2015年01月07日

toujyouka016.jpg 金融緩和で雇用が増加

12月5日エントリで、デフレ時に金融緩和を行なうと
雇用が増大するということを、お話してきたのでした。
安倍政権の経済政策で本当にそうなっているのか
(雇用が増えているのか)を、ここで見ておくことにします。

 
>就業者数

1月3日エントリで紹介した、自民党の圧勝を予測した記事に、
就業者数の年次推移のグラフが出ています。
出典は総務省の『労働力調査』となっています。
この図を見ると、民主党政権時代に就業者数は減少傾向にあったのですが、
安倍政権に入ってからきゅうに増加傾向に転じていることがわかります。
これはかなりはっきりしていますね。

「就業者数100万人増」

就業者数(万人)の推移

また1月3日エントリで紹介した、野党の今後の方針について
述べた記事には、株価と就業者数の相関をしめした図があります。
株価はもちろん日経平均です。
6月先就業者数は出典が総務省の資料とあるので、
さきの『労働力調査』だろうと思います。

「アベノミクス継続は日本経済にいいこと」

日経平均(左軸、円)と6月先就業者数(右軸、万人)


株価と就業者数がとてもよい相関をしめしていることはあきらかです。
株価は企業の経営状態を直接的に反映しますから、
株価が高いときは、企業が雇える人の数も増えることは、
容易に理解できるだろうと思います。

もちろん企業の経営状態が良好になることが、
株価の上昇と被雇用者の増加のそれぞれに影響するため、
このような相関が出てくるということです。
株価と被雇用者数のあいだに直接の因果があるのではないです。


>求人倍率

安倍政権の経済政策による雇用状態の改善をしめすデータは
ほかにどんなものがあるかですが、求人倍率を見てみることにします。
大学卒に対して、求人の総数と民間企業への就職希望者数との比の年次推移を、
リクルートワークス研究所の資料からグラフにしてみました。

「大卒求人倍率調査」

リーマンショック以降、急激に求人倍率が下がって、
民主党政権時代は1.2-1.3程度に低迷していたのですが、
2015年卒(2014年度在籍)になって1.61と跳ね上がっています。
《最新の調査結果(2015年卒)より》
求人倍率は1.61倍と、前年1.28倍より大幅に上昇
求人数は、300人未満企業で+44.5%、建設業で+38.0%と大幅増加

求人倍率

求人倍率


中学卒、高校卒の求人倍率も2015年卒で高くなっています。
中学、高校、大学とすべての学歴において、
2014年度在籍者からきゅうに求人が増えたことになります。
これは安倍政権の経済政策によって、
雇用が増えたと考えられることになるでしょう。

「平成26年度「高校・中学新卒者の求人・求職状況」取りまとめ」
【高校新卒者】(第1表)
求人数   約 23万8千人で、前年同期比 38.4%の増
求職者数 約 18万6千人で、同 0.1%の増
求人倍率 1.28倍で、同 0.35ポイントの増

【中学新卒者】(第2表)
求人数   526人で、前年同期比 8.7%の増
求職者数 1,270人で、同 2.2%の減
求人倍率 0.41倍で、同0.04ポイントの増


もうひとつ厚生労働省の『一般職業紹介状況』という資料を
もとに作成した、有効求人倍率の年次推移です。
これは学歴に関係なく、新卒者にかぎらず、
すべての求人と求職を加味したものだと思います。



リーマンショックによって求人倍率がきゅうに落ち込むのですが、
それ以降はすこしずつ上昇に向かっています。
民主党政権時代から増えていて、安倍政権になって
きゅうに増えかたが早くなったわけではないです。
これを見るかぎり、安倍政権の金融緩和がとくに
求人倍率を高めたのではないことになります。

(アベノミクスを擁護する人は、「真の失業率」を算出して
「民主党政権時代は自分から求職をあきらめた人がいたから、
みかけの求人倍率が上がったのだ」と説明する。)


>正規雇用は減った?

安倍政権の経済政策で増えたのは非正規雇用であって、
正規雇用は減っているというデータがあります
高齢化社会の影響も考えられるというので、
生産年齢人口に応じた正規雇用の割合をしめしたグラフが、
以下のエントリでしめされていました。

「アベノミクスで正規雇用者も増え始めた!!」

生産年齢人口(15-64歳)減少を考慮したら正規雇用も増えていた

この図は雇用者数を生産年齢人口で割って、
生産年齢人口に対する割合を算出したものです。
正規雇用は民主党政権時代は40.5%程度で横ばいでしたが、
2014年になって41.6%と増えていることがわかります。
(非正規雇用は民主党政権時代からすこしずつ増えています。)

安倍政権の経済政策は非正規雇用だけでなく、
正規雇用も増やしていると、いちおう結論してよさそうです。
正規雇用の総数が減ったのは、生産年齢人口そのものが
減ったからだ、ということになりそうです。

(生産年齢人口が減って空いた正規雇用のポジションを
それまで正規雇用につけなかった人にあてがっただけで、
新しく正規雇用を作り出したのではないのではないか?
という疑問も考えられるのではありますが。)


>結論

これらのデータから、安倍政権の金融緩和によって
雇用が増えたと納得してよいだろうと思います。
非正規雇用だけでなく、正規雇用も増えていると考えて
いちおうはよさそうですが、詳細を検討する余地はありそうです。

posted by たんぽぽ at 22:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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