通称使用をしていらっしゃります。(ご存知でしたか?)
そのインタビュー記事があるので、ご紹介いたします。
「「名前なんて絶対多様化する」──妻氏婚を選んだ社長の未来予測」
(はてなブックマーク)
>結婚改姓の動機
はじめに注目したいのは、青野慶久氏が自分が結婚改姓して
通称使用をしようと思った経緯です。
じつを言うと、僕自身は「青野」の姓になると思っていたんです。
それが結婚する直前に、妻から「わたし(苗字を)変えたくない」って
言われたんですね。「え? あ、そうなの、じゃ僕が変えようか?」
みたいな感じで、僕が変えることにしました。
やっぱりベンチャー精神が強いんでしょうね。
人があまりやっていないことだったら、やってみたいな、と思うんです。
あとは、「青野慶久」という名前は既に世に出ていたので、
これとは別の「知られていない本名」があると
使い勝手がいいな、というのも思いました。
調査のために競合他社のイベントに参加申し込みするとき、
本名を書いても相手にバレないとか(笑)。
もともと人がやらないことをやろうとするかたなのですね。
男性が改姓するモチベーションが「人と違うことをしたいから」
というのは、結婚改姓の非対称性を感じて、
微妙になるかたもいるかもしれないです。
それでも男性の自分が改姓するというのは、
かなり柔軟にものごとを考えられるかただと思います。
とくに妻に「自分は名字を変えたくない」と言われて、
「じゃあ自分が変えよう」と言える男性は、
なかなかいないだろうと思います。
記事のリードにも
ビジネスでは常識を揺さぶるような発言をしていても、とありますが、そうした中にあって、仕事と私生活とで
私生活ではコテコテの旧タイプという人も少なくないが、
思想が一致しているのも、安心できることだと思います。
紹介文に「育児休暇を2度とる自称・イクメン社長」とあります。
もともと家庭生活を重視するかたなのかもしれないです。
もうひとつ「知られていない名前」を持つことで
他人になりすませる、ということを挙げています。
実際可能だと思いますが、このメリットを活用する機会は
どのくらいあるのかとも思います。
一般的にはふたつの名前があることで、同一人物性の識別が
むずかしくなり不便なことのほうが、ずっと多いように思います。
そのとき(2001年当時は、副社長)考えたことは、それくらいですね。ともお話していて、結婚改姓の不便さは、
ぼくのなかでは、「面白さ」が勝っちゃうから。
大変だったのは、それからですよ。
結婚したころはほとんど念頭になかったようですね。
それで容易に結婚改姓に応じられたのもありそうです。
>結婚改姓の不便
つづいて戸籍の名字を改姓したことで出てきた不便についてです。
はじめに、
夫婦仲が悪くなったときに、「相手の名前をつけてあげたのに!」ということを挙げています。
というのが、自分のなかで蘇ってくるんです。
このあとインタビューをしている女性のかたが、
自分もおなじことを思ったとあります。
ここに選択別姓の反対派(非共存派)がよく持ち出す
「夫婦別姓だと家族の一体感が損なわれる」が、
怪しくなって来ることになります。
夫婦同姓こそ片方に改姓を強いることで、改姓した側に不満が残り、
それが夫婦仲に悪影響を及ぼしかねないわけです。
結婚改姓が不本意な場合はなおさらですが、
結婚改姓に不満がない場合でも、改姓の代償として、
なにか交換条件を要求するのは、一定の合理性があることになりそうです。
名義変更の手続きが面倒というのは、予想通りなのですが、
とりわけすごいと思ったのは株式の名義変更ですよ。
たとえば、株式の名義変更。会社が何百万円か負担したと思います。
いまは株式が電子化(ペーパーレス化)されたので、
そんなにかからないと思うんですけれど。
名義変更の中には手数料を取られて、
かなりの金銭的負担になることがありますが、
会社も何百万円か負担したというのはすごいです。
何百万円という額は個人で負担するのは困難です。
会社に負担をかけるというのも、非合理的だと言えます。
これらはどちらも、だれでもできることではないでしょう。
「通称使用でじゅうぶんだ」としきりに主張する
選択別姓の反対派(非共存派)はこうした金銭的負担のことは、
どのくらい考えているのかと思います。
彼らの通称使用案で解消するのかと思います。
インタビューしたかたもコメントしていますが、
「女性役員が増えてくるともっと問題になりそう」だと言えます。
安倍政権が女性の管理職を増やすことを目指すなら、
選択的夫婦別姓くらい認めてとうぜんというゆえんは、
こういうところにもあることになります。
ほかには婿養子と間違えられたとか、
アメリカ合衆国でホテルに泊まろうとしたら、
パスポートの名前と部屋を予約した名前が一致しなくて困った、
といったお話が出ています。
これらはよくあることだと思います。
付記1:
だいぶむかしになりますが、いまから5年前、
2009年9月4日の産経新聞の「金曜討論」で、
八木秀次氏と青野慶久氏が夫婦別姓について討論したことがありました。
「金曜討論で夫婦別姓」
このときサイボウズの社長が旧姓使用をしていることを
わたしははじめて知ったのでした。
株式の名義変更で数百万円の手数料がかかった
ということは、このときも述べられています。
付記2:
インタビュー記事は、夫が妻の名字を名乗ることを
「妻氏婚(つまうじこん)」と表現しています。
前に「女姓婚」と表現したかたもいましたが。