小渕優子経済産業相がポジティブアクション(アファーマティブアクション)、
クォータ制に反対だと言っているのですよ。
「小渕優子も「女性に下駄をはかせるのは反対」じゃあ二世という下駄は?」
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出展は『新潮45』の2014年9月号です。つい先日の発言ですよ。
「【憂国女子酔談】女たちよ、政治家をめざせ!
野田聖子×小渕優子×金子恵美」という対談記事で、
小渕優子氏はこんなことを言っていたのです。
「クオータ制にはあまり賛成でないというのが本音。
機会の平等という観点から考えたときに、女だからという理由で
下駄を履かされるのはごめんですからね」
「女だからという理由で下駄を履かされる」というのが、
紋切り型過ぎて嫌になってしまいます。
なぜポジティブアクションが必要なのか、解説が必要でしょうか?
「世界一単純なアファーマティブアクションの解説」
(はてなブックマーク)
現状はまだまだ女だからという理由で、その能力に関わらず
政治の世界に出て来る機会が与えられないことが
しばしばあるのは、言うまでもないことでしょう。
「機会の平等という観点から考え」るからこそ、
ポジティブアクションは必要になってくるということです。
いまから3年前、2011年8月の女性差別撤廃委員(CEDAW)の
フォローアップでは、民法改正とポジティブアクションの導入に
特化したものだったのでした。
女性に平等に政治への機会を開くという観点から
早急に必要と、CEDAWも見ているということです。
「国連女性差別撤廃条約へ送付した NGOレポート」
小渕優子氏は、ほかの安倍改造内閣の女性閣僚のような
こちこちの右翼ではないでしょう。
それでもこれくらい女性の権利に「理解がない」ようですね。
いっしょに対談していた野田聖子氏が、その場で反論したのが
せめてもの救いだったかもしれないです。
野田聖子氏は自民党内でクォータ制の導入を訴えているのでした。
「私たちみたいな女性議員は、自分たちが実力があるだなんて驕ってはいけない。
(中略)少なくとも私たち3人は実力で議員になったんじゃない。
恵まれたバックグラウンドがあって議員になった。
その陰で、私たちよりも優秀な女性が、境遇に恵まれていないせいで
政治の世界に出てこられない現状がある。
そういう人たちの才能を活かすためにもクオータ制が必要なんじゃないかな。」
ご存知と思いますが、小渕優子氏は2世議員です。
親の地盤、看板、カバンをついで、容易に議員になっています。
そのようなふつうの人が履けない、あからさまな「下駄」を履くことは、
ぜんぜん「ごめん」ではないみたいなのですよね。
他の候補者は絶対持てない「元総理の娘」という看板に、
これまた親から譲り受けた強固な地盤と豊富な選挙資金。
政治的資質の有無についての審判なんて一切受けることなく、
すんなり当選を果たしてこれたのは、その「下駄」のおかげじゃなかったのか。
それを棚に上げて、「機会平等」とかどの口がいってるんだ!
世襲という「下駄」を履いて、政治的資質なんて関係なく、
悠々議員になっておきながら、「自分は実力で議員になれた、
だから女という理由で下駄を履きたくない」とでも
思っているのでしたら、どれだけおこがましいのかと思います。
最近安倍晋三首相が熱心な「女性活用」について、
小渕優子氏はつぎのようにやたら持ち上げているのですよ。
http://lite-ra.com/2014/09/post-447_2.html
「安倍総理はそういったところをわかっていらっしゃる。
だから、これだけ女性政策を進めてくださってる」
「日本のリーダーが。こんなにも女性政策を提言してくれるなんて、
今までなかったことですからね」
安倍首相の「女性活用」なんて、つい先日まで女性の権利に
まっこうから反対してきた人たちが、にわかに言い出したことです。
しょせんは「経済のため」であり、女性の権利とか生活なんて、
ほとんど念頭にないと思われ、すくなくない不信感を買っているものです。
「安倍政権・女性活用の不信」
「安倍政権・女性活用の不信(2)」
そのような「女性活用」を、かくも礼賛できるところに、
小渕優子氏の程度が伺えるというものです。
ここでも安倍政権の「女性活用」の本質が垣間みられる、
ということかもしれないです。