調査を始めた1984年以降で、過去最高となったのでした。
安倍政権の金融緩和政策は雇用を増やしていると言いますが、
ここに「アベノミクスが増やしている雇用は非正規だ」
という批判が出てくることになります。
「非正規労働者数が「初」の2000万人突破 女性の派遣社員、急増」
「 非正規社員2000万人突破、女性やシニアが増加 11月
前年同月比48万人増、総務省調べ 」
(はてなブックマーク)
「非正規、2000万人突破=雇用者の4割、処遇改善課題」
非正規が増えた理由は、
1. 65歳以上
2. 女性
の多くが非正規雇用についているからです。
1.は定年退職後の再就職で非正規雇用につくケースが多いためです。
2.はいまだ妊娠・出産後もとの職種や職場に復帰できず、
派遣やアルバイト、パートなどにしかつけないケースが多いということです。
また、男女別にみると、男性が6万人増の56万人、
女性が13万人増の79万人となっており、女性の派遣社員が増えていることがわかる。
非正規社員を性別ごとに見ると、女性が36万人増と増加分の4分の3を占めた。
年齢別にみると65歳以上が26万人増と、64歳以下の22万人増を上回った
足元では、家事・育児を抱える女性の就労や、
定年退職した男性の再雇用などが増加の主因に変わってきている
つぎのエントリで、高齢層と女性に非正規雇用が
増えたことが図でしめされています。
出典は「毎月勤労統計調査」で、2012年1-12月の平均と
2014年1-9月の平均との差を取っています。
65歳以上の高齢層と女性とで増えていることは一目瞭然です。
「非正規雇用が増えた理由はこれ!」
マイナスになったところはないので、
すべての年代・性別において2012年より2014年のほうが
非正規雇用が増えていることになるのでしょう。
雇用が増えたことはたしかであり、
これはこれで「アベノミクス」の成果だと言えます。
1月7日エントリで、安倍政権の金融緩和によって
雇用が増えているというのは、非正規雇用だけでなく
正規雇用も実質的に増えているようだ、ということを見てきたのでした。
「金融緩和で雇用が増加」
そうだとしたら、正規雇用につけたのはおもに男性であり、
女性は相変わらず非正規雇用をあてがわれているということになります。
「アベノミクス」はたしかに正規雇用を増やしたかもしれないが、
それは男性のためのものだったということになるでしょう。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS26H4R_W4A221C1EE8000/
企業で定年後の再雇用が広がっているほか、
子育てが一段落してパートに出る女性が増えているため。
かつては正社員になれずに非正規になる若者が急増したが、
足元ではシニアと女性が目立つ
2014年3月7日エントリで、日本社会は女性を非正規雇用という
労働市場の周辺に押しやっている、ということをお話したのでした。
「アベノミクス」が雇用を作り出したと言っても、
女性のこうした労働状況、とくに妊娠や出産以後、
もとの職種や職場への復帰はむずかしく非正規雇用にしかつけない
という状況は、ほとんど変わっていないことになります。
「M字カーブ緩和の原因」
女性のすがたの変化。M字カーブの底が浅くなり,有業者の比重が増えているが,増分のほとんどは非正規雇用(パート・バイト,派遣等)。90年代以降の女性の社会進出とは,こういうことか。 pic.twitter.com/bFbTS9OuWo
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2014, 2月 7
非正規雇用が正規雇用とくらべて年収がすくなく、
将来性もとぼしく不安定であることは言うまでもないことです。
ただ、多くの企業で非正規は正社員に比べて賃金水準が低く抑えられ、
キャリアアップの機会も限られる
「男女&雇用形態別年収分布」
正規・非正規の年収曲線。雇用形態の差と同時に,正社員のジェンダー差にも注目。これ,調査法の学生さんに計算させたんだけど,憤りの感想が多かった。 pic.twitter.com/XC6tgbqBwN
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2013, 12月 23
4年以上前になりますが、世界経済フォーラムの男女平等指数で
男女の賃金格差が若干解消されたことについて、
こんなコメントをいただいたのでした。
http://taraxacum.seesaa.net/article/166530348.html#comment
正規雇用が減り、男性も非正規雇用が増えたせいでしょうね。
景気対策や雇用対策が奏功して正規雇用が増えたら
もちろん男性から先に正規雇用されることになり
賃金格差が再び増える予感。
(2010年10月21日 09:02)
この予感は当たるかもしれないですね。
男性からさきに正規雇用というのは、すでにそうなっているようです。
非正規との賃金格差も変わらないでしょうし、
ふたたびそれが男女間の格差となって現れるでしょう。