長谷川豊氏のとんでもない少子化対策のお話です。
「保育環境を整えれば子供を産む、という大ウソ」
「フランスの少子化対策を、僕は成功と言わない」
「「専業主婦が増えれば少子化は解決」という意見で頭痛が痛い」
「女性の社会進出は少子化の原因なのか? 〜少子化を止める二つの方法〜」
(はてなブックマーク)
「「専業主婦になりたいわけじゃない!」
元フジ長谷川豊アナの少子化対策案に現役ママから反論が殺到」
(はてなブックマーク)
今回はつぎのくだりを見てみたいと思います。
「差別ではなく能力がないから差が出ているのだ」というのは、
差別する人間がしばしば言うことですね。
「女だから出世が出来なくて!」とかいう人、そこそこいるんですけど、
自分の能力のないのを性別のせいにしてごまかすなって。
僕、女性に嫌われるの全然気にしない人間なのではっきり言いますが、
優秀な女性はちゃんと出世します(断言)
女性管理職の割合については、11月9日エントリでご紹介した、
つぎの図をここでも挙げておくことにします。
管理職の割合は、欧米の民主主義国では30-40%程度と
なっているのに対し、日本はわずか10%程度です。
専門職・管理職の女性比の国際比較図。フィリピンはスゴイな。双系社会だからか。日本と韓国は仲良しの位置。 pic.twitter.com/cDVQ6NvDf3
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2014, 4月 17
このようにあからさまな差があるのは、欧米の民主主義国と日本とで
女性の能力に差があるからではなく、日本は欧米の民主主義国とくらべて、
女性が管理職になりにくい社会構造があるからだと考えるのが、
自然で無理のない理解のしかたです。
日本で女性の管理職がすくない大きな原因に長時間労働があります。
長時間労働という習慣は、家事労働を妻に任せきりにして、
男性は仕事のことだけを考えていればよかった
55年体制の時代に定着したものです。
昇進するためには、長時間労働が必要な企業も多かったわけです。
「WLBと女性管理職の割合」
「女性管理職と長時間労働」
「日本の女性活用の「不都合すぎる真実」
衝撃! 女性の出世には「長時間労働が必須」だった」
(はてなブックマーク)
「「長時間労働をやめれば、日本は変わる」小室淑恵さんに聞く衆院選の争点
【少子化・ワークライフバランス】」
(はてなブックマーク)
多くの働く女性にとっては家事労働をやる必要があり、
仕事と家庭の両立、ワークライフバランスの問題が出てきます。
それゆえ従来の男性のように家庭をかえりみずに
長時間労働をするわけにいかないですから、
長時間労働が昇進の前提になっている職場環境では、
管理職になかなかなれなくなるということです。
かくして職場のほうが長時間労働のできない女性を
管理職昇進の機会のすくないポジションにつけるとか、
あるいは女性がみずから「眼の前にいるような管理職になりたくない」と考えて、
長時間労働を敬遠することになるわけです。
http://toyokeizai.net/articles/-/49529?page=3
長時間労働をした女性しか、出世できていない!
