ご存知のかたもいらっしゃると思います。
「労働者派遣法改正案:「派遣社員増加を招く」猛反発の野党」
「女性の活躍推進には、派遣や有期契約労働者も入ってますか?
派遣・有期で働く女性の声抜きで法律を決めないでください」
「改正派遣法 成立を断念 自公、来週解散にらみ」
現在の労働者派遣法は、企業がおなじ職場で派遣労働者を
受け入れられる期間を最長で3年としています。
「派遣は臨時的」という原則を設けているためです。
改正案は3年経った時点で、それまで雇っていた人とは
べつの人に替えるなら、労働組合の意見を聞いた上でとなっていますが、
引き続き派遣労働者を受け入れられるようにするというものです。
企業は3年ごとに労働者を入れ替えることで、
ずっと派遣労働者を使うこともできるようになります。
派遣労働者の立場にしてみれば、3年で入れ替えられる可能性が高まり、
雇用がいっそう不安定になるということです。
企業が派遣を雇いやすくなることから、非正規雇用も増えて、
派遣労働者はますます正規雇用に就きにくくなることが予想されます。
「派遣社員の増加を招く」「一生派遣の人が増える」といった
反発はとうぜん出て来ることになります。
かかる労働者派遣法の改正の影響を受けやすいのが、
派遣労働をはじめ非正規雇用の割合が高い女性ということになります。
日本は現在でも、すくなくない女性に派遣やパートなどの
非正規雇用が多く、労働市場の周辺部に押しやられています。
労働者派遣法が改正されたら、この傾向にますます
拍車がかかることになりかねないわけです。
「M字カーブ緩和の原因」
女性のすがたの変化。M字カーブの底が浅くなり,有業者の比重が増えているが,増分のほとんどは非正規雇用(パート・バイト,派遣等)。90年代以降の女性の社会進出とは,こういうことか。 pic.twitter.com/bFbTS9OuWo
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2014, 2月 7
「20〜50代女性の組成の変化」
20〜50代女性の組成の変化図。現実はこう。有業者の比重増加は,非正規雇用増によってもたらされたもの。女性の社会進出の日本版。 pic.twitter.com/fa8ajMCsnW
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2014, 1月 20
安倍政権は「女性が輝く」うんぬんと言っていますが、
それなら非正規雇用で不安定な女性の現状を
改善する必要があるというものです。
ところが労働者派遣法の改正はこれに逆行することになります。
こういうことがあることが、安倍政権の「女性活用」とか
「女性が輝く」が信用できない、大きな原因のひとつなのだ思います。
労働者派遣法は労働問題と思っていて、ジェンダー問題と見ていないのか、
しょせんは目立つところのエリートの女性だけ関心があり、
目立たない一般の女性には関心がないのでしょうか?
労働者派遣法の改正案は、今年の秋の臨時国会で提出され
安倍政権が成立を目指していたものですが、
秋の臨時国会での成立は断念となったのでした。
衆議院の解散があるので廃案になるし、
また解散しなかったとしても、秋の臨時国会の会期中では
審議時間がたりなくなったからです。
ひとまず成立は先送りとなりましたが、総選挙のあと安倍政権は、
ふたたび労働者派遣法の改正案成立にむけて、
法案提出することは強く予想されます。
12月の総選挙の結果が、労働者派遣法を今後どうするかに
影響することは、もちろんじゅうぶん考えられることです。