12月16日エントリの続き。
12月14日に行なわれた衆議院総選挙の結果です。
今度は民主党以外の政党を見ていきたいと思います。
「2014衆院選」(朝日新聞)
「衆院選2014」(読売新聞)
「第47回衆院選」(毎日新聞)
まずは自民党ですよ。獲得議席は291です。
公示前の293より減ったのはわずかに2議席です。
2期連続300近い議席を得たのですから勝利と言えるでしょう。
一時は自民党が単独で300議席を超えるとか、
自民党単独で3分の2の318議席を超えるとか言われていたので、
そこそこ穏健なところに納まったというところでしょうか。
小選挙区の獲得議席は223です。
前回の2012年の衆院選のときは237で、14議席減っています。
12月16日エントリでお話しましたが、
野党は候補者を一本化する選挙区を大きく増やしたのですが、
得票率が下がって組織票のある自民党が有利になったので、
自民党はほとんど議席を奪われなかったのでしょう。
比例の獲得議席は68で、前回の57より11議席増えています。
2年前より自民党は信任されていると言えます。
それでも一時は70議席を超えて、80議席も超える可能性があると
言われていたので、案外すくなくすんだと言えるかもしれないです。
わたしにとって意外だったのは維新の党です。
小選挙区11議席、比例30議席で、合わせて41議席ですが、
公示前の42議席から1議席しか減っていないです。
ほとんど現状を維持したことになります。
半分くらいに減るかと思っていました。
とくに比例の30議席というのは、比例第3党になったとはいえ、
公明の26議席より多く、橋下徹氏のカリスマが薄れてきたとはいえ、
まだまだ維新の党は支持されているのだと思いました。
ちょっとだけ意外だったのは、公明党が比例で議席を伸ばして
全体で35議席と、公示前の31議席より増えていることです。
この公明の議席増があるので、与党の合計が微増したのですね。
生活の党が2議席と、社民党が2議席は、こんなものだろうと思います。
両党とも沖縄で小選挙区当選をしているのは大きいと思います。
最大の敗者は次世代の党です。
わずか2議席しか得られず、公示前の19議席から17も減らしています。
前回の2012年の衆院選は、維新の看板にたよって
比例で当選した議員が多かったですし、こんなものでしょう。
ネトウヨなんて案外票田が狭いということですね。
自民党を支持するネトウヨも一部にいるのもあるでしょう。
最大の勝者はなんと共産党になりましたよ。
これもちょっと意外だったと思います。
公示前の8議席から、獲得議席21と13も増やしています。
沖縄で小選挙区当選できたことが大きいと思います。
自民の批判票が民主や維新に行かず、
かなりの数の票が共産党に流れ込んだことになります。
自民党と公明党の連立与党はほとんど現状維持であり、
安倍政権は支持を更新したことになるでしょう。
とくに前回の2012年の衆院選で初当選した自民党の議員の多くが
再選を果たしたことで、基盤が強化されたものと思います。
民主党をはじめ野党側は、再結集の方向に多少進んだと言えそうです。
生活の党と次世代の党が泡沫にまで小さくなりましたし、
さらにみんなの党が選挙を前にして消滅して、
いわば「陰の敗者」となったからです。
残っている大きな野党は、民主、維新、共産となるでしょう。
(いつのまにか整理されたと思います。)
議席が増えたのは民主と共産なので、次世代の大敗と合わせて、
すこしだけリベラル側に寄ったとも言えると思います。
「リベラル寄りで野党統一」を希望する反自民勢力のかたに
望ましい方向に、ほんのすこし動いたと言えるかもしれないです。
外国メディアも、今回の日本の衆議院総選挙には関心があって、
報道しているところがたくさんあります。
朝日新聞の記事でそれが紹介されています。
「海外メディア「野党の弱さが自民勝利に」 衆院選を速報」
(はてなブックマーク)
自民党勝利について、つぎの分析を引用したいと思います。
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AP通信は「有権者の無関心と野党の弱さが自民党勝利につながった」と報じた
ドイツの研究機関「GIGA研究所」アジア部門長の
パトリック・ケルナー教授は
「強い野党が存在せず、有権者の大半は自民党以外に選択肢がなかった。
こうした日本の政治体系は民主主義的に問題がある。
個人的に日本の民主主義を懸念している」と語った。
英シェフィールド大のヒューゴ・ドブソン教授は、衆院選の結果について、
「特筆すべきは自民人気ではない。戦後最低レベルの投票率に表れた、
政治に選択肢を失った国民の失望だ」と話した
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野党が弱体化して、自民党以外の選択肢がしめされないので、
有権者が無関心になり、自民党の勝利につながったということです。
この分析は多くのかたが納得することだと思います。
自民党だけが圧倒的に強く、これに対抗できる野党がいないことは、
民主主義の観点からも問題が大きいという指摘も出ています。
これは本当に懸念しなければならないことだと、わたしは思います。
ところで、今度はこんな記事が目に留まりました。
民主・細野氏 代表選立候補を正式表明
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141219/k10014129711000.html
家族・夫婦の形は? 衆院選当選者、男女で意識差
http://www.asahi.com/articles/ASGDL41TVGDLUTFK003.html
朝日は今回の選挙のほぼ全議員の選択的夫婦別姓、賛成反対が出ていますね。落選運動するのに、すばらしい情報です。
>とりあえず次世代がほぼ壊滅したのはよかったです
当選したふたりは、自前の支持基盤があったからで
党が支持されたというわけではないので、実質的に全滅ですね。
>民主・細野氏 代表選立候補を正式表明
>http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141219/k10014129711000.html
ご紹介ありがとうございます。
うわさされていたけれど、正式に出馬表明ですね。
はっきり選択的夫婦別姓と言ってますね。
代表選の出馬表明で、出てくるとは思わなかったです。
こういうところで出てくると、わたしはうれしくなってきます。
自民党との対抗軸をはっきりしめすことができますね。
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細野氏は、みずからが目指す政策について、「選択的夫婦別姓の導入や、
多様な生き方を認める福祉の充実など、『多様性』を最優先に掲げたい。
外交・安全保障では、領域警備法や安全保障基本法を制定し、
現実的な平和主義に立った対応を進めていくべきだ」と述べました。
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>家族・夫婦の形は? 衆院選当選者、男女で意識差
>http://www.asahi.com/articles/ASGDL41TVGDLUTFK003.html
これは残念ながら、わたしは記事の最初しか読めないです。
夫婦別姓と家族のかたちで候補者の立ち位置分布を調べるなんて、
この問題に対してとても熱心ですね。