日本は子どもを持つ女性の賃金格差が、きわめて大きい国なのですよね。
「女性差別賃金をさらに半減する世界最悪の母親ペナルティ賃金-
安倍政権の女性活用は世界最低女性賃金の活用」
(はてなブックマーク)
このエントリでは、OECDの『ジェンダー白書』を用いて、
子どもを持つ女性の賃金をOECD各国で比較した図を載せています。
「子どもを持つ女性の賃金差別が世界最悪の日本-男性賃金のわずか39%、OECD30カ国平均の半分」(グラフ)という世界最悪の女性への賃金差別が「女性たちの貧困」の根本的な原因のひとつです。 http://t.co/Kh7bMFPL7P pic.twitter.com/F8I6KUp1cS
— 国公一般 (@kokkoippan) 2014, 4月 28
ひとつ目の図は男性の賃金を100%としたときの、
子どもを持つ女性の賃金の割合をしめしたものです。
日本はわずか39%で、子どもを持つ女性の賃金は
男性の賃金の4割にも満たないということです。
ふたつ目の図は子どもを持たない女性の賃金を100%として、
子どもを持つ女性の賃金とを比較しています。
女性どうしで比較した場合も、日本は格差が大きく、
子どもを持つ女性の賃金はわずか51%、半分になることがわかります。
ジェンダーに関する調査をすると、日本と韓国が先進国中で
最下位争いをするのがいつものパターンではあります。
この子どもを持つ女性の賃金に関しては、
とりわけ格差が大きくなっているのですよね。
ほかのOECD加盟国はほとんどが似たり寄ったりですが、
ブービーの韓国はほかのOECD加盟国と差が大きくついています。
そして最下位の日本は韓国とも大きく差がついています。
日本は子どもを持つ女性にとって最低の先進国という
BBCの記事は誇張でもなんでもないと言えるでしょう。
「日本は最低の先進国」
「日本は最低の先進国(2)」
安倍首相のつぎの所信表明は、わたしに言わせれば失笑ものですよ。
日本から世界を変えるどころか、あきらかに日本が足を引っ張っているからです。
勘違いしたようなことを言っていないで、
日本は早くほかのOECD加盟国なみの水準に追いつけ、です。
安倍首相は9月29日、今国会での所信表明演説で、
「女性が輝く社会」を目指し「日本から、世界を変えていく」などと
日本の「女性の活躍」が世界をリードしていくかのように言っていますが、
安倍首相やその周辺の人たちは、子どもを持つ女性の賃金格差のような
現状をどのくらい知っているのかと思います。
ろくに知らないのか、それとも知っているけれど、
あえてこういうしらじらしいことを言っているのでしょうか?
OECD『ジェンダー白書』の統計を見て、わたしがいささか
意外に思ったのは、子どもを持つ女性の賃金格差が
いちばん小さいのがイタリアであることです。
そして北ヨーロッパ諸国が上位をしめるという、
こうした調査のいつものパターンにはなっていないのですね。
イタリアはカトリックの影響が強いせいで、
ヨーロッパの中では家族やジェンダーに関して因習・反動的です。
ところが子どもを持つ女性の賃金に関しては、
この影響は出ていないもののようです。
付記1:
男性と子どもを持つ女性とのあいだの賃金格差に関する
OECDの調査は、わたしは前にも紹介したことがあります。
このときはデータの出典がわからなかったのですが、
最初のエントリで取り上げた『ジェンダー白書』のようですね。
NHKの報道で出て来たものと、数値が同じになっています。
「OECDの男女格差の報告」
付記2:
子どもがいる女性といない女性とのあいだの格差を
しめしたものに近いものとして、つぎの図があると思います。
女性の正社員どうしで、未婚と既婚とで年収分布をしめしたものです。
こちらの出典は総務省の『就業構造基本調査』の2012年度版です。
「女は結婚で年収が減る」
女性正社員の年収分布。未婚者と既婚者の比較。同じ正社員の女性でも,未婚者のほうが高い。扶養控除を得るため,収入を低く抑える者もいるだろうが,結婚・出産に伴うハンディの表れとも読める。 pic.twitter.com/kFtNqnHz2k
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2014, 1月 5
たんぽぽさんがおっしゃるとおり、ヨーロッパの中でも男女観や家庭観が保守的で、料理上手で子沢山のおふくろさん的な「マンマ」が女性の理想像というイメージですが。
これは、資料があるわけでもなんでもなく、私のイメージですが。
なんとなく、イタリア人ってあまりカリカリ働かない、というと怠けているみたいですが、職場がのんびりしているのかな?と。
あくまで推測ですが、日本みたいに台風のときにも定時に来い!じゃなく、台風来たから今日は休むね、みたいな。
あと、保守的因習的って、裏を返せば、まだ大家族制が生きていて、子供が産まれてもおばあちゃんやおじいちゃん、おじさんおばさんたちや年上のいとこが面倒見合ってるとかもあるのかも知れません。
実際のところはイタリア事情に詳しい人に聞かないと解りませんが。
>イタリアが格差最小というのは意外ですね。
>たんぽぽさんがおっしゃるとおり、ヨーロッパの中でも男女観や家庭観が保守的で、
そうそう、わたしも意外でした。
実際、イタリアは少子化が解消されていないですしね。
あとイタリアのイメージというと、男のマザコンですよ。
日本よりすさまじいのですよね。
>イタリア人ってあまりカリカリ働かない、というと怠けているみたいですが
ヨーロッパ人はどこも日本人と比べると「働かない」ですよ。
「台風の日も定時に来い」なんてのは、日本だけの悪習だと思います。
EU各国の夏休みの日数ですが、勤勉のイメージのある
イギリス人やドイツ人でも2ヶ月近く休暇を取っています。
イタリア人の夏休みは3ヶ月かそれ以上なので、
ヨーロッパの中では「働かない」ほうだとは言えますが。
https://twitter.com/Kelangdbn/status/487994656769077249/photo/1
>実際のところはイタリア事情に詳しい人に聞かないと解りませんが
わたしもイタリアのことはくわしくないので、
あまり多くは語れないです、残念。