2014年06月08日

mar0006.gifサンタバーバラの非もて

5月31日エントリの最後ですこし触れましたが、
カリフォルニアのサンタバーバラで銃乱射をした「非もて」のお話です。
女性にもてないことの恨みで「女に復讐した」という男がいたのですよ。

「ツイッターで「女性嫌悪」反対運動、米銃乱射事件受け」
「銃乱射容疑者の「女性蔑視」、ツイッターで議論に」
「AKB48襲撃事件とカリフォルニア銃乱射事件 
二つの犯罪の裏にある「女性が安心して過ごせない社会」」


NAVERまとめに事件の経緯や背景事情が、かなりくわしく載せられています。
女性への暴力描写があるので、「トリガー(トラウマの引き金)注意」の
警告が出ています。閲覧の際には注意したほうがいいでしょう。

「「僕は完璧なのに」、「女はみな殺してやる」……
米連続殺傷事件、「非モテ」男の語り残したこととは」


 
銃撃犯は22歳の男性で、サンタバーバラの学生街で銃を乱射したのでした。
6人が死亡し7人が怪我をしました。銃撃犯もなくなっています。
6人のうち3人は刺殺によることがあとからわかっています。
米カリフォルニア州サンタバーバラ近郊の学生街で23日夜、
男が車中から銃を乱射し、6人を殺害した。7人が負傷し、犯人も死亡した。
米主要メディアが伝えた。
現場はカリフォルニア大サンタバーバラ校の近く。
男は治安当局者と撃ち合いになり、別の車に衝突。車内で死亡しているのが見つかった。

銃撃犯が自分でYoutubeにアップロードした「犯行声明」が書き起こされています。
このYouTube動画はすでに削除されているようです。
The Gunman's Name is Elliot Rodger.
Last night, he posted a chilling manifesto to youtube.
Announcing that he is a 22 year old Virgin
who has never been kissed he says:

"It's not fair. You girls have never been attracted to me.
I don't know why you girls have never been attracted to me,
but I will punish you all for it. It's an injustice, a crime,
because I don't know what you don't see in me. ...

銃撃犯の名前はエリオット・ロジャー。
昨晩、彼はYouTubeに犯行声明をアップロードした。
自分は22歳の童貞でキスさえもしたことがないと訴えている。

「公平じゃないよね。君たち女の子はぼくにぜんぜん惹かれない。
なんでぼくは女の子に惹かれないのかわからないんだ。
だからぼくは君たち女の子を罰することにしたよ。不法なやりかた、違法行為でね。
君たちがぼくのなにを見ないかわからないんだ。

前に補助ブログで「非もて」の精神構造は
「非もての精神・思考構造」
1. 女性の気持ちが自分の思い通りになると思っていて、
 それが思い通りにならないので、他人や社会のせいにする。
2. 女性を男性どうしで配分する「資源」と考えていて、
 その「資源」が自分に回ってこないので、被害者意識を持つ。
のふたつがあると、わたしはお話したのでした。
サンタバーバラの「非もて」はこのうちの1.が突出したことになるでしょう。


この「非もて」、自分で自分のことを「完璧な男(perfect guy)」とか
「最高の紳士(supreme gentleman)」とか言っているのですよね。
(ほかに「アルファな男(alpha man)」という表現もある。)
「自分はこんなにすばらしいのに、ずっとくだらない男にしか
くっつかない女たちはおかしい」という、「非もて」にありがちな発想ですね。

I'm the perfect guy, and yet you throw yourselves
at all these obnoxious men, instead of me, the supreme gentleman."
"I will punish all of you for it," he says again, and then he laughs.

