フランスの家族政策についての記事を見ていきたいと思います。
フランスではなぜかくも家族政策に力を入れるのか、
その背景についてもすこし書いてあります。
「【こんにちは!あかちゃん 第24部】
少子化乗り越えた フランスから<上>手厚い家族給付制度」
「【こんにちは!あかちゃん 第24部】
少子化乗り越えた フランスから<下>家族を社会の根本に」
家族政策はいつからか。
「農業国であるフランスは、歴史的にも文化的にも家族を大事にしてきた。
第1次大戦で多くの男性が亡くなり、女性が男性の役割を担って
働かなければならなくなり、社会保障が始まった。
第2次大戦後は、その政策に家族の声が反映されるようになる。
フランスでは家族問題を民間でなく公的機関が解決すべきだという世論が強い。
家族は国家にとって基本的な根本問題と認識しているからだ」
フランスで家族政策が始まったのは両大戦間期とあります。
第一次世界大戦で出征した男性の人口が減ったので、
女性が働く必要が出てきたことが発端となっています。
「男性だけでは労働力が不足する」というのは、
どこの社会でも家族政策を転換させる大きな動機となるようです。
1937年のフランスの人口ピラミッドを見ると、
びっくりするようなことになっているのですよね。
まず最初に眼につくのは、20歳前後で男女とも
人口が大きく減っているところです。
これは大戦中で出産を控える人たちが多かったからです。
1937年のフランスの人口、これ初めて見たとき冗談かと思った pic.twitter.com/v3s0o5Te2k
— アサクラ (@AlphaCat21) 2014, 12月 12
http://fujicco2.tumblr.com/post/105002409727/bgnori

そして40代で男性だけ人口が減っています。
これは戦争に出征した男たちがなくなったことによります。
このような人口構成を見れば、政府がなにかしなければと
考えるのはごもっともなことだと言えるでしょう。
ここでスムーズに時代の変化に合わせた
家族政策を行なえるか、それとも因習・反動的な家族観に
捕われて効果的な政策ができないかは、
その国の社会のポテンシャルによることになります。
フランスは幸いにして、時代の変化に応じた家族政策は導入できたわけです。
フランス大使館のサイトにも、家族政策の簡単な経緯が書いてあります。
最初の公的な措置は1938年の家族手当てとあります。
(上述の人口ピラミッドは1937年なので、
家族手当て導入のための調査だったのかもしれないです。)
「フランスの家族政策」
2. 歴史:フランスの家族政策の推移
最初の公的措置は両世界大戦間にさかのぼるが(1938年政令法による家族手当)、
フランスの家族政策が本格的に実施されたのは第2次世界大戦後である。
1946年予算法による家族係数の創設に続いて、
1946年法で社会保障の家族部門が給付する4つの手当
(家族手当、単一給手当、産前手当、出産手当)が創設された。
1950年、社会保障の歳出の40%が家族部門に関連するものだった。
家族政策一般が本格的になったのは第二次世界大戦後で、
このころから家族政策を行政が積極的に行なうべき、
という論調が強くなったのでしょう。
記事でインタビューを受けているかたの所属する
「全国家族協会連合」が設立されたのは1945年で第二次世界大戦後です。
こうした家族問題を扱う専門組織を法律によって作る
ということが、わたしに言わせればすごいのですが、
家族政策をそれだけ重視していることだと言えます。
フランス全国家族協会連合 (UNAF)
1945年、法律によって設立されたボランティア団体。
全国約4800の家族問題を扱う組織を代表して、
労働組合や企業経営者団体などと一緒に、政府や議会、
全国家族手当金庫などに家族の声を反映させ、その政策を監視する。
フランスが家族政策に熱心なのは、それだけフランスの国民が
家族を重視していることの現れと言えます。
世論調査でいつも家族がいちばん重視されるというのはすごいですよ。
「日本社会にとって家族は重要という基礎を構築するべきだ。
フランスでは世論調査をするといつも、家族が一番重要という結果になる。
国家としての永続性を考えると、社会や企業にとって家族の役割は大きい。
日本では家族政策はそれほど重視されないのですよね。
政治というと経済とか安全保障といった、
「天下国家」を語ることとされます。
家族やジェンダーの話題なんて「小さいこと」を
語ることではない、という考えが強いのでした。
「争点にならない女性政策」
日本で世論調査をすると、最重要政策はいつも景気対策です。
家族政策が上位に来ることはまずないです。
「いつも、家族が一番重要という結果」なんて
フランスのようなことは、まず考えられないです。
インタビューを受けたUNAFのかたは
家族問題は日本の政治でどのあたりに位置づけられているのか。ともコメントしています。
政府が何を重要課題として選択し、対処していくかは政治の問題だが、
国民が関心を持たない政策を政治は選ばない」
日本では家族政策が軽視され、いつも重要な政治課題にならない現状を
見透かしているかのようです。