財務省のメディア戦略について、お話をしたのでした。
この「ご説明」をすっかり信用してしまったかたの意見を
もうすこし見てみたいと思います。
「「財務省レク」を受けた人へのリプの数々。」
(はてなブックマーク)
財務省レク、僕も受けました。僕としては、子ども子育て支援の財源が消費税に紐づいているため、増税に賛成せざるを得ません。 :【SYNODOS】検証! 財務省のメディア戦略と消費税増税ロジック/片岡剛士×荻上チキ http://t.co/Q5sGbuheyA
— 駒崎弘樹:Hiroki Komazaki (@Hiroki_Komazaki) 2014年4月1日
「子ども子育て支援の財源が消費税に紐づいている」という
そもそもの前提を疑う必要が、ここではあると思います。
国家予算の全体がこれだけで、子育て支援はこれだけ財源が必要だから、
あとこれだけ増税する必要があると、数値でしめされたならともかく、
そうではおそらくなさそうに思います。
子育て支援の予算がどれだけなのかしめされないと、
増税が必要かどうかもわからないし、増税が必要だったとしても、
消費税でなければならないとはかぎらないからです。
まとめの中でもつぎのような意見も出てきています。
こんにちは。「増税反対。別の財源よこせ」と主張しても良いのですよ。 @Hiroki_Komazaki: 財務省レク、僕も受けました。僕としては、子ども子育て支援の財源が消費税に紐づいているため、増税に賛成せざるを得ません。 :【SYNODOS】検証! 財務省のメディア戦略と消費税
— お好み焼きにはカープソースをどうぞ (@IshidaTsuyoshi) 2014年10月7日
しかも仮にそうだとしても、既に存在する所得税や消費税に紐付ければ良いので、増税する理由にはならない。言ってる事は矛盾している。QT @Hiroki_Komazaki: 紐を外す?保育等社会保障は義務的経費なので、当然財源とのセットである必要があります…“@kikumaco
— 牙 龍一:反緊縮派 (@kiba_r) 2014年11月7日
駒崎さんって、個別のアイディアは悪くなさそうなんだけど、財源ガーにやられてしまうのはなんとかならないんですかね。
— 2次パパ (@2dim_papa) 2014年11月6日
景気がよくなれば、わざわざ増税しなくても税収増えて予算も付けられるようになりますよ、と。
「まとめ」が作られたのは11月のはじめ、消費税の8%から10%への
2度目の増税を実行するかどうかが検討されたときでした。
4月に5%から8%へ増税した影響で、GDPが2期連続マイナス成長となり、
予想以上に景気の後退が深刻となったときでした。
それゆえいま追加の増税をすると、さらに景気が落ち込むことになる、
それは増税と合わせて所得のすくない層の家計を圧迫するし、
そうした層には子育て世帯も多く含まれる、
よってかえって子どもを持ちにくくなって本末転倒になる
という指摘が、まとめの中でも多く上がっています。
とうぜん考えられることですね。
前のエントリでいっしょに紹介した、財務省の「ご説明」を
批判的に検討した、片岡剛士氏と荻上チキ氏の対談記事の中では、
3つ目の論点である「増税するなら消費税」の節が、
上述の「紐付け」問題の答えに近くなっていると思います。
「検証! 財務省のメディア戦略と消費税増税ロジック 片岡剛士×荻上チキ」
財務省の言い分は以下のようです。
あとは、「なぜ消費税なのか」という説明ですね。
所得税は現役世代が限られているから限界がある。相続税も同様だ。
高所得者層はすでに多く負担しているし、これ以上を求めると海外に逃げてしまう。
一方で消費税は安定的な税である。
それから所得分布をみてほしい。日本人の平均所得は408万円。
世帯収入で最も層が厚いのは、200〜299万、300〜399万。
ボリュームゾーンから取る手段は重要だ。
控除を検討しつつも、どう理解を得ていくかが課題だ、と。
「貧乏人が多いから貧乏人から税金を取れ」ですよ。
「ボリュームゾーン」は平均所得の408万円以下です。
数が多いという理由で、平均所得以下の世帯に課税されてはかなわない、
というかたもいらっしゃるでしょう。
対談記事では、日本人の平均所得はどんどん下がっていること、
それゆえ低所得層への課税を増やすと、さらに貧しくなって
所得が下がる可能性があることを指摘しています。
消費税増税に対して、だれもが予想し心配することでしょう。
そしてそれよりも経済成長によって全体の所得を上げて、
所得税で税収を確保すればよいとしています。
低所得者が多いということは、国民全体が貧しいということですから、
課税ではなく国民全体を豊かにすることを考えるところです。
この状況で、非課税世帯と呼ばれている年収200万円世帯はともかく、
300〜499万円の層から税金をとったら、
いずれ200万円未満の層に侵食してしまうと思います。本末転倒です。
だったら全体の所得をあげて、所得税で税収を確保すればいいのに、
経済成長のことは頭にない。
「まとめ」で財務省の「ご説明」を信用した駒崎弘樹氏は、
経済成長は恒久財源ではないとお思いのようです。
https://twitter.com/Hiroki_Komazaki/status/530515481363771393
https://twitter.com/Hiroki_Komazaki/status/530513337994706944
これは事実誤認ですね。経済成長は恒久財源です。
経済成長すればそのぶんだけ税収は上がりますし、
その後マイナス成長しなければ減ることはないです。
議論経過を知らないので,誤解の指摘のみ.経済成長は代表的な恒久財源です.1%成長する毎に税収は1%以上増加し,マイナス成長でなければ減りません.@Hiroki_Komazaki 経済成長したら、お金が出てきます、というのは恒久財源になりません。@kikumaco
— 飯田泰之 (@iida_yasuyuki) 2014年11月7日
そして記事では節最後に「はじめに消費税ありき」ではなく、
消費税は選択肢のひとつであると考えることだとして結んでいます。
基本的には、消費税増税ありきではなく、
他の政策オプションも検討したうえで、
トータルパッケージで税制を考えることが大事ですよね。
そうそう。社会保障の問題も財政の問題もあるなかで、
消費税というオプションをどう使うかを議論すべきなのに、
先ほども言ったように、増税すべきか否かの話に還元されている。