もともとはご本人がブログで書いていたのですが、
いまは有料メールマガジンになっています。
かなり人気があるメールマガジンらしく、読者は多いようです。
「小手先だけで必ずモテる! 藤沢数希の「恋愛工学」主要論文」
(はてなブックマーク)
「【恋愛工学】藤沢数希「週刊金融日記」71号で
言及された過去の主要論文をまとめてみた」
「恋愛市場ほど小手先のテクニックだけで上手くいくところない!-
週刊金融日記・藤沢数希インタビュー」
(はてなブックマーク)
この手の「恋愛論」とか「恋愛指南」は、
わたしに言わせると、たいてい信用できないです。
差別的だったり危険があったりして有害なこともあるくらいです。
見出しで「小手先だけでもてる」などと謳っていますが、
それだけですでに嫌な予感が、わたしにはしてきます。
ブロゴスに著者の藤沢数希氏へのインタビューの記事があります。
わたしが見たところ、「恋愛工学」は「きわもの」という感じがします。
「進化生物学」とか「金融工学」とか「科学的」を装っているところや、
「世界的な戦略コンサルティング・ファームである」なんて
よくわからない権威付けをしているあたりがすでに、
「とんでも」にありがちなことだと思います。
進化生物学に関して、
女性の恋愛感情の作動メカニズムは、進化生物学的な合理性に基づき
現在のような形に至ったわけですが、生物の進化というのは
数万年単位の非常にゆっくりとしたものです。
女性の恋愛感情は依然として石器時代のままであり、などと書いていますが、生物学的基盤によるところは、おそらく性的指向
こうした現代社会にはまったく適応できていないのです。
(どの性別の人を恋愛対象とするか)くらいではないかと、わたしは思いますよ。
具体的にどのようなかたちで恋愛感情が発揮されるかとか、
どのような行動を取ったときに、恋愛感情があらわれるか
といったことは、社会的、文化的要因に大きく左右されるでしょう。
それからここでは、女性の恋愛感情だけ問題にしているのですが、
男性の恋愛感情はどうなのかと思います。
こういうところで、男女で非対称の議論をするところも、
どこまで「科学的」なのかと、疑わしくなるところだと思います。
>なぜ「ろくでもない男」が「もてる」のか?
インタビュー記事の中心的主張は、「ろくでもない男のほうがもてる」ですよ。
現実として、自由恋愛市場では、まともな男よりも
ろくでもない男のほうが総じてモテます。
こんなのはよくありがちな、自尊心の低い人間を効率的に手込めにする
方法があると言っているだけではないか、という指摘がつぎにあります。
それを「もてる」ことだと思っている、ということです。
毎回思うんだけど、自尊心が低い人間を効率的に手込めにする方法があるというだけの話を「女は暴力的な男が好き」って解釈しちゃうのってやっぱ非モテでいることの辛さ故なのかな…
— みどりのらいおん (@greenlion1987) 2015, 3月 8
男→女程、いろんな理由(平均的に女の方が自尊心低い、女は男程何人もの異性を落とすということに価値を見出ださないとか)で目立たないけど女→男でも恋愛工学的な、相手の気持ちを無視するやり方は「とりあえずのモテ」のためには有効だよ。
— みどりのらいおん (@greenlion1987) 2015, 3月 8
女だって人畜無害な大人しい人より、高圧的なモラハラ気質な人の方がモテるっちゃモテるのに「モテ」の意味が曖昧であるのをいいことにその辺は無視されるよね。
— みどりのらいおん (@greenlion1987) 2015, 3月 8
一般に男性より女性のほうが、自尊心の低い人は多いでしょう。
それは女性のほうが自己肯定を削がれることが多いからであり、
それだけ女性差別的社会が続いてきたからそうなったという、
社会的・文化的な産物にほかならないです。
自尊心の低い異性を手込めにしようと考える不心得者は、
とうぜん「ろくでもない人」のほうが多いでしょう。
それは単に差別構造に無自覚なまま、差別構造を利用して、
女性を搾取をしているだけと言えます。
「一部のろくでもない男たちはそれを本能的によく理解しており、
自身の恋愛戦略にうまく取り入れている」などと、
「恋愛工学」の著者は言っているのですが、
それはかかる差別的搾取のことになるでしょう。
それは「本能」も「進化生物学」も関係ないことです。
ところがそのようなえげつないことをしているだけでも、
「非もて男」から見ると、不当にもてているように見えるらしいです。
「恋愛工学」の著者は、かかる「非もて男」の心理や
人間観も突いていることになりそうです。
>人類の知性レベルが下がるという懸念
「恋愛工学」の著者は、「ろくでもない男」がもてることで、
人類全体の知性レベルが下がる可能性を考えています。
『26世紀青年 イディオクラシー』という、SFを引き合いに出しています。
今後人類の知性レベルが下がる可能性は、ごく小さいと思いますよ。
大学進学率も主要国のほとんどで、まだまだ上昇傾向にあるし、
教育水準はだんだんと高くなっているからです。
なにより後世の人たちは、過去の知識の蓄積が利用できます。
このように「将来人類の知性レベルが下がる」と主張して
危機をあおる人は、たまに見かけることがあるようです。
アメリカ合衆国で優生学がはやって知能が遺伝すると思われたときも、
知能の低い親のほうがたくさん子どもを産む傾向があると言って、
危機感に見舞われたことがあったのでした。
「恋愛工学」の著者はさすがに優生学は否定しています。
そうではなく家庭環境が原因で、知性レベルの低い親の子は、
教育を受ける機会がすくないので、「蛙の子は蛙」になるとお考えのようです。
そして「ろくでもない男」のほうが子どもをたくさん作るので、
将来の人類は知性レベルが下がると言いたいようです。
現代社会では、頭脳の優劣が経済的な成功に大きく関係します。
しかし、皮肉なことに、こうした「優秀な」人たちは
男も女も自分のキャリアのことばかり考えて、あまり子どもを作ろうとしません。
こうした「優秀な」人たちのおかげで豊かになった国の社会福祉制度のなか、
後先考えずに避妊をせずセックスしまくる
比較的知能の劣る人々ばかりが繁殖しています。
「優秀な」人たちが自分のキャリアのことばかり考えて
あまり子どもを作らないというのなら、キャリアと出産・育児が両立するよう、
職場環境や社会状況を改善していけばよいのだと思います。
それは少子化が問題になる世界の主要国なら、どこでもやっていることです。
残念ながら、日本では立ち遅れていることですね。
「比較的知能の劣る人々ばかりが繁殖」するというのなら、
そういう家庭に産まれた子どもでも、高等教育を受けられるよう、
教育の機会均等を整備することだと思います。
教育の機会均等は、今後の格差の原因になると考えられ、
各国が取り組むべき課題だという報告書があります。
「格差が経済成長を阻害」
「格差是正のための対策」
(いまの日本には、「後先考えずに避妊をせずセックスしまく」って
できた子どもを全部まともに育てられるだけの
社会福祉制度があるのか?という疑問もありますが、
それはいまは置いておくことにします。)
将来の人類の知性レベルに関してご心配でしたら、
なにをどうしたらよいかの対処法くらい議論されているし、
すでに実行に移されていることもあります。
それは現状の女性差別構造に乗っかって、自尊心の低い女性を
搾取することでないのは、たしかