the percentage of students receiving public subsidies for higher education, 2008-09

日本は家族・子ども向けの公的支出もOECD加盟国の中ではすくないのでした。
そして高齢者向け公的支出に偏重をしています。

「福祉のバランス 子どもに冷たい日本の福祉」

高齢化対策に対する少子化対策の相対ウェイトと出生率(少子化対策に教育費公的負担を含む


>ワークライフバランス


仕事と家庭の両立の負担が女性に多くのしかかっていることも大きいですね。
OECD加盟国の中では、日本人の男性はもっとも家事時間が短いです。

「家事をしない日本の男」
「家事をしない日本の夫」



総労働時間に関しては、日本は残業時間が「男女平等」で
男女でほぼおなじ長さという、ただひとつの国という調査があります。
ほかの国は男性のほうが残業時間が長いのですね。

「世界各国の残業時間」

男女別長時間勤務者の割合

かくして日本人女性の睡眠時間は、世界一短くなるのですね。
男性より女性のほうが睡眠時間が短いというのも、
ほとんど日本だけのきわだった特徴です。

「日本女性の短い睡眠時間」
「日本女性の短い睡眠時間」



>シラク3原則



今年の2月の『ウェッジ』にライフネット生命出口治明会長の
インタビュー記事が載ったことがありました。
上記のツイートは、この内容を参照しているものと思います。
わたしもブログで取り上げたことがあります。

「少子化は文化を滅ぼす仏の「シラク3原則」に学べ」

「出生率回復のシラク3原則」
「公平性重視の少子化対策」

出生率の回復のためには、シラク3原則に加えて婚外子を差別しない
PACS(民事連帯契約)を導入していることが指摘されています。
日本であれば、婚外子差別の撤廃と選択的夫婦別姓を認める
民法改正が必要だということになるでしょう。


>2050年の世界一悲惨な国



日本は2050年には少子高齢化で世界一悲惨な国になる
という、『エコノミスト』紙の予測があるのですよね。
現在の日本は「歴史の被告人席」に座っているとわたしも思うし、
いまのままでいけば、後世の人たちから
「なぜ効果的な対策をしなかったのか」と批判されると思います。

「2050年の世界一悲惨な国」

「歴史の被告人席」といえば、10年前にジェンダーフリー
バッシングをしたことや、5年前に子ども手当てをつぶしたという
「実績」がすでにあるのですよね。
これらは現時点で振り返って問題にできることだと思うのですが、
いまのところこれらを「過去の愚策」と批判する論調はないですね。

posted by たんぽぽ at 07:18 | Comment(2) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
もし、少子化対策に数値目標を掲げるとすれば、
「高齢化対策に対する少子化対策の相対ウェイト比率(教育費含む)」にしたいですね。

高齢者向け福祉を削って子供向け福祉に充てるというのが私が掲げる少子化対策の中核部分です。
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n44839

高齢者層の理解を得ることが大変ですが、日本で
教育費を含む子供向け公的支出が高齢者向け公的支出の1.5倍ほど
(OECD諸国の平均的レベエル)にできれば
グラフの相関線から見て出生率1.6前後になりそうです。

現実的には高齢者向け福祉を対立軸に置くような目標は設定しにくいでしょうけど。
Posted by ritiarno at 2014年06月07日 01:11
ritiarnoさま、
このエントリにコメントありがとうございます。

>少子化対策に数値目標を掲げるとすれば、
>「高齢化対策に対する少子化対策の相対ウェイト比率(教育費含む)」

それはよさそうですね。
あきらかに国家の目標だとわかるし、
個人の目標と取り違えられる心配もなさそうですしね。

>高齢者向け福祉を削って子供向け福祉に充てるというのが
>私が掲げる少子化対策の中核部分です

日本の公的支出が高齢者向けに偏っていて、
少子化の原因のひとつになっているのは、データで示されていますからね。
リソースが限られているとすると、家族と子ども向け公的支出を
捻出するためには、高齢者向け公的支出から、
ということにならざるを得ないですね。

高齢者向け公的支出を、家族と子ども向け公的支出に
どれだけ回せるかというのは、5月28日エントリでお話した
「選択する未来」委員会も提言していましたね。
http://taraxacum.seesaa.net/article/398075114.html

肝心なのはどれだけ実行できるかですよね。
ご指摘のように高齢化社会ゆえに、高齢者層の理解を得るのがむずかしいですし。
猛反発が出そうに思います。
Posted by たんぽぽ at 2014年06月08日 23:50
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