超党派の国会議員連盟が発足したというニュースがあります。
自民、民主、維新、公明、共産などから約30人が参加、
会長は自民党の馳浩衆議院議員です。
渋谷区の同性結婚証明書の条例を意識したのもあると思います。
「性的少数者の差別解消 超党派議連、そろり始動」
(はてなブックマーク)
「「LGBT」の課題考える議員連盟発足」
ところが目標設定が、国会議員の活動としては腰が引けているのですよ。
立法を目標としないで、「理解を広めていく」ことを目指すというのです。
内閣や自民党内に伝統的な家族観を重んじる考えが根強いため、
議連では「差別解消法」などの制定を目的とせず、時間をかけて理解を広めていく
議連幹部は「法制化の議論を急ぐと反発を招く」と判断。
性的少数者への差別を人権問題として捉えるところから活動を始め、
徐々に理解を浸透させたい考えだ。
啓蒙が目的なら識者や市民団体がやればいいことだと思います。
法律を作ることが仕事の国会議員が、立法を目標としないというのは、
こころざしがトーンダウンしていると思います。
相手は「家族思想」が信仰になっている、例の人たちです。
「異教徒」である同性愛者なんて、排除するしか念頭にない人たちです。
彼らが同性愛の権利保障に対して、頑迷きわまりない反対をすることは、
じゅうぶんすぎるくらい予想がつくことです。
「信仰としての家族思想」
「信仰としての家族思想(2)」
選択的夫婦別姓の反対でも、彼らは猛烈な抵抗をしめしたのでした。
同性愛の権利保障もおなじように猛烈に反対をするでしょう。
それがわかるから、「法制化の議論を急ぐと反発を招く」と判断して、
立法化を目標にしなかったことは容易に想像できます。
この議連、残念ながら「家族思想」の信奉者の前に、
ほとんど無力になりそうだと、わたしは予想します。
「理解を浸透させ」ることも、中間派や無関心な議員には
多少効果があるかもしれないですが、頑迷きわまりない反対派に対しては、
ほとんど無理だろうと思います。
選択的夫婦別姓も、頑迷きわまりない反対派の前に、
自民党の議連は、ほとんどなにもできなかったのでした。
性的少数者の議連もおなじようなことになりそうです。
議連の会長の馳浩氏は、夫婦別姓の議連の野田聖子氏のような
立ち回りになるのかもしれないです。
性的少数者の差別解消を目指すこの議連ですが、
2020年に予定の東京オリンピックのことを、やはり意識しています。
会長に就任した自民党の馳浩衆議院議員は、世界が日本に注目する
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前に、
日本では「LGBT」の人々への差別がないことを表すため、
海外の事例も勉強しながら課題を浮き彫りにする必要があると意気込みを述べた
国際オリンピック委員会(IOC)は、反同性愛法を持つ国は、
今後オリンピックの開催国になれないという規約を定めています。
これは2014年のソチ・オリンピックを開催したロシアに
反同性愛法があることを、意識してのものです。
「反同性愛法と五輪の開催」
オリンピックは、性的少数者差別にきびしい態度を
取るようになっているので、東京オリンピックを開催する以上、
日本国内でも性的少数者の権利には理解をしめす
必要があるということなのでしょう。
本当に世界に対して「日本は性的少数者の権利に理解がある」
という態度をしめしたいなら、なんらかの立法を
実現している必要があると、わたしは思います。
性的少数者のための法律がなにもないとあっては、
国際社会は「性的少数者に理解がある」と思わないだろうと思います。