しばらく前から「吉田証言」のことが話題になっています。
これは従軍慰安婦の強制連行に関するにせの証言のことですよ。
この吉田証言のことを、わたしはひとこともブログで触れていないのですね。
ツイッターやはてなブックマークでは、吉田証言の記事を
ある程度集めてはいますが、それほど熱心に追跡してはいないです。
むかし朝日新聞が、吉田証言なるものを紹介したことがありました。
ところがなにを思ったのか最近になって、
吉田証言は偽証であり、紹介した報道は誤報であったことを
認める記事を出したのですよ。
そうしたら日本国内の慰安婦の否定派が噴き上がったのですよ。
やっぱり慰安婦の強制連行はなかったんだと騒ぎ出したのです。
かねてから不満だったこともあって朝日新聞を叩きだしもしました。
さらに日本の否定派たちは、クマラスワミ報告の一部撤回を
要求するところまできています。
吉田証言が偽証であることは、専門家のあいだでは
とっくのむかしに検証され、わかっていることでした。
あの有名な吉見義明著『従軍慰安婦』(岩波新書、1995年)でも
吉田証言のことは根拠に使われていないです。
「『朝日新聞』の誤報で「慰安婦」問題がねつ造されたの?」
慰安婦の強制連行があったことをはじめ、
日本軍による従軍慰安婦に関する数かずの非人道的事実は、
ほかの多数の史料により裏付けられていることです。
いまさら吉田証言が偽証だったところで、
なんら変化があるわけではないということです。
日本の否定派たちは、専門家はみんな偽証とわかっている
吉田証言を持ち出すという周回遅れもはなはだしいことをして、
なにをこれまでの慰安婦に関する史実の蓄積を
全部否定できたつもりになっているのかと思います。
彼らのやっていることは、「ピルトダウン人がねつ造だったから
化石は全部ねつ造であり、ダーウィンの進化学は間違っている」
などと主張するようなものだと思います。
最初にお話したように、わたしは自分のブログで
吉田証言のことにぜんぜん触れていないのでした。
話題もすでに膨大となっていますし、
あまり取り上げたいとは思わないのですよね。
吉田証言に関する話題は、すでに多くの人たちが取り上げています。
かなりたくさんの人たちが関心を持っているので、
わたしがなにもしなくても、じゅうぶんではないかと思います。
彼らより知識のすくないわたしが、つたない内容の記事を
なにか書いたところで、たいして貢献できないでしょう。
そんなことより、よそさまがあまり話題にしないような、
もっと生活色のある話題を取り上げたい気持ちがあります。
(こんなふうに人と違うことをしようとするから、
わたしのブログは人気が出ないのではないかと思いつつ。)
わたしが慰安婦問題についてなにか書くことを
期待しているかたもいないでしょうしね。
吉田証言に関する話題に関心があるかたは、
取り上げているところへ行って、ご覧になればよいと思います。
せっかくなので、ちょっと変わったことを書いている
記事を見つけたので、紹介しておきます。
戦後の補償において、ドイツはいかにして偽証の対処を
してきたかについて書いてあります。
「偽証との向き合い方、修正主義の受け止め方--ホロコーストと比較して
武井彩佳 / ドイツ現代史、ユダヤ現代史」
(はてなブックマーク)