「ぼくは完璧な男だ。それなのに君たち女の子は、
ずっと不愉快な男になびいて行く。最高の紳士であるぼくではなくてね」
「それゆえぼくはすべての女の子を罰することにする。」
ロジャーはふたたびそう言って笑う。

前に電車で事故が起きたら、乗客の女たちはみんな自分を
頼るようになるのではないか、なんて妄想する
やたら自意識過剰な「弱者男性」がいたのでした。
「非もて」とか「弱者男性」というのは、よくよく自分を客観視できないのか、
分不相応に自己評価が高いという特徴があるようです。


このサンタバーバラの「非もて」は、「男性権利運動
(Men's right movement, MRM)」なるものにも関わっていたのでした。
これは男性の解放とかいうまともなものではなく、
「弱者男性」とか「男性差別だ!」とか言っている人たちの運動ですよ。

The MRM is considered to be a backlash or
countermovement to feminism ...
The men's rights movement's beliefs and activities
have been criticized by scholars and others,
and sectors of the movement have been described as misogynist.

男性権利運動はバックラッシュないしフェミニズムの対抗運動と考えられる。
男性権利運動の信条と活動は、研究者などによって批判されていて、
運動の分野はミソジニーと解釈されている。

「非もて」も「弱者男性」の一種ですから、このたぐいの運動とは
親和性もよく、関わっていたとしても不自然ではないですね。
「自分に惹かれない女は許せない!」というのも、
「男としても既得権が得られないのを、社会や女性のせいにする」
ということの一環である、ということになるでしょう。
この「非もて」氏の被害者意識が見て取れるようです。

まとめを見ると、この「非もて」はメンタルヘルスの問題を
抱えていて、精神科の治療を受けていたとあります。
本来なら医者の治療を受けるところだったのでしょうが、
「男性権利運動」に救いを見い出した、ということかもしれないです。


またこの「非もて」は人種差別的傾向があるようで、
ご自身は白人とアジア系のハーフですが、
白人優越主義的思想に取り憑かれてもいたのでした。
白人女子とつき合っている男子の人種にやたらこだわったりしています。
さらにはこの「非もて」は優生学も好きで、
「女はいい遺伝子を求めている」がすべての前提にあったりします。

そしてこの「非もて」は、「すべての女性たちを巨大な収容所に
送り込んで餓死させる」といった妄想を膨らませるようになります。
さらには「ぼくを認めない女子たちをみんな抹殺してやる」という
自分のアイデアを「最終解決」と呼んだりもするのでした。

「最終解決」というのはヒトラー・ナチスによる
ユダヤ人絶滅計画に付けられたネーミングですよ。
人種差別意識があって優生学にこだわっていて、
「男こそ虐げられている」なんて被害者意識があれば、
ヒトラー・ナチスとおなじ発想になるのも、無理もないかもしれないです。
銃乱射は彼なりの「夜と霧」だった、ということなのでしょう。


この「非もて」の銃乱射事件によって、ツイッターで盛り上がったのが
「#YesAllWomen(そうすべての女性)」タグです。
これは、女性の権利やジェンダー問題について話題にすると、
「男がみんなそうというわけではない(Not All men)」と
わざわざ釈明する男がしばしば出てくるので
いい加減うんざり、という主旨で作られたタグでした。

女性(他人)の気持ちが自分の思い通りにならないなんて当たり前なのに、
なぜゆえそれに不満を言われて、女性が仮想加害者に見立てられ、
銃乱射されて殺されなければならないのかと思います。
つね日頃から、男性の暴力や性的嫌がらせに悩まされている女性たちは、
いい加減怒り心頭というものです。

CNNとAFPの記事を見ると、どちらも銃乱射事件のあと
「#YesAllWomen」タグができたと書いてあります。
わたしが見たところ「#YesAllWomen」タグが先にあって、
そこへ銃乱射事件が起きて盛り上がってきたように思います。


これを読んでいる日本の「非もて」諸氏は、
かかるサンタバーバラの銃撃事件をどう思っているのかと思います。
「最終解決」と称して女性を銃射撃するのですよ。
これでも「非もて」はなにかの被害者だと思いますか?
その被害意識は「ドイツはユダヤ人によって搾取されている」
というものと同種だとは思わないですか?

この件に関して、わたしがはじめて知ったことで
ちょっとした発見だったのは、外国にも「非もて」がいることですね。
日本にしかいないと思っていたのではないのですが、
日本以外の情報がなかったので、判断できなかったのでした。
「非もて」は英語では「incel」というのですね。
「involuntarily celibate(不本意な独身者)」を縮めたものです。

posted by たんぽぽ at 18:34 | Comment(4) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
 なあんか、非モテこじらせの最悪のケースですね。
 でも、国が違うのにメンタリティが同じって、非モテって思う以上に原初的な問題なのか、それともネットにも原因があるのか、共通の要因があるのか解りませんが。

>ちょっとした発見だったのは、外国にも「非もて」がいることですね。

 私は海外事情に詳しいわけじゃないので、あくまでも自分が知る範囲で外から見た感覚ですが。
 アメリカやヨーロッパーはカップル社会だとは聞きますね。オフィシャルな場では必ずパートナー同伴(必ずしも配偶者じゃなくても、娘や姉妹でも構わないようではありますが)それもセレブじゃなくて普通のパンピーの人でも。
 アメリカの青春ドラマとかで必ず出てくるハイスクールのダンスパーティのパートナー探しネタも、あれも若いときだけの話じゃなく、むしろ大人になって社会に出た時のための訓練だったのかしら?とか、上記のような話を聞くと思います。

 そういう社会では、日本よりも「非もて」であることが辛い面はあるかもしれないですね。
(だからといって犯罪については、なんら弁護の余地は無いけど)
Posted by イカフライ at 2014年06月11日 15:56
イカフライさま、
このエントリにコメントありがとうございます。

>国が違うのにメンタリティが同じって、非モテって思う以上に原初的な問題なのか、

びっくりするくらい日本と事情がおなじですよね。
「incel」なんて「非もて」に相当するスラングがあるのもすごいです。

前に紹介したネットの弱者男性の動画は英語だったし、
「弱者男性」の問題は、外国にもあるみたいなのですよね。
http://taraxacum.seesaa.net/article/386644848.html
非もても弱者男性の一種ですから、非もての問題も世界共通かもしれないですね。


>アメリカやヨーロッパーはカップル社会だとは聞きますね

それはわたしも聞いたことがありますよ。
そういう習慣のない日本人には、なんともやりにくいみたいなんだけど。
欧米のほうが、カップルでいてあたりまえという感覚が強く、
カップルでいない人にとって居心地の悪いものはありそうですね。

そういえば欧米ではお見合いの習慣がないそうなのですよね。
相手を探すのは自分でなんとかする、という社会通念なのですよね。
「非もて」は欧米のほうが深刻なのかもしれないです。
単にそういうのをだれも話題にしなかったというだけで。

日本は高度経済成長期以来「国民皆結婚」が保障されていたので
あまり問題にならなかったけれど、「国民皆結婚」が崩れて来た最近になって、
「非もて」が目立ち始めたということかもしれないです。
Posted by たんぽぽ at 2014年06月14日 00:45
また適当なことを…
彼が殺した6人の内4人は男なんだが
もうこの時点で非モテやら女が原因ではないって分かりそうなもんだけど
nofrillsとあなたの頭の中で「非モテがモテないのを苦に自分勝手な理由で女を殺した」というストーリーが出来上がっててそれに沿う情報だけ集めていたというのがよく分かる
女が憎いからまず最初に男(しかもアジア人)を殺す?おかしいと思わないのこれ
Posted by kinoko161616 at 2017年04月19日 07:20
>彼が殺した6人の内4人は男なんだが

AFPの記事を見たら男性の被害者は3人ですね。
被害者に男性が混じっているのは、
無差別に乱射したから、ということでしょう。

事前にYou Tubeで犯行予告もしているのだから、
もてないことの恨みつらみが動機であることは明らかです。
Posted by たんぽぽ at 2017年04月20日 21:52
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