2014年12月26日

mar0006.gif人口ボーナス・オーナス

12月23日エントリで、長時間労働の問題とワークライフバランスを
導入することの必要性についての、インタビュー記事を紹介しました。

「「長時間労働をやめれば、日本は変わる」小室淑恵さんに聞く衆院選の争点
【少子化・ワークライフバランス】」

(はてなブックマーク)

この記事に「人口ボーナス期」と「人口オーナス期」についての
お話がすこし出ているので、これを見てみたいと思います。

 
「「人口オーナス」期は「失われた20 年」」
「人口オーナス期に経済発展するためには」
「人口オーナス期に経済発展するためには」

「人口ボーナス期」は若年層が多く、高齢層がすくない人口構成です。
社会保障費がすくなくてすむので、取り立てて人口政策を
行なわなくても、どんどん経済発展することが可能です。

「人口オーナス期」は若年層がすくなく、高齢層が多い人口構成です。
「少子高齢化」の社会であり、働く人にくらべて
支えられる人が多くなり、社会保障費が高くつくようになります。

日本における、生産年齢人口(15〜64歳人口)に対する
従属人口(14歳以下の人口+65歳以上の人口)の割合である
「従属人口指数」の年次推移を見ると、
1990年代の前半が谷底で、それ以後はどんどん増えています。

この1990年代の前半が、日本社会が人口ボーナス期から
人口オーナス期へと転換した時期ということです。
(冷戦とバブル経済が崩壊した時代の節目と、
ほぼ重なったのは偶然だろうと思います。)

これまでの人口ボーナス、今後の人口オーナス


人口ボーナス期から人口オーナス期への転換は、どこの国でも見られる現象です。
中国は2010年代の中ごろに転換すると言われているので、
いまがちょうどその時期ということになります。
インドはまだ人口ボーナス期ですが、2040年ごろに
人口オーナス期に転換すると推測されています。

(この図は生産可能人口を従属人口で割っているので、
上の図とは分子と分母が逆であり、人口構成の転換期がピークになる。)

日中印の「人口ボーナス」「人口オーナス」期 (生産年齢人口の従属人口に対する比率の推移)

中国は最近になって、目覚ましい経済成長をとげています。
これはいままでずっと人口ボーナス期だったので、
その利点をふんだんに活用できたのもあるのだろうと思います。

ほかには日本はかなり早いペースで人口ボーナス期から
人口オーナス期への移行が進んだこと、
そして一度人口オーナス期に移行すると、人口ボーナス期に
もどることはないといったことが、特筆することになるでしょう。


人口オーナス期に入った国が経済成長を維持するためには
どうしたらよいか、リンクした東レの資料を見ると
1. 社会保障を整備し、世代間格差是正に取り組むこと、
2. 女性や高齢者の雇用を促進することで労働力率を高めること、
3. 労働投入が減少しても生産性の上昇により成長率を維持していくこと
とあります。

人口オーナス期に入る国は、一般にそれまでの
経済成長によって社会が成熟しています。
社会保障を充実させられるだけの経済力があるし、
教育に家計を回せる家庭が増えているので高学歴層が増えているし、
権利意識が浸透して女性も働くようになっているし、
産業を支える科学技術力も発達しています。

よって上記の3つを推進するだけの人的資本や技術力といった
インフラは一通り整っているはずではあるのですよね。


付記:

1980年代くらいの人口論の本を見ると、
1. 多産多死(原始社会型)
2. 多産少死(開発途上国型)
3. 少産少死(先進国型)
の順に段階を経て、出生数と死亡数が移行すると書いてあると思います。
当時の先進国はほとんどが3.の段階に入っているので、
人口問題は先進国ではすでに解決したという論調なのですね。

3.の段階というのは、いわば「人口ボーナス期」だと言えます。
このあと先進国には「人口オーナス期」が訪れて、
少子高齢化に苦しむという新たな人口問題に直面することは、
まったく想定していなかったのではないかと思います。

posted by たんぽぽ at 22:42 | Comment(2) | TrackBack(0) | 政治・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
日本の戦後の高度経済成長は、ほぼ人口ボーナスで説明がつくのですよね。
日本人が勤勉だとかそういうことは一切関係がありません。
そして人口オーナス期にに入ったから日本の停滞が始まった。バブル崩壊とたまたま重なっただけです。
そして未だに人口ボーナス期の家族を標準モデルとする発想から抜け出ていないので現実と齟齬が生じているというわけです。
落井恵美子『21世紀家族へ』という本ではそのあたりのことが述べられていて教えられることが多かったです。

Posted by 御光堂 at 2015年01月02日 13:45
このエントリにコメントありがとうございます。

>日本の戦後の高度経済成長は、ほぼ人口ボーナスで説明がつく

ちょうど重なったのですよね。
日本は運がよかったのだと思います。
「かつての日本人は偉かった」なんて、変にうぬぼれることではないですね。

>人口オーナス期にに入ったから日本の停滞が始まった。
>バブル崩壊とたまたま重なっただけです

これも偶然でしょうね。
人口オーナス期への以降はバブル崩壊より数年あとのようですし、
人口オーナス期に入ったことは、バブル崩壊の原因ではないですね。

>未だに人口ボーナス期の家族を標準モデルとする発想から抜け出ていないので

そうなのですよね。
バブル崩壊から四半世紀になろうとしているのに。
それだけ前時代の既得権が強いということなのでしょうけれど。


>落井恵美子『21世紀家族へ』という本

この本ですね。
有斐閣なのでちょっとレベルが高そうですね。
http://honto.jp/netstore/pd-book_02433192.html

人口ボーナス、オーナスと経済成長を結びつけての議論は
あまり聞かないので、もっと知られていいことだと思います。
Posted by たんぽぽ at 2015年01月02日 17:02
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