提言の記事がまたあったので、ご紹介します。
言いたいことはタイトルですべてを表わしています。
「民主党は、労組から自律した、経済成長を肯定し、
革新的で、寛容な政党の道を歩むことができるか」
(はてなブックマーク)
ひとつ目のポイントは、経済成長の肯定です。
これは多くのかたが指摘していることだと思います。
経済成長と、その具体的な方法、また金融緩和の是非と経済政策について、
より積極的に主張すべきという議論と表裏一体である。
現政権の看板である「アベノミクス」が経済政策のパッケージである以上、
経済成長とその道筋について提示できないようでは、
昨今の有権者の関心を惹きつけることは困難だろう。
あらゆる政策のリソース確保のために、
保守とかリベラルとか関係なく経済成長が必要であることは、
1月3日エントリで紹介した記事で触れたことでした。
経済成長がないと財源が確保できなくなって、
政策の自由度がすくなくなるということです。
「「成長重視」は共通、与野党の対立軸は別に」
記事では「金融緩和の是非」としか書いていないですが、
デフレ時の金融緩和は推進することだ、ということだろうと思います。
これも何度かお話していますが、デフレ時に金融緩和を行なって
物価を上昇させれば、企業の経営状態が改善され雇用が増えて、
いわゆる「雇用弱者」が救われるようになるからです。
「金融安定化政策のメモ」
「金融緩和で雇用が増加」
「金融緩和で倒産が減少」
経済政策は安倍政権が支持される最大の要因です。
よって有権者の支持を得るためには、
ここで対抗をしめす必要があると言えます。
「アベノミクス」で支持・肯定できるところは継承し、
ふじゅうぶんなところ(再分配政策など)で、
対案をしめすというかたちが効果的になるでしょう。
ふたつ目は多様性、寛容性の確保です。
これは民主党の結党理念にもさかのぼることができるもので、
民主党としては推進しやすいものだと思います。
政策で見ると、今回の代表選で出てきたLGBTの権利擁護といった論点は、
一見マイナーだが、寛容性や多様性の擁護という点で注目すべきで、
そして、民主党の結党理念にも遡ることができる論点でもある。
性的少数者の権利という課題が、今回の代表選で入ってきたことは、
時代の要求に応じて変化できているということだと言えます。
じつは選択的夫婦別姓もいまだに課題であり続けているのであり、
実現に向けた取り組みをしめしてほしいところです。
自民党はあのおなじみの「家族のカチ」と呼ばれる、
高度経済成長期の家族観の維持を標榜しています。
これは家族を特定の枠にはめ込むやりかたであり、
多様性や寛容性とはまったく逆行しています。
こうした画一的な家族思想によって、あてはまらない家族の人たちを、
社会的にも法的にも存在を黙殺するわけです。
自民党は同性愛者の人権問題には取り組まなくてよいなどと、
市民団体のアンケートで臆面もなく答えるくらいです。
多様性と寛容性を推進することは、
自民党と差をつけやすい課題ということになります。
3つ目のポイントとして、経済成長を是とする政策を
推進するためには、支持基盤の労働組合の顔色を伺ってばかりでは
うまくいかない、ということが述べられています。
厳しい風向きのなかで明示的な支持団体である
労組の顔色ばかりを伺っているようでは、
その他の--とくに小選挙区制導入以後、選挙に大きな影響を与えるようになった
無党派層の--有権者の共感や支持は得られまい。
これはわたしには、実際のところがどうなのか判断できないです。
労働組合はその多くが経済成長に否定的だったり、
金融緩和アレルギーがあったりする、ということなのでしょうか?
小選挙区は無党派層の支持を多く集める必要があり、
固定支持層のほうばかり見ていては選挙に勝てない、というのはたしかです。
小選挙区で当選するためには、高い得票率が必要なので、
固定支持層からの票だけではたりなくなり、
無党派層の浮動票をたくさん集める必要があるからです。
中選挙区は得票率が10数パーセントで当選できるので、
固定支持層を堅めれば、わずかな浮動票の上乗せで当選できます。
それゆえ支持基盤の意向ばかり反映されて、
一般有権者の民意が締め出されるという批判があり、
中選挙区は廃止されたのでした。
付記:
記事では「リベラル」を標榜すると有権者に対する印象が
かえって悪くなるのでは?と懸念しています。
日本のリベラルにありがち(?)な経済不信ゆえに、
彼らが経済成長を否定する言動を展開することがあるからです。
日本で「リベラル」というとき経済成長との相性が
あまり良くない印象があるからである。事実、「リベラル」とされる論者が、
縮小経済や定常経済論(?)を展開してきたという事情もある。