「少子化社会対策大綱」なるものが、3月20日に閣議決定されました。
前回は2010年に策定されていて、5年ぶりに改定ということです。
「少子化対策:原案…男性の産休取得率20年までに80%に」
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「男性の出産後休暇80%目指す 少子化社会対策大綱決定」
「少子化対策大網を閣議決定 出産後有給、男性の8割目標」(全文)
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「男性育休取得8割が目標 政府が新少子化大綱、20日に決定」
「男性育休取得 8割目標 政府 新少子化大網、あす決定」(1/2)
「男性育休取得 8割目標 政府 新少子化大網、あす決定」(2/2)
内容は大きく5項目あって、150ほどの施策が挙げられています。
2020年までの5年間を「集中取り組み期間」としていて、
人口問題にかなり力を入れようとしていることはたしかでしょう。
注目したいのは「男女の働き方改革」という項目の中に、
男性のライフスタイルに関する施策があることです。
旧式の「少子化問題=女性問題」から脱却して、
男性の問題を解決する必要があることを認識したのでしょう。
これはとても結構なことだと思います。
具体的には
1. 男性の産休(配偶者が出産した直後の休暇)の取得率を80%以上にするということがあります。
2. 2020年までに男性の育児休業取得率を13%にする。
3. 6歳未満の子どもを持つ男性の家事・育児の時間を1日2.5時間とする
>1. 男性の産休取得率80%
8割なんてそんな高率は可能なのか?と思ったのですが、
出産後2ヶ月以内に半日から1日以上とのことなので、
この程度でどれだけ実効性があるのかという疑問はありますが、
実現は可能だろうと思います。
配偶者の出産後2カ月以内に半日から1日以上、
有給休暇や特別休暇、育児休業などを8割の男性が取得する
>2. 男性の育児休暇取得率13%
3月28日エントリでも触れましたが、
現在の日本の男性の育児休暇の取得率は2%前後です。
2007年にはじめて1%を超え、それから6年後の2013年は2.03%です。
これまでの上昇率を考えても、残り5年で13%なんて
6倍以上に引き上げることは、実現できるのか?と思います。
「男性の育児休暇の取得率」
>3. 男性の家事時間2.5時間
毎日の記事を見ると、2011年の6歳以下の子どもがいる
男性の家事・育児時間は、67分となっています。
データの出典がわからないのですが、前に補助ブログで紹介した、
総務省の『社会生活基本調査』(2011年度版)によると、
6歳以下の子どもがいる共稼ぎ世帯の男性の家事時間は75分です。
数字が近いので『社会生活基本調査』を見てもだいじょうぶでしょう。
「家事をしない日本の男」
6歳以下の子がいる有業男女の平均家事時間。さっきのブログでは国内の地域比較だったが,世界的にみれば「井の中の蛙」。夫の家事分担率は,欧米では4割ほどが普通。 pic.twitter.com/pLZtRiGS0M
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2014, 9月 28
日本の男性の家事・育児時間は、欧米の民主主義国の
男性とくらべると、きわめて短いのですよね。
大綱の目標値の2.5時間(150分)は、欧米の民主主義国とくらべて、
遜色のない長さの時間と言えます。
問題は5年後までに、男性の家事・育児時間を
欧米の民主主義国並みにできるかということだと思います。
日本人男性の家事・育児時間が短い理由には、
「長時間労働」に代表される、男性中心の労働習慣があります。
企業のありかたが抜本的に変わる必要があります。
「女性管理職が少ない理由」
家事・育児は本来「女の仕事」という、日本人男性の意識もあります。
これも5年で変わるには、むずかしいのではないかと思います。
「本当は怖い?日本の男性」
「男性政策」に注目するようになったのは、
とてもよいことなのですが、あげた目標は実現可能かと言われると、
かなりむずかしいのではないかと、わたしは思ったりします。