というニュースがあるのでご紹介します。
婚姻届けを出した同性カップルは、おそらく日本国内では
はじめてではないかと言われています。
そうであれば不受理証明の発行もとうぜんはじめてになるでしょう。
「青森の女性カップルが婚姻届、市は憲法根拠に不受理」
(はてなブックマーク)
「不受理証明」というのは戸籍に関係する届け出を受理しないとき、
届け人が請求した場合役所が発行する証明書です。
戸籍法48条で「届出人は、届出の受理又は不受理の証明書を
請求することができる」と定められています。
「不受理証明(ふじゅりしょうめい)」
書類の不備をどのように訂正しても届けを受理できないとき、
届け人は不受理証明を請求できるようになります。
「法的に認められない」ゆえの「処分」の扱いであり、
法的不備をめぐって行政訴訟を起こす可能性が保留されることになります。
以前、夫婦別姓で婚姻届けを出そうとして、
おなじように不受理証明を発行されたかたもいらっしゃりました。
こちらは行政訴訟を起こしたのですが、残念ながら訴えは却下されています。
「事実婚へ移行(4):不受理証明書」
「不受理証明の活用」
「婚姻届を受け取ってよ裁判」
「事実婚夫婦の訴え却下、東京地裁 別姓の婚姻届不受理」
同性のカップルに対して不受理証明を発行したということは、
同性結婚を婚姻制度から締め出していることを
役所が認めたことになり、これが一定の成果というわけですね。
同性結婚の不受理証明を発行されたかたたちは、
今後は行政訴訟を起こすことも考えているのではないかと思います。
わたしが気になるのは、不受理の理由を憲法24条としていることです。
「両性の合意」とあるので、これは異性どうしの結婚しか
認めていないことをしめしている、と考えたものと思います。
「日本国憲法第24条第1項により受理しなかったことを証明する」
現在の憲法24条は、同性結婚についてはなにも規定しておらず、
同性結婚を禁止していはいないと考えるのが、一般的なのですよね。
なのでこの不受理の理由は、わたしにはしばし引っかかるものがあるのでした。
「同性婚と憲法の関係」
記事を見ると、同性結婚の婚姻届けを出したかたや、
性的少数者の団体のかたのコメントが載せられています。
不受理証明によって同性カップルが存在していることが
認知されたことが大きい、ということなのでしょう。
「性的少数者の存在に目を向けてほしい、婚姻制度を使えない人がいることを
知ってほしいと思い提出した。不受理の判断が出たここからが始まりだと思う」
「同性愛者というだけで、なぜ特別な努力をしなければならないのか。
社会の中で私たちは見えない存在なのか」
「社会制度の変革に向けて大きな一歩になっただけでなく、
地方にも性的少数者が生きているということを発信した。この意味は大きい」
付記:
はてなブックマークを見ると「こんなことで役所をわずらわせるな」
という主旨のコメントがいくつか見られるのですよね。
不受理証明の発行は戸籍法48条で定められた手続きですから、
申請があれば役所は発行しなければならないものです。
また行政訴訟を起こす際にも必要となるものです。
市民としてとうぜんの権利にして、役所のなすべき仕事なのに、
なにを言っているのかと思います。
そしてなにより問題なのは、同性愛者も婚姻届けを出すという
権利を主張することが、「こんなこと」と矮小化されたり
「役所をわずらわせるな」と無下に扱われる、という無理解でしょう。