男女で比較してみると、管理職要件に長時間労働がかかわる度合いは
女性のほうが男性より高いのです。残業できない雇用者は、
そのほとんどが女性ですが、最初から一般職など
管理職昇進機会の極めて少ない職に就けてしまうからです。
http://www.huffingtonpost.jp/2014/12/12/komuro-yoshie-election2014_n_6313526.html
女性たちは管理職になりたくないのではなくて、
「今、目の前にいる管理職のようにはなりたくない」と
感じていることがわかったんです。
管理職のイメージは「残業代はつかなくなって仕事は増え、
責任だけ重くなって、家庭が崩壊する……」でした。
職場の意識が依然として男性中心で、女性が働き続けることが
なかった時代の習慣で動いているところへ、
女性が入ってきたので、女性がなかなか昇進できず、
女性管理職の割合が低くなるということになるでしょう。
ワークライフバランスの達成度が高く、
長時間労働が昇進のために必要でなくなった企業のほうが、
女性管理職の割合が高いことを解説した記事もあります。
「ホワイトカラー正社員の管理職割合の男女格差の決定要因--
女性であることの不当な社会的不利益と、その解消施策について」
専業主婦・主夫を増やせばいい、って、まだ社会保障がいまよりマシで、年功序列終身雇用で福利厚生がしっかりしてた時代ならありだろうけど、誰が食べさせるんだよって思います。
このエントリにコメントありがとうございます。
>ああいう程度でBLOGOSに掲載されてしまうのに脱力ですわ・・。
しかも「なにをいまさら」的な内容ですしね。
ブロゴスも変な記事が載ることは結構あるみたいですね。
ああいう内容の文章には、いまもってそれなりに需要がある
ということかもしれないです。
>専業主婦・主夫を増やせばいい、って、
具体的にどうしたらいいか、政策上の手段は書いていないですよね。
専業主婦を養うだけの経済力をどうするかについても、
まったくと言っていいほど考えなしですね。
(長谷川豊にかぎらず、「専業主婦を増やせ」と主張する人は、
どうやって増やしたらよいかまでは言わないように思います。)
>その金融機関は古い体質の金融機関ですし、
>男性と肩をならべて昇進しようとすれば、当然同じだけの仕事量を要求され、
>それで家庭との両立は不可能だったということだと思います
その可能性はありそうですね。
体質が古ければ長時間労働に対する疑問なんて、
ぜんぜん出てこないでしょうし。
>同世代の女性もみんな管理職の道は歩まず、
>また、いま、女性管理職になれるルートに若い女性は
>誰もいないとおっしゃっていました
まさにこのエントリで書いたようですね。
「男社会」が長時間労働で女性を締め出すし、
女性もみずから望まなくなるし、です。
>日本は本当に人が働くのに優しくない国だと思います
面接で「残業はできますか?」と訊いてくる企業も
いまだにありますからね。
バブルがはじけて四半世紀になるのに、
高度経済成長期からバブル時代までの遺物に
いつまでしがみつくのかと思います。
「長時間労働はやめよう」という声が、目立つようになったのが、
そもそも最近なのではありますが。
長谷川豊という人、多分に問題含みのようですね。
持ち上げられて高飛車になっているのかと思います。
わたしもこんなのを見つけました。
きっと長谷川豊がおかしなことを言っているのでしょう。
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2014/08/post-44b9.html
日本で女性管理職が少ない理由として、最も大きな要因が育児と仕事の両立が困難であることによる「結婚・出産に伴う女性のキャリア断絶」にあると考えますが、日本においてはこの長時間労働も無視できないですね。
世界各国の年間労働時間と女性管理職比率を見比べると特に高い相関はみられないので、日本では女性が結婚すると家事を押し付けられ、子どもが生まれると育児を押し付けられてしまい(日本の既婚男性のこれらへの取組時間は諸外国と比べて著しく少ない)、結婚・出産によって女性の長時間労働への耐性が著しく低下するという日本特有の現象を指摘せざるを得ないと思います。
これに加えて、企業の要望通りに残業や休出などを行えるかどうかが出世に大きく響くという日本の企業文化と、日本社会の仕事と出産・育児の両立困難性に伴って、企業が女性の寿退社を恐れて女性への教育投資に不熱心であること、このような将来を見越して家庭での教育投資に違いがあること(息子には一浪まで認める家でも娘には浪人させない、息子には受験向けの学習塾に行かせるが娘には料理やピアノなどをさせるなど習い事の種類が大きく異なる)が管理職比率における男女差が著しくなる結果として表れているのだと思います。
世界の労働時間国別ランキング
http://www.globalnote.jp/post-7518.html
女性管理職比率の国際比率
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3140.html
