日本経済新聞の働く既婚女性を対象にした、選択的夫婦別姓の
アンケート調査の記事を見ていきたいと思います。
「選択的夫婦別姓、働く既婚女性は77%賛成 本社調査」
「「選択的夫婦別姓」本社調査 働く既婚女性「賛成」77%」(全文)
(はてなブックマーク)
「 新姓・旧姓、職場で使うのは? 旧姓派も4分の1 既婚女性1000人調査 」
(はてなブックマーク)
今度は長い記事にある、つぎの調査を見ていきたいと思います。
>旧姓、新姓のどちらを使っているか?
はじめは仕事で使っているのは新姓、旧姓のどちらかという質問です。
新姓が72.3%で、旧姓が25.3%となっています。
新姓を使うかたは案外多いのだな、というのがわたしの印象です。
旧姓を使っている理由も複数回答で訊いています。
いちばん多いのが「単純に名字を変えたくなかった」で42.6%です。
仕事上の都合よりも実際にはアイデンティティのほうが
非改姓結婚を望む動機としては大きいと言われますが、
働く既婚女性であっても、仕事上の都合以上に
「単に改姓したくない」という理由が多いもののようです。
旧姓を使用する理由が「単純に名字を変えたくなかった」42.6%が興味深い。仕事上の明確な利便性だけじゃないんだよなーこういうの。 / “新姓・旧姓、職場で使うのは? 旧姓派も4分の1 :日本経済新聞” http://t.co/ytTELYHw1Q
— Akiko Orita (@oritako) 2015, 3月 11
ついで「仕事関係者が呼び慣れている」の40.4%、
「新姓にして仕事関係者に説明するのが面倒」の28.9%と続いています。
これらはまさしく仕事上の都合ですね。
あとに出てきますが、いつまでたっても婚氏を覚えてくれない人は、
結構いらしたりするのですよね。
新姓を使っているかたにも理由を訊いていますが、
いちばん多いのは「結婚したので変えたかった」で38.0%ですよ。
結婚したら名字を変えたいと思っている女性は、
じつはたくさんいるということだと思います。
「今の職場(会社)に入る前に結婚した」が24.1%あります。
この回答をしたかたは、仕事上の都合という観点からも、
婚氏で自分が認識されているので、
婚氏を使うほうが便利ということになるのでしょう。
事実婚で旧姓のままというかたが2.4%いらっしゃります。
これがすべての結婚のうち事実婚がしめる割合と考えてよいのでしょうか?
事実婚の割合をしめす統計はめったに見ないので、これは貴重だと思います。
(事実婚のかたは、自分には関係ないと思って、
訊かれても答えなかった、ということはないでしょうか?)
図ではなく記事中の文章ですが、職種ごとの旧姓、新姓の
使用比率が述べられています。
今回、ためらわずに新姓にした人が多かったのは、
回答者の4割が事務職だった上、職種別では公務員(87%)や、
経理・財務(78%)、事務(73%)といった内勤系で
新姓使用が高率だったことも反映しているとみられる。
アンケートで4人に1人強が旧姓を使っていたが、
職種では研究・開発(40%)や販売(39%)、営業(35%)など、
個人の実績が重視されたり対外的な仕事が多かったりする分野が高い傾向だった。
研究職や開発職は旧姓を使う割合が、やはり高くなっています。
(記事では資格を必要とする職種も、名前の登録があることに触れています。)
新姓を使う割合が高い職種は公務員なのですね。
内勤系で新姓使用が多くなると分析していますが、
これはわたしもはじめて知りました。
>不便や困った経験
つづいて、旧姓使用のかたと、新姓使用のかたのそれぞれに対して、
不便や困った経験について訊いています。
はじめに不便や困った経験があるかどうかですが、
旧姓使用のかたは28.2%、新姓使用のかたは20.5%となっています。
どちらも意外とすくないというのが、わたしの印象です。
もっと多いのかと思っていました。
また具体的にどんな不便や困った経験があったかを、複数回答で訊いてます。
