世界経済フォーラムの男女平等指数の詳細です。
「The Global Gender Gap Report 2014」
「Global Gender Gap Report 2014 - Economies Japan」
NHKの報道を見ると「給与水準の格差はいくぶん改善したものの」とあります。
これが今年はまがりなりにも順位が下げ止まって、
1ランクだけとはいえ上がった原因になるのでしょう。
2014年のデータを見ると、「年収格差」は0.60で74位、
「同一賃金同一労働」は0.68で53位となっています。
2013年の結果は「年収格差」が0.57で79位、
「同一賃金同一労働」は0.62で87位です。
昨年とくらべると、今年はわりと改善されたと言えそうです。
収入の格差が縮まったと言われても、実感のないかたも多そうです。
「データブック国際労働比較2012」という
比較的新しいデータにもとづいた調査を見ても、
日本の男女の賃金格差はいまもって7割程度あります。
8割を超えている欧米の民主主義国より格差がずっと大きいです。
男女のあいだにむしろ依然として格差があることを
実感するデータはたくさんあって、たとえば正社員にかぎりですが、
年齢層別年収分布にジェンダー格差がはっきりと出ています。
正規職員・従業員の年収分布図。同じ正社員でもジェンダー差がすごい。女性の場合,働き盛りの正社員でも2割弱がワーキング・プア。4割以上が,奨学金返済猶予申請ラインの300万未満。 pic.twitter.com/J6fNjwbwPO
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2013, 11月 14
さらに正規と非正規をわけて男女で年齢層別の年収分布を調べると、
ジェンダー格差がさらにはっきりします。
正規・非正規の年収曲線。雇用形態の差と同時に,正社員のジェンダー差にも注目。これ,調査法の学生さんに計算させたんだけど,憤りの感想が多かった。 pic.twitter.com/XC6tgbqBwN
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2013, 12月 23
結婚や出産にともなく年収の変化も大きいです。
女性は結婚すると年収が減ることも目立っています。
女性正社員の年収分布。未婚者と既婚者の比較。同じ正社員の女性でも,未婚者のほうが高い。扶養控除を得るため,収入を低く抑える者もいるだろうが,結婚・出産に伴うハンディの表れとも読める。 pic.twitter.com/kFtNqnHz2k
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2014, 1月 5
子どもを持つとさらに賃金格差が広がることも際立っています。
OECD加盟国中、日本は子どもを持つ女性の賃金が
最低水準ということがとくにいちじるしいです。
さらに母子世帯になると、賃金格差はさらに大きくなります。
母子世帯と夫婦のいる世帯とでの年収分布を見ると、
母子世帯の低収入は歴然としています。
母子世帯と夫婦がいる世帯の年収比較図(子が2人の世帯)。こうだものな。全然違う。母子世帯は平均198万,夫婦がいる世帯は平均739万。 pic.twitter.com/MiF8YcQV0K
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2014, 3月 31
「同一賃金同一労働」の指標に近いものとして、
学歴別年収のジェンダー差があると思います。
女性の大卒と男性の中卒とで年収がほぼおなじくらい
ということが、衝撃的だと思います。
有業者の学歴別の平均年収曲線。明瞭な学歴差。加齢と共に拡大。女性の中・高卒は,家計補助のパートが多いためか,昇給がみられない。 pic.twitter.com/2lidiPTEb2
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2014, 9月 8
これらのデータを見ていると、男女で収入の格差が縮まった
と言われても、なかなか実感できないものがあります。
それでも過去とくらべると、いくぶんましになったということなのでしょう。