ご存じとは思いますが、労働時間について日本は西欧諸国より長いものの、アメリカや途上国に比べると長いとは言えない一方で、女性管理職比率は世界でもずば抜けて低いですね。
女性管理職比率低迷と出生率低迷に追い打ちをかけている要因として、大都市圏を中心とした長距離通勤時間の実態があることも指摘できます。
【日本と他国の比較】労働時間と通勤時間
http://cafenextlinkage.blog58.fc2.com/blog-entry-33.html
首都圏の通勤時間は諸外国の都市と比較して突出して長い
http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/syutokou/pdf/19.pdf
日本人の働き方と労働時間に関する現状
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg2/koyo/131031/item2.pdf
これを是正するためには、残業や休出など時間外労働に対する割増比率を大幅に引き上げ、例えば残業させた場合は50%割増しとするなどして企業が従業員に残業させるインセンティブが働きにくくし、通勤に対しても欧州のように例えば無賃金の通勤時間の上限を30分までとし、それを超える通勤時間に対しては、通勤手当の他に時間賃金の半額を支払うことを法制化し、これらを厳格適用することが必要だと考えます。
労働時間や通勤時間が減れば、ワーク・ライフ・バランスは改善し、余暇や睡眠の時間が増えて、日本人の幸福度は上昇するはずですし、女性の出産・育児に伴うキャリア断絶もある程度は解消に向かうでしょう。日本の既婚男性のすこぶる少ない家事・育児時間も少しは増えるかもしれません。(儚い希望…)
コメントありがとうございます。
>日本で女性管理職が少ない理由として、最も大きな要因が
>育児と仕事の両立が困難であることによる
>「結婚・出産に伴う女性のキャリア断絶」にあると考えますが、
>日本においてはこの長時間労働も無視できないですね
そうなのですよね。
女性管理職の割合に関しては、出産・育児にともなうキャリア断絶より、
長時間労働のほうが、じつは影響が大きいのではないかと言われています。
>世界各国の年間労働時間と女性管理職比率を見比べると特に高い相関はみられないので、
>日本特有の現象を指摘せざるを得ないと思います
日本の長時間労働は、高度経済成長期からバブル時代という
「55年体制」時代に合わせて効率化された企業文化なので、
もしかしたらと思っていたのですが、やはり日本特有の現象だったのですね。
>世界の労働時間国別ランキング
>http://www.globalnote.jp/post-7518.html
>女性管理職比率の国際比率
>http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3140.html
ご紹介ありがとうございます。
>労働時間について日本は西欧諸国より長いものの、
>アメリカや途上国に比べると長いとは言えない一方で、
>女性管理職比率は世界でもずば抜けて低いですね。
人口ボーナス期にある開発途上国は、「質より量」なので
長時間労働が効率的だが、人口オーナス期にある先進国は、
物量ではかなわないので、長時間労働は非効率で「量より質」で勝負だ
という主張があるのですが、たしかに開発途上国は労働時間が長く、
先進国は労働時間が短い傾向になっていますね。
http://taraxacum.seesaa.net/article/411322562.html
http://taraxacum.seesaa.net/article/411361759.html
>【日本と他国の比較】労働時間と通勤時間
>http://cafenextlinkage.blog58.fc2.com/blog-entry-33.html
>首都圏の通勤時間は諸外国の都市と比較して突出して長い
>http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/syutokou/pdf/19.pdf
>日本人の働き方と労働時間に関する現状
>http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg2/koyo/131031/item2.pdf
こちらもご紹介ありがとうございます。
そうそう、日本の通勤時間は諸外国とくらべて長いのですよね。
ヨーロッパの人だと通勤時間が30分くらいになったら
もう限界、というかたも多いですからね。
長い通勤時間も、ワークライフバランスの妨げになっているでしょうね。
>欧州のように例えば無賃金の通勤時間の上限を30分までとし、
>それを超える通勤時間に対しては、通勤手当の他に
>時間賃金の半額を支払うことを法制化し、
なるほど。
通勤も雇用者が従業員に対して要求するものですから、
「労働時間」扱いするのは一案ですね。
いまのところ日本ではそうした意見は顕在化はしないようですが、
だれか検討しないかと思います。