10月5日にパリで、反同性愛のデモとそのカウンタデモがあったのですよ。
そのカウンタデモに参加した日本人のかたのツイートを
まとめたものがあるのでご紹介したいと思います。
もちろん反同性愛のデモのほうも見て、感想を述べています。
「「今日、パリは地獄でした」@Yasu9412 さんのみた「みんなのデモ」」
(はてなブックマーク)
2013年4月に、フランスでは同性結婚を認める法案が可決し、
5月から施行されることになったのでした。
このときも同性結婚の反対派が、大規模なデモを繰り広げたのでした。
彼ら反対派は定期的にデモを行なっていて、
今回のデモもそのうちのひとつということなのでしょう。
(MPT主催とありますが、MPTがなんの略かわからなかったです。
ご存知のかたがいましたら、教えていただけたらと思います。)
https://twitter.com/Yasu9412/status/518437181874921472
https://twitter.com/Yasu9412/status/518437564152164352
========
2012年、フランスで同性婚反対のために生まれ、
多くの市民を動員してきた「みんなのデモ」運動。
今年2月には「政府は『家族』を嫌悪している」という主張の下、
警察発表で10万人もの市民がパリに集まったとされる。
前回の10万人集めたデモ行進から8カ月が経過した明日の日曜日、
「みんなのデモ」はパリでデモを呼びかけている。
今回のターゲットは「医療補助による生殖」「代替出産」「性差の否定」などだ。
パリとモンパルナスでデモは行われる。
========
デモの名称がなんと「みんなのデモ」ですよ。
この「みんな」には同性愛者は含まれないことはあきらかです。
彼らにとっての「みんな」とは多数派だけの世界ということです。
任天堂が同性愛者のいないゲームを作って猛抗議されたとき、
産経の記事が「家族みんなで楽しめるゲーム」が理想などと言って、
任天堂の同性愛排除をかばったのですよ。
少数派を排除する人たちというのは、多数派だけの世界を
「みんな」と考えるのが相場なようですね。
「みんなのデモ」は、ほかに「性差の否定」反対をスローガンに掲げています。
これはおそらく、むかし日本でもさかんに叫ばれた
「行き過ぎたジェンダーフリー反対」と、同様のものだと思います。
「みんなのデモ」は家族に関して因習・反動的な人たちのデモであり、
日本でいえば「家族のカチ」を信じている人たちに相当するのでしょう。
特徴的なのは、反同性愛のデモ「みんなのデモ」の参加者は、
ほとんどが白人ばかりということですよ。
パリやその郊外はさまざまな人種のかたがいて白人ばかりではないし、
場所によっては白人がすくないこともあるくらいです。
よって「みんなのデモ」は、選択的に白人が集まっていることになります。
https://twitter.com/Yasu9412/status/518787859676143616
https://twitter.com/Yasu9412/status/518789067958665218
========
しかし、胸を引き裂かれるような辛さに耐えながらも
注意してずっと何キロも何十キロも続く数十万の人の波の中を
見ていましたがとうとう一人も、黒人やアジア人、
ムスリムの姿を発見できませんでした。
しかし今日の主催者発表で50万人集まったとされる「みんなのデモ」では、
ほんとうにいくら探しても白人以外の姿はありませんでした。
彼らの「みんな」には、性的少数者だけでなく、
あらゆる有色人種も含まれないようです。
========
「みんなのデモ」が意図的に非白人種を排除しているのか、
それとも非白人種のほうから「みんなのデモ」に
寄って来たがらないのか、あるいはその両方なのかもしれないです。
同性愛排除のような、少数派の排除を堂々と主張できるのは、
社会的に強者の立場であると言えるでしょう。
そしてある少数派を排除する思想は、べつのカテゴリにおける少数派も
共感しないことが多いことをしめしているとも言えるでしょう。
印象的なのは、ツイートのかたがデモで反同性愛の人たちが
たくさん集まっているのを、「怖い」「地獄」と表現していることです。
https://twitter.com/Yasu9412/status/518683424161533952
https://twitter.com/Yasu9412/status/518784674202931201
========
いつも威勢のいいこと言ってるしほんまのこと書くけど、
何万人もの保守派が集まるところに、俺みたいなアジア人が
AGAINST RACISMのTシャツ着て反対の立場で行くの、怖い。
地獄でした、本当に。想像してみてください。
パリ中の太い通りが、何キロも、同性愛を嫌悪する人々で埋まっている光景を。
========
日本における在特会の排外主義デモにあまり恐怖心のわかないかたも、
白人が何万人も集まって、少数派を排斥する主張をすれば、
日本人も恐怖を感じることもあるのではないかと思います。
これは日本の排外主義デモが、外国人とくに在日コリアンのかたに、
どれだけ恐怖を与えているかを、しめしていると言えるでしょう。
ここでわたしが連想したのは、いまから120年ほど前、
パリに特派員として来ていた新聞記者テオドール・ヘルツルですよ。
当時フランスはドレフュス事件の影響で、反ユダヤ主義が高揚していました。
ヘルツルはパリの反ユダヤ主義を目の当たりにして、
強い衝撃を受けることになったのでした。
反ユダヤ主義で吹き荒れるパリの人たちを見たヘルツルも
おなじように「地獄」を見て取ったのではないかと、わたしは想像します。
そして「ユダヤ人も自分たちの国を持たなければだめだ」と
ヘルツルは確信して、シオニズム運動を起こしたのでした。
(シオニズムには批判的なかたもいるとは思いますが。)