なにが問題なのか、事情にくわしい識者に訊いたインタビュー記事があります。
これを見ていくことにします。
「民主党に欠けているものは、代表選の議論は 識者に聞く」
(はてなブックマーク)
「民主党の現状 識者に聞く 地味に汗をかく人少ない
代表選 方向示す一歩に」(全文)
記事では民主党は下野してから2年間のあいだ、
党の組織体質や組織文化に変化があまりなかったという指摘があります。
これは言うまでもなく大問題です。(わたしは軽くがっかりしました。)
2012年の衆院選の大敗をもってしても、自分たちの問題に
まともに向き合ってこなかった、ということだからです。
具体的なこととして、ひとつ目に挙げていることがつぎの特徴です。
リーダー(もしくはわかりやすい「責任者」)に
全部の責任をお仕着せしようとする、ということです。
民主党の特徴として、問題の所在や原因をリーダー一人に負わせる傾向が強い。
はてなブックマークにつぎの指摘があります。
最近の民主党議員の海江田氏批判みてると、党のために火中の栗を拾った人に対しての応分の尊敬がないと感じる。このインタビューで指摘されてるように、そういう結束力や忠誠心の足腰が弱いチームなんだな。 / “民主党に欠けているものは、代表…” http://t.co/Kld8cI58mn
— なみすけ (@namisk) 2015, 1月 11
海江田万里氏はさえない代表だったとは思うけれど、
党勢が凋落しきってだれも責任を取りたがらない状況で、
よく代表を務めることを買って出たとは思いますよ。
それくらいは「リスペクト」したいところだと思います。
2013年の衆院選のとき、なにかというと離党勧告や除籍といった
厳格な処分をすることを、わたしは問題にしたことがありました。
最近は鳴りを潜めたかもしれないですが、
こういう「粛清」まがいの処分をすぐにやるのも、
リーダーやわかりやすい「責任者」をスケープゴートにして
解決しようとする体質の現れのうちかもしれないです。
わたしがこれまでに紹介した民主党の問題点を分析する記事は、
その多くは党全体の体質や問題であるとしていて、
特定の個人の責任については問題にしていないのですよね。
的確な分析というのは、おのずとそうした内容になるのだと思います。
「経済と雇用・自民の対立軸」
「民主党・衆院選敗因の分析」
「金融安定化政策と民主党」
「民主党政権・失敗の検証」
「小沢がすべてを語った(2)」
「小沢がすべてを語った」
「失われた20年と民主党」
「民主党崩壊の原因分析」
特定個人の資質の問題ではなく、党全体の組織体質や
組織文化の問題だということを理解しないと、
民主党の体質改善はおぼつかないだろうと思います。
ついでひとつ目の問題点の続きとして、
縁の下の力持ちをやる人が少なく、党の合意形成に汗をかかない。という点を挙げています。
サッカーで言えば、みんながフォワードをやりたいチーム。
それは、まさに地味な働きを評価して選挙で支えるような組織文化がないからだ。
前に『民主党政権・失敗の検証』という本を紹介したとき、
民主党はガバナンスがお粗末で、決まったことに従わないとか、
思いつきでなにかを突然やり出すことが日常茶飯事、
ということをお話したのでした。
かかるガバナンスのお粗末さは、意思決定システムが不透明な
トップダウンということがあると前にお話したのでした。
ほかにもここで挙げたような、みんなが「フォワード」を
やりたがるという体質もあるのかもしれないです。
ふたつ目の問題点は
結党から政権交代まで中心的役割だった鳩山・菅・小沢各氏をということを挙げています。
「第1世代」とすると、第2世代以降の「主体的に党をつくる」覚悟に疑問を抱く。
二大政党制を根拠に「自民党に行った振り子はいつか戻ってくる」
という楽観的な空気を何度も感じた」
このような楽観視はどこから来るのかと思います。
(民主党は選挙が風頼みの体質から脱却していないと言われますが、
こうした楽観視とも関係あるのでしょうか?)
こういう感覚では、自分たちは変革しなければならない、
という切迫した意識にはならないでしょうね。
その意味では2014年の衆院選は負けるべくして負けたのだと思います。
民主党が自己変革をとげて、民主党が嫌いな人でも
「民主党はよくなるかも」と思うくらいでなければ、
振り子は戻ってこないと思いますよ。
55年体制の長きにわたって、政権交代の必要性が言われながらも
自民党がずっと政権を取り続けたことを考えれば、
いつまでも政権は取れないことはありえるでしょう。
こうした楽観の成れの果てが共産党だろうと、わたしは思いますよ。
彼ら共産党の支持者たちは、自分たちは「前衛」なのだから、
いずれ支持されるようになるという、一種の楽観があるのですよね。
それで自分たちが支持されなくても「人のせい」にして、
必要な自己変革を怠ってきたために、
現在のような党勢の凋落した状態を招いたのでした。