11月24日に民主党が、衆院選のマニフェストを発表しています。
これを見てみたいと思います。
「2014特設サイト 政権政策マニフェスト」
いくつかの新聞記事でも紹介しています。
「民主衆院選公約の要旨【14衆院選】」
「衆院選:民主党マニフェストで「厚く豊かな中間層復活」」
「「厚く、豊かな中間層」復活…民主が衆院選公約」
>01「経済」
ここは内容が多岐におよんでいます。
この中に子育て支援、結婚・出産支援の強化があります。
「希望する人が安心して結婚、出産できる社会」です。
また非正規雇用の待遇改善と正規雇用の増大があります。
少子化と未婚・晩婚化と雇用や収入の安定は、
現代の日本社会においては密接に結びついていることです。
これらは合わせて考えていく必要のあることでしょう。
>02「社会保障」
ここも内容が多岐におよんでいます。
この項目でも子育て支援について言及しています。
「子ども・子育て支援の予算を増額」となっています。
「子ども手当て」とはさすがにはっきり書いていないです。
幼児教育についても記述があり、待機児童の解消のほか、
幼稚園と保育園の一元化について言及があります。
幼保一元化は民主党としてはこだわりがあるのでしょう。
子どもの貧困の解消についても、言及があります。
また結婚・出産後の就業の継続や復帰の支援があります。
妊娠検診・出産費用の助成のほか、不妊治療支援の拡充もあります。
この不妊治療支援の拡充は、事実婚や未婚親や性同一性障害のかたにも
適用されるようにする、ということでしょうか?
>03「雇用」
労働者派遣法の改悪の阻止や、同一労働同一賃金推進法の制定があります。
女性は低賃金の非正規雇用が多いですし、女性の雇用の安定と
男女間の賃金格差の解消のためにも、これらを実現してほしいと思います。
>04「教育」
高校無償化の所得制限の廃止がしっかりあります。
所得制限を設けたことはあきらかに後退ですし、
民主党としてもこだわりのあるところでしょう。
これはぜひとも廃止してほしいとことです。
また給付型の奨学金の創設をめざすことがあります。
日本は大学の授業料が高くて奨学金がとぼしいという
OECD唯一の国ですから、これもぜひ実現してほしいことです。
>05「女性・共生」
女性管理職比率の向上を目指すことに言及しています。
目標値の設定や公表など具体策にも言及しています。
これは自民党も目指していることですが、
日本は管理職の比率がOECD加盟国の中では低いほうですから、
ぜひとも実行してほしいことです。
ほかにハラスメント対策、ひとり親家庭への支援、
仕事と育児・介護の両立支援、男性の育児参加、
ワークライフバランスの整備があります。
「女性の健康向上の支援」というのは具体的になんなのでしょうか?
ひとり親支援については、働いているほうが貧困率が高いという
OECD加盟国唯一の逆転現象を解消してほしいところです。
また日本人の夫は家事・育児の時間が短いですから、
男性の育児参加も推進してほしいことです。
女性や若年者の起業支援についても言及があります。
日本は女性経営者の割合も低いですから、これはもちろん大事なことです。
ただここで、「なでしこ」ということばを使うのは、
しばし引っかかるものがあります。
またDV防止、ストーカー規制、リベンジポルノ対策法など、
性暴力・性犯罪対策についても言及があります。
リベンジポルノ法案はつい先日成立したものですが、
マニフェストでは「的確な運用を進める」となっています。
全体的には、ひとり親支援や子どもの貧困率の解消、
非正規雇用の待遇改善など、自民党が取りこぼしそうな
社会的弱者対策に目配せができていると思います。
わたしとしては、安倍政権の「女性活用」を意識して、
その対案をしめすというかたちを、前面に出したほうが
よかったのではないかと思っています。
民主党は家族やジェンダーに関する問題には蓄積があるので、
自民党よりはずっとまともな政策をしめせるでしょう。
安倍政権の「女性活用」には不信を持つかたも多いですし、
そうした人たちへの受け皿にもなり得るからです。
05が「女性・共生」となっていて、ジェンダー問題と
障害者問題とマイノリティ問題が1項目にまとめられているのは、
ボリュームの不足を感じざるをえないです。
(震災復興は06、原子力発電やエネルギーは07で、
これらはひとまとめにせずふたつの項目にわけています。)
ジェンダーに関しては、子育て支援や妊娠・出産の支援が
01の「経済」と02の「社会保障」にも分散して入っているので、
まだそれなりの分量があると言えます。
排外主義対策がヘイトスピーチくらいというのは、
あまりにお粗末すぎるというものです。
性的少数者のことにいたってはぜんぜん記述がないです。
民法改正、選択的夫婦別姓はどうなったのかと思います。
マニフェストに書いてあるのは「主要政策」ですし、
読んでもらうために記述量を制限していますから、
ここにあるのがすべてではないとは言えます。
それでもマニフェストへの明記がないということは、
民主党が与党だったときの挫折を考えると、
民法改正、選択的夫婦別姓はほとんどあきらめたのではないか、
という可能性を考えてしまうところです。
(期待しているかたはすくないのかもしれないですが。)