2014年08月01日

toujyouka016.jpg 穴開きコンドームを配れ?

またまた政治家の少子化対策に関する暴言です。
愛知県の新城市議会で、子どもを産んでもらうために
穴の開いたコンドームを配ればいい、などと言った市議がいたのですよ。

「愛知 「穴開き避妊具配っては」 新城市議が一般質問」
(はてなブックマーク)
「新城市議:「穴の開いた避妊具配ったら」少子化対策で発言」
(はてなブックマーク)
「新城の長田共永市議「穴開き避妊具を配っては」 市議会で発言、議長が注意【愛知】」
(はてなブックマーク)

この発言をしたのは無所属の長田共永市議です。
6月18日の一般質問の中であり、野次などではなく正規の発言ですよ。
外に知られて新聞記事になったのは1ヶ月後の7月18日です。

 
共同通信の記事によると
「婚姻届を頂いた方には、来年の市制10周年の年に合わせて
子どもを産んでもらうために、穴の開いたコンドームを配ってはどうか」
というのが問題の発言です。
長田市議は取材に対し、「第三者や子どものいない人を非難するつもりはなかった。
品位にかけると言われればそうで、申し訳ない」と話した
と釈明しているのですが、問題はそこではないだろうと思います。

問題は「とにかく産めばいいんだ」という発想ですよ。
子どもを産んでも育てるだけの育児環境や、職場環境、経済的事情が
ないことが問題なのに、それがわかっていないのでしょう。
これについては「体使って本能のままいけば、子どもはどんどん増える」
という、少子化危機突破タスクフォースで出てきた発言と同種と言えます。


ところが「穴の開いたコンドーム」発言の場合、
問題はそれだけですまなくなってくるわけです。
避妊させないということですから、女性の性の自己決定権の侵害であり、
また女性の身体や生活を脅かす性暴力的発言にもなります。
「女が産まなくなったのが悪い」「女に産まない選択をあたえず、
とにかく産ませればよい」という発想が見え隠れします。

カナダで穴の開いたコンドームでセックスをした男に対して、
性的暴行で有罪判決が出たことがあります。
穴開きコンドームを使うというのは、強姦になるということです。
そんなことを市議会の一般質問で発言するのは、
いわば議会による強姦の勧めにもなるというものです。

「コンドームに穴あけ性行為、カナダの男が性的暴行で有罪」

長田共永市議の問題発言については、女性にだけでなく男性にも
コンドームに穴が開いていることをわからないようにする、
ということかもしれないです。
そうだとすると、男が女をだまして妊娠させるのとは違ってきて、
だまされた男性も被害者ということになるでしょう。

そもそもコンドームを使うのは避妊のためだけではないですね。
ご存知のように性感染症予防のためにも使われます。
長田共永市議は性教育の知識も怪しいことになりそうです。


新城市は「日本創成会議」が5月に発表した
消滅可能性都市に入った愛知県内での唯一の自治体になったのでした。
「コンドーム」発言もそれを気にしてのことのようですね。
まがりなりにも少子化への危機感を持ってはいるのでしょう。

「消滅可能性都市 新城市」

このところ政治家や有名人による少子化対策に関する
問題発言が目立つようになっていると思います。
ここ1-2年のあいだにきゅうに少子化対策が注目されるようになったので、
わかっていない人がわからないまま余計なことを
言うようになった、ということなのかもしれないです。

posted by たんぽぽ at 22:36 | Comment(3) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
長田共永市議の発言は少子化に対する無理解どころの話ではないですね。

今更ですが、避妊や堕胎といった受胎調整法を制限を加えたところで
日本を含む先進国で少子化が改善しないことは統計的に明らかです。

Yahoo知恵袋に類似の内容について書いたことがあります。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10126762240

少子化対策としての避妊・堕胎禁止の法制化を勧める意見は時折見かけます。
これだけでも捨て子や孤児、ストリートチルドレンを増やしかねず、大きな社会問題を生むだけではなく
女性の苦痛を倍加させかねない馬鹿げた意見だと思いますが…

穴あきコンドーム配布発言はそれに加えて性暴力推奨、詐欺推奨に当たりますから
市民の代表者たる代議士から出た発言とは信じがたいものがあります。
はっきり言って、都議でのセクハラヤジよりはるかに悪質です。

その対応はというと、議長注意と議事録からの発言削除…。いや、懲戒免職ものでしょう。
Posted by ritiarno at 2014年08月03日 19:55
関連事項として、以下にチャウシェスクによる堕胎・離婚禁止によって
何が起こったのか書かれていますので貼り付けておきます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%82%A8%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%A6%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%82%AF
Posted by ritiarno at 2014年08月03日 20:13
こちらにもコメントありがとうございます。

>長田共永市議の発言は少子化に対する無理解どころの話ではないですね

「なかば強制的にでも産ませればいいんだ」くらいに
思っているということなのでしょうね。
ひとむかし前の、「たいしたことを考えなくても
産んでしまえばなんとかなる」という時代のままの
感覚なのかもしれないです。

なので現在は多くの人たちにとって、子どもを産んでも
責任を持って育てられない育児環境や生活環境にある、
ということがわからないのですよね。
避妊や堕胎も、責任を持って子どもを育てられないゆえなんだけど。

>http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10126762240

ヤフーの知恵袋は、やはり変な質問をする人も多そうですね。
もっとやっかいなのは変な回答をする人でしょうけれど。
(さいわいにして、ご紹介の質問はあなた以外に回答はないですね。)


>少子化対策としての避妊・堕胎禁止の法制化を勧める意見は時折見かけます

育児環境や生活環境が変わらないまま出産を強制しても、
放置される子どもが増えるだけですね。

>その対応はというと、議長注意と議事録からの発言削除…。いや、懲戒免職ものでしょう

発言の告発ができないようルールを変えよう、なんてやっていますよ。
http://taraxacum.seesaa.net/article/403140693.html

組織の保身のために不正の告発をだまらせようということです。
いかにも「日本的」保身であり、ただただあきれるばかりです。


>以下にチャウシェスクによる堕胎・離婚禁止によって

いつもいろいろとご紹介ありがとうございます。
「チャウシェスク」の落とし子は、わたしもちょっと聞いたことがあります。
堕胎や離婚の禁止なんて、宗教の戒律みたいですが、
共産主義国的な家族管理でもあるということですね。
Posted by たんぽぽ at 2014年08月06日 20:32
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