すでに研修を受けていたのに内定が取り消されたというので、
日本テレビに訴訟を起こしていた、というニュースがあるのですよ。
内定取り消しの理由が、銀座のクラブでホステスのアルバイトを
していたことがあるからというので、問題になるということです。
「「銀座でバイト」が原因で「局アナ内定」を取り消された
女子大生が日本テレビを訴えた」
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「女子大生が日テレを提訴…銀座バイトでアナ内定取り消され」
「ホステスバイト歴でアナ内定取り消し 日テレを提訴」
「ミス東洋英和が日テレの「女子アナ内定」を取り消された理由
独占スクープ「まさか、そんなことで…」顔出し実名告白」
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「【小島慶子さん寄稿】女子アナ内定取り消し裁判に「そろそろ本当のことを言おうよ」」
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日本テレビ側の内定取り消しの理由は大きくふたつあって、
1. ホステスの経験を申告しなかったのは虚偽申告にあたる
2. ホステスの経験は高度の清廉性が求められる
アナウンサーにふさわしくない
というものです。
1.については、短期のアルバイトだったこともあって、
女子大生のかたは最初は言わなかったのでした。
すべてのアルバイト経験について申告する必要はないでしょうし、
言わなかったところで、虚偽申告にはならないと思います。
より本当の理由は2.だと思います。
1.だけではさすがに理由としてふじゅうぶんだと
日本テレビ側は思ったのかもしれないです。
「傷がついたアナウンサー」とまで言っていて、
よくこんなことが臆面もなく言えるものだと思いますが、
それでも正直に言ってくれたとは思います。
ようするに「聖母」と「娼婦」というものですね。
男にとって穢れていない「聖母」と穢れている「娼婦」。
女子アナウンサーは「聖母」なければならず、
ホステス経験がある女性は「娼婦」だというのでしょう。
ところで銀座でバイトしたぐらいでアナウンサーの内定取り消しになった件を見てると、むかしフェミニズムの本で勉強した、「女性は『聖母』と『処女』と『娼婦』に分類される」っていうのがいまだに生きてるんだなと実感させられる。
— 岸政彦 (@sociologbook) 2014, 11月 20
女子アナウンサーというのは、企業の男社会が大好きな、
内輪の「品評会」であり、男たちの若い女性の「品定め」のために
消費される「商品」ということみたいなのですよね。
その「商品」は穢れのない「聖母」でなくてはならないのでしょう。
「求められるのは「私は無欲です」と言い張れる演技力」
女子アナという商品は、企業の内輪で消費される若い人たちの象徴です。
どれどれ今年の新人は?と品定めして、あの子がいいこの子がいいと論評し、
お気に入りには目をかける。
懐いたら引き立ててやるから、その恩義を忘れるなよ
放送局は気がつきました。その内輪の品評会を公開すれば商品になる。
若い女と人事という、男が大好きな話題を兼ね備えたアイテムが手元にあるぞ。
しかも、使い放題じゃないか!と。それが女子アナブームです。
「高度の清廉さ」がどうのとか、ホステスのバイト歴がどうのなんて、
内定取り消しの理由としてはあきらかに理不尽です。
過去の労働契約に関する判例と照らし合わせても不当なので、
この女子大生は日本テレビを提訴することにしたのでした。
訴えられたことは、日本テレビ側は極秘扱いだったのでした。
この内定取り消しの理由では言えないとは思ったようです。
社員でさえ事情をはっきり知らず、7月にきゅうに
アナウンサーの追加募集を行なうと聞いて、
内定者がひとり辞退したのかと思っていたのでした。
社外でもいろいろと憶測が乱れ飛びました。
「研修の厳しさに嫌気がさし、日本テレビの内定を辞退した」という
事実に反する内容の雑誌記事が書かれたこともあったのでした。
11月14日に第一回口頭弁論がありました。
さすがに裁判が始まると日本テレビも隠せなくなったのか、
新聞や雑誌の記事で事実が書かれることになったのでしょう。
きょうびは生活費や学費をかせぐために、
風俗でアルバイトする女子学生もめずらしくなくなっています。
「国立大風俗嬢「ちゃんと勉強したい学生ほど風俗バイト選ぶ」」
一般の企業でホステス経験を問題にしたり、
「高度の清廉さ」を採用基準にすることはないとは思います。
それでもこの訴訟のゆくえいかんによっては、
ほかの企業への影響がまったくないとは言えず、
気になるところだと思います。
訴えた女子学生は笹崎里菜さんというかたです。
東洋英和女学院の学生で、3年前に「ミス東洋英和」に輝いています。
ミスコンテストも女性の品定めであり性の商品化なのに、
それはかまわないのか?と思うかもしれないです。
ミスコンの受賞者が女子アナウンサーになるのは
むしろ一般的なコースですから、ミスコンに出場する女性は、
彼らの基準では「聖母」になるみたいですね。
かつてハーフのアナウンサーはいなかった。ということなので、なにをもって「高度の清廉さ」とするかなんて
学生時代にタレントをしていた子も敬遠された。
ミスコン女王の経歴は必死で隠した。
でも今はこれ、ぜーんぶアナウンサーへの近道です。解禁につぐ解禁。
そのときの「品定め」する男たちの都合で恣意的に決まる
ということなのかもしれないです。