安倍政権の金融緩和政策と、それを批判する民主党執行部は
なにが問題なのかについて書いた、匿名ダイアリーを紹介しました。
「民主党支持者としての執行部のアベノミクス批判への愚痴」
(はてなブックマーク)
今回はつぎのくだりについて、見て行きたいと思います。
こういう考えの「リベラル」のかたは、結構多そうですよね。
リベラル政権が長期政権にならない理由と
個人的に感じるリベラルの傲慢さについて
こういう話をすると結局カネかよ、という反応をされることがあります。
正しい政策を主張しているのはこっちなのに景気さえ良ければいいのかと。
リベラルに一定数いるこういう浮世離れした反応が
正直に言って一番苦手です。安倍政権は大嫌いだし自民党には
投票しないけど支持が落ちない理由は理解できます。
有権者の立場から言えば、経済を安定化させ雇用を保証してくれる
政治勢力を支持するのはとうぜんのことです。
人は生きるためには、だれしも食いぶちが必要だからです。
経済至上主義におちいって経済以外を軽視するにいたるのは、
もちろんとても好ましいとは言えないです。
そこまでいかないのなら、生きるために必要なものを
要求するレベルであれば、ごもっともなことだと言えます。
ワイマール共和国が滅び去った原因のひとつは、
世界大恐慌にともなって起きた不況から抜け出せず、
失業者がどんどん増えていったことがあります。
1932年のピーク時には約600万人、3人にひとりが失業者でした。
失業保険を保証しようとして増税を繰り返したので、
さらに国民からの反発を招くことになりました。
「ヴァイマル共和政」
「ヒトラーの経済政策は本当に効果的だったのか」
「世界恐慌からいち早く立ち直ったのはナチスだった!〜『ヒトラーの経済政策』」
ここでドイツの経済がいつまでも立ち直らないのは、
議会制民主主義という「決められない政治」をしているからであり、
ひとりの指導力のある「総統」に任せれば解決すると主張して
支持を広げてきたのが、ヒトラー・ナチスです。
1933年に政権を取ったナチスは、よくご存知のアウトバーン
(高速自動車道)の建設をはじめ、さまざまな公共事業を
つぎつぎと起こすことで、雇用を生み出していきました。
ほかにも国民の消費を即す政策を併用するほか、
経済を安定化させる考えつくかぎりの施策を行ないました。
これによって1935年には失業者は160万人と大恐慌以前まで減らし、
1937年にはほぼ完全雇用を実現しています。
かくして他国が依然として不況であえぐのを尻目に、
ドイツはもっとも早く世界大恐慌から抜け出せたのでした。
初期のヒトラー・ナチスは、それまで悲惨な暮らしを余儀なくされた
労働者にとって「夢の国」だったわけです。
ナチスが熱狂的支持を受けるのも、ごもっともということです。
ここから得られる貴重な教訓は、
「極端で危険な政治勢力を台頭させないために、
すくなくとも経済政策だけはしっかりやっておけ」
ということになるでしょう。
「極端で危険な政治勢力に経済政策でさきを越されないようにしろ」
と言うこともできるでしょう。
そしてこれは(有権者ではなく)為政者向けの教訓ということです。
自身は政治家でなくても、為政者に準じた活動をしている
活動家や有識者、思想家にもあてはまることだと思います。
前にも言ったように、有権者の立場から見れば、
経済を安定化させ雇用を作り出す政治勢力であれば、
それがどんな政治的旗色を持っていようと、
その政治勢力を支持するのは無理もないことです。
したがって、経済政策に力を入れているけれど
危険で極端な政治勢力を支持する有権者を叱咤するのは効果が薄いです。
為政者や政策をしめす立場の側がみずから
より合理的かつ効果的な経済政策を打ち出すことで、
有権者の支持を集めてくることがより確実な対処となります。
ここまでくると、最初に引用したある種の「リベラル」に見られる
「結局カネかよ」「正しい政策を主張しているのはこっちなのに
景気さえ良ければいいのか」という経済軽視の態度が、
どういう事態を招くかは、容易にわかることと思います。
食いぶちを保証しない彼ら「リベラル」は、
一般の有権者から支持されないことになります。
かわりに経済政策で成果をあげている安倍政権が、
ほかの政策が危険視されるにもかかわらず、
高い支持率を保つという事態が起きているということです。
彼ら「リベラル」と同様のことは、デフレ脱却のための
効果的な政策を行なえない民主党にも言えることです。
安倍首相は表舞台からいなくなってる間、デフレ脱却のために真剣に
マクロ経済の勉強をしたおかげで、いまだに支持率が
40パーセント以上あって長期政権になりそうです。
このことを民主党の政治家はを本気で考えてほしいです。
安倍政権を支持する人たちを批判するばかりの
ある種の「リベラル」の人たちやいまの民主党は、
ワイマール共和国の末路とヒトラー・ナチスの教訓を
理解できていないということになるでしょう。
>自民党は経済強者からの支持が命綱ですから
55年体制の時代からずっとそうでしたね。
当時は公共事業をどんどん起こすことが中心でしたが。
いまの安倍政権はマクロ経済を学んで、
金融安定化政策を実行したことが大きいと思います。
退陣してからの5年ちょっとのあいだ、
ふたたび首相となる日に備えて、一生懸命お勉強したのでしょう。
>いっそ民主党にはアベノミクスだろうがなんだろうが
>いいものはすべて継承していくとでもいってもらって
まったくそう思います。
実績が出ているものを無理に反対して批判しようとするから、
支持が集まらなくなるのだと思います。
>ジェンダーの面でこそ明確な対立軸をもって自民党に対峙してほしいです。
ジェンダーの分野は民主党は蓄積も多いのですし、
安倍政権は従来のスタンスゆえに信頼されていないのですから、
より効果的な対案をしめせることだと思います。
おなじようなはがゆさを感じているかたは多いと思います。
わたしももどかしいですし。