旧姓使用のかたの不便や困った経験は、
「2つの名前を使い分けるのが面倒」がいちばん多く41.0%です。
3番目の「判子が2つ必要」26.9%というのも、
ふたつの名前を使うわずらわしさと考えることができるでしょう。
結婚改姓して旧姓を通称使用していると、
ふたつの名前を使い分けることによる不便さがあるというのは、
通称使用の問題点としてよく言われることです。
それがここで改めてしめされたと言えます。
「選択的夫婦別姓のまとめ(9)」
2番目は「職場で新姓を使う書類や機会もあり、
自分のことと認識されない」で30.8%となっています。
旧姓を通称使用できる場面はどこでもではなく、
婚氏しか使えない場面がたくさんあるのですよね。
これは通称使用がじゅうぶんでないことによる
不便さと考えることもできるでしょう。
「通称使用の可能な範囲」
新姓使用のかたの不便や困った経験は、
「仕事関係社に姓が変わったことを説明しなければならなかった」30.4%、
「名詞やメールアドレスなどを変えなければならなかった」28.4%、
「仕事関係者になかなか浸透しない」17.6%となっています。
いずれも改姓したことを、周囲に対応させる手間と言えます。
名字が変わるとキャリアが断続する可能性があることを、
改めてしめしたと考えることもできるでしょう。
3番目の「仕事関係者になかなか浸透しない」に関しては、
いつまでたっても婚氏が覚えられなくて、
旧姓で呼ぶ人というのもときどきいるのですよね。
そういう人が「夫婦別姓だと混乱する」などと言ったりして、
失笑だったりすることもあるのですが。
この調査は働く既婚女性を対象に、仕事で旧姓と新姓の
どちらを使っているかを訊き、さらにそれぞれのかたに対して
不便や困った経験があるかどうかを訊いています。
いままでにこうした質問をするアンケートはなかったと思います。
わたしも結果を見て、ちょっとした発見がありました。
この調査を企画したかたは、なかなか考えたと思います。
選択的夫婦別姓のアンケートなんてむかしからありますし、
それでありきたりではなく、だれもやったことがないような
変わったことをしようと、考えたのかもしれないです。
以前その会社では、転職してきた女性は、戸籍姓を使うように、という規則がありましたが、それも撤廃となりました。そりゃそうです。会社変わってもコネクション生かして従来の取引先とのコンタクトしますから、そのときに、佐藤が鈴木になりました、ではコネクションも生かしにくくなるというものです。
なので、新姓に変更する女性が多いのは、年齢的にも、また日本の社会的事情においても、女性がまだ要職についてないケースが多いのかなと思います。
ただし姓を変えた人がいました。それは一度離婚したけれど前夫姓を使い続けてました。が、再婚したので、新夫姓にしたというものです。色んな気遣いがあったかと思います。
また取引先の男性で結婚により姓を変えた男性もいました。多くの社員がお世話になっていたので、名前が変わったのはちょっとセンセーショナルでした。
というのは、その姓は、ちょっと珍しい姓なのですが、ある大企業創業主の名前そのものだったので、「もしや、逆玉婚じゃね?」と憶測が飛び交ったのです。それでその会社の別の人に尋ねたりした人もいました(決して本人には聞かない・笑)。
こうやって例をあげると、姓の変更を告知するというのはプライバシーがあらわになることが色々あるんだなあ、と感じます。
>自分の経験ですと、在職中は結婚後も旧姓を使い続ける方がほとんどでしたね
わたしの経験でも、旧姓を使うかたがほとんどです。
この調査結果は、旧姓を使うかたが意外とすくないというのが、
わたしの印象です。
>新姓に変更する女性が多いのは、年齢的にも、
>また日本の社会的事情においても、女性がまだ要職についてない
>ケースが多いのかなと思います
そうかもしれないですね。
女性管理職の割合なんて、日本は諸外国とくらべて
ずっとすくないのはたしかですしね。
>が、再婚したので、新夫姓にしたというものです。色んな気遣いがあったかと思います
離婚してからも、前の夫の名字を婚氏続称していると、
再婚したとき非改姓結婚しづらいものはありますね。
>名前が変わったのはちょっとセンセーショナルでした。
>というのは、その姓は、ちょっと珍しい姓なのですが、
>ある大企業創業主の名前そのものだったので、
その男性はたぶん予想していたとは思いますが、
改姓でセンセーショナルになるというのも嫌ですね。
(有名な人とおなじ名前になるので改姓したくない、
というかたもいると思います。)
>姓の変更を告知するというのはプライバシーがあらわになることが色々あるんだなあ、
わたしの場合、「他人のプライバシーをこういうかたちで
知りたくない」ということもあるのですよね。
こういう人はほかにどれだけいるのかわからないですが。
>知りたくない」ということもあるのですよね。
そうですよね。わかります。
人が結婚してるとかしてないとか、年がいくつとか、私にとってはわりとどうでもいいことなんですよね。
ところで、95万アクセスおめでとうございます!(今日はすでに950,481になってた・・)。
日頃の積み重ねは凄いですね。たくさんの読者ついて賑やかですね。
私は、日ごろ、たんぽぽさんがあげてくれるかな?・・と思ってる記事をここでどり上げてくれたときがとても嬉しいです。
楽しみにしています。頑張ってくださいね。
(本当はあちらで書くべきですが、ついでのように書いてしまってすみません)
>そうですよね。わかります。
おなじようなかたは、結構いらっしゃるのかな?
本人が教えてくれたわけでもないのに、
プライバシーと関係ないところで知れるというのが、
不正に知ったみたいな気が、わたしにはするのですよね。
>人が結婚してるとかしてないとか、年がいくつとか、
>私にとってはわりとどうでもいいことなんですよね
わたしもその手のプライバシーは、わりとどうでもいいクチです。
>95万アクセスおめでとうございます!(今日はすでに950,481になってた・・)
ありがとうございます。
100万アクセスまで、いちおう手が届きそうになったです。
読者は順調に(?)減り続けているので、ブレイクスルーがほしいです。
>私は、日ごろ、たんぽぽさんがあげてくれるかな?・・と思ってる
>記事をここでどり上げてくれたときがとても嬉しいです。
わたしもそれはありますね。
よそのブログを見ていて、「これを取り上げてくれないかな」と
思った話題が取り上げられると、うれしくなります。
わたしは、うがんざきさまの期待に、
どのくらい答えられているかわからないけれど、
うまく期待にそえるよう、がんばりたいと思います。
>楽しみにしています。頑張ってくださいね。
>(本当はあちらで書くべきですが、ついでのように書いてしまってすみません)
応援ありがとうございます。
いえいえ、こちらに書いていただいて結構ですよ。
(「ついで」と言いながら、文章量は長いですし。)
私自身仕事には極力プライベートを持ち込みたくなかったのと、
日常生活が困難な高齢者や、その人を介護している人に「名字が変わりましたので覚え直してください」
余計な手間暇がかかるだけという理由でしたが。
「だったら始めから結婚するなよ!」
見当違いの返事が返ってくるだけでした。
>私は経営者に旧姓使用を求め、散々揉めました。
ちょっと理解のない職場だとありがちなことだと思います。
心中お察しもうしあげます。
「旧姓の通称使用が広まることにより一定程度緩和」という
最高裁の判決文が、いかにあてにならないかだと思います。
>「だったら始めから結婚するなよ!」
こういう人も無理解な人には珍しくないです。
結婚と改姓を露骨に交換条件にしてくるのですよね。
同姓強制は憲法24条の「両性の合意のみ」に反しない
というのも、あてにならないということだと思います。