財務省が消費税増税にご理解していただくため、
あっちこっちの影響力のありそうな識者のところへ赴いて、
「ご説明」をしてまわったことがあったのですよ。
今年の4月の増税に備えて「ご理解」を得ようというのですね。
いまさらですが、その「ご説明」を受けたかたの記事を紹介します。
ひとつ目は「ご説明」を批判的に受け止めたかたです。
「検証! 財務省のメディア戦略と消費税増税ロジック 片岡剛士×荻上チキ」
(はてなブックマーク)
ふたつ目は「ご説明」をすっかり信用してしまったかたです。
「「財務省レク」を受けた人へのリプの数々。」
(はてなブックマーク)
批判的に検討した記事ですが「ご説明」には、
ご説明1:「よいデフレ論」の4つの内容がおもにあったとしています。
ご説明2:増税するならいまでしょ!
ご説明3:増税するなら消費税
ご説明4:消費税は景気に左右されない
これらについてひとつずつ検討をしています。
かかる「ご説明」を行なう財務省の主旨は
最初のコンタクトは、これまで政府は、「マスメディア、政党、というものだとあります。
経済団体、ジャーナリスト、学者など影響力ある団体や個人に、
幅広くご説明」してきたけれど、それだけだと不十分だと。
だから「省内で検討しまして、新たな広報が開始されました。
その主軸は、発信力の高い個人や、大学、NPO、地方の経済団体などの組織を、
職員が直接お訪ねし、「ご説明」しているので会いたい」というメールでした
「ご説明」する範囲を従来より広げているのであり、
増税の合意形成のための広報活動に余念がなくなっているということです。
財務省としては消費税増税は悲願でしょうし、
国民の多くから強く反発される消費税増税を取り付けるために、
それだけ必死になっているのでしょう。
「説明の内容が典型的なマーケティングだったんですよ」
というところが、ちょっと失笑しますね。
すっかり納得したかたのほうは、こんなツイートをしているのですよ。
財務省レク、僕も受けました。僕としては、子ども子育て支援の財源が消費税に紐づいているため、増税に賛成せざるを得ません。 :【SYNODOS】検証! 財務省のメディア戦略と消費税増税ロジック/片岡剛士×荻上チキ http://t.co/Q5sGbuheyA
— 駒崎弘樹:Hiroki Komazaki (@Hiroki_Komazaki) 2014, 4月 1
「財務省レク、僕も受けました」とはっきり言えてしまう、
臆面のなさがいかんともしがたいですね。
「丸め込まれました」と白状しているようなものだと思います。
しかも最初に紹介した、片岡剛士氏と荻上チキ氏の、
批判的に検討した記事を見ているのですよ。
それでも自分が丸め込まれたと気がつかないというのは、
いったいなにをしているのかと思います。
財務省はもちろん高級官僚、その道のプロですから、
他人を納得させるための知識やロジックにはこと欠かないでしょう。
財務省の広報担当から直じきに消費税増税の「必要性」についての
「ご説明」を受ければ、相応に説得のあるものだと思います。
聞いてあっさり納得させられる人は、
かなりの識者の中でも多いのではないかと想像します。
財務省が「ご説明」にうかがった識者はかなりの数のようですし、
このうち相当数が真に受けることになって、
消費税増税派となって、あちこちで言論活動をするように
なったのではないかと、わたしは想像します。
(菅直人氏が首相だったとき、きゅうに消費税増税の議論をはじめて、
民主党が猛批判を受けることになったのでした。
これも財務大臣時代に、財務省から同種の「ご説明」を受けて
その気にさせられたのかもしれないですよ。)
「民主党に貼られた「ウソつき」というレッテル」
「参院選総括:「ありえない敗戦」の真因は菅首相の財務省への屈服。」
この財務省の「ご説明」のことは、たまたま荻上チキ氏という
批判的に検証できて、なおかつ自分が聞いたことを
記事にしようという気になるかたが「受講」したので、
こうやって実態の一端が知れることになったと言えます。
そうでなければ、財務省がこんな「ご説明」をやっていたことは
ほとんど知られずに、過ぎてしまったのではないかと思います。