2015年03月14日

toujyouka016.jpg 働く既婚女性に別姓の調査

3月7日に日本経済新聞が、選択的夫婦別姓の調査を行なっています。
対象は20-50代の働く既婚女性1000人です。
クロス・マーケティング(業者)に依頼してインターネットで聞いています。

「選択的夫婦別姓、働く既婚女性は77%賛成 本社調査」
「選択的夫婦別姓」本社調査 働く既婚女性「賛成」77%」(全文)
(はてなブックマーク)
「 新姓・旧姓、職場で使うのは? 旧姓派も4分の1 既婚女性1000人調査 」
(はてなブックマーク)

 
はじめに「選択的夫婦別姓制度についてどう思いますか」という
制度の是非について訊いています。
以下の上側の図にしめしたように、賛成が77%、反対が23%です。
図にはなく記事本文での言及ですが、
仕事で旧姓を使っているかたにかぎると、賛成は83%です。

「選択的夫婦別姓制度」についてどう思いますか 「選択的夫婦別姓制度」が導入されたらどうしますか

これは2013年2月の内閣府の世論調査はもちろん、
一般を対象とした2014年10月の毎日新聞の世論調査よりも
賛成の割合が高くなっています。
内閣府の世論調査は賛成が35.5%、反対が36.4%、
毎日新聞の世論調査は賛成が52%、反対が40%でした。

「内閣府による世論調査」
「毎日・夫婦別姓の世論調査」

さらに補助ブログの3月10日エントリでご紹介した、
マイナビニュースの会員アンケートよりも賛成の割合が高いです。
このアンケートは選択か強制かがわかりやすい質問のしかたをしていて、
賛成は71.3%、反対は23.7%だったのでした。

「夫婦別姓どう思いますか?」


働く既婚女性は、ほとんどのかたが結婚改姓の不便に
おおかれすくなかれ直面しているということですね。
自身が非改姓結婚を望んでいる場合はもちろん、
改姓してそれに納得しているかたでも、
結婚改姓の不便を経験したことがあって、ほかのかたが非改姓結婚を
必要とすることは、理解できるということだと思います。

仕事で旧姓を使っているかたにかぎると6人のうち5人が賛成です。
自身が旧姓を使っていれば、非改姓結婚を必要とする動機は
より強くなることは、言うまでもないということです。

このあたりは高齢層に回答者数が多く、
自分の妻が旧姓に戻すと言い出すことをひどく嫌がりそうな
男たちの意見が多くカウントされているであろう
内閣府の世論調査とは、だいぶ違った結果だと言えます。


つぎに「選択的夫婦別姓制度が導入されたらどうしますか」
という、自身の選択について訊いています。
はじめに眼につくのは「すでに同姓にしたので改めて
別姓にはしない」が48.7%となっていることです。
さらに「別姓にしたくない」が18.9%となっています。
合わせると67.6%で、3分の2くらいが別姓を選択しないことになります。

結婚改姓してすでに時間が経っているので、
婚氏のほうが自分に馴染んでいたり、婚氏しかしらない人が増えたり、
婚氏で諸般の手続きをしているしで、
いまからだと旧姓にもどすほうが不便ということなのでしょう。


「別姓にしたい」と答えたかたは15.8%となっています。
内閣府の世論調査では、民法改正に賛成の割合が36.4%で、
そのうち23.5%が別姓を希望していることから、
全体の8.6%が夫婦別姓の希望者と考えられます

日経の世論調査も選択的夫婦別姓に賛成のかたも
反対のかたも込みにしてですから、働く既婚女性にかぎると、
全体よりも非改姓結婚の希望が多いということになります。
もともと賛成が多いということもあるでしょうが、
ごく納得できる結果となっていると言えます。

未婚の女性まで含めたらどうなるかが興味を持たれるところです。
対象が既婚女性なので、婚氏が定着しているゆえに、
制度が導入されても別姓にしないかたが多いこともあったのでしょう。
これから結婚するかたを含めたら、別姓を希望するかたの数は
もっとたくさんいることも考えられます。



付記1:

はじめに選択的夫婦別姓の制度の是非について尋ね、
つぎに自分の希望について訊くという、シンプルな調査ですね。


付記2:

電子版では最初しか読めない記事は、社会面に載ったものでした。
全文が読める長い記事は女性欄に載ったものです。


謝辞:

2月21日エントリのコメント欄で、日本経済新聞の記事を
教えてくださった魚さま、ありがとうございます。

posted by たんぽぽ at 14:36 | Comment(2) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
この統計を見ると反対派の「職場なんて結婚して名字が変わりましたと連絡したら済む話」
「職場で通称つかえるから問題なし」
そして
最高裁の「旧姓使用が広まっている」との合憲判決がいかに実態を伴っていないかよく分かりますね。
実態を見ない聞こうとしなかった最高裁に改めて失望します
Posted by わんわん at 2017年03月31日 10:48
わんわんさま、
むかしのエントリにコメント、ありがとうございます。

>この統計を見ると反対派の

反対派の「通称使用でじゅうぶんだ」は、
独りよがりに納得するための方便なのだと思います。

それゆえ、現実に苗字の問題に直面する人たちのことは、
まったく向き合っていないのでしょう。


>実態を見ない聞こうとしなかった最高裁に改めて失望します

実態を見るよりも、圧倒的強さを誇る政権の顔色を
伺ったのだろうと想像します。
Posted by たんぽぽ at 2017年03月31日 22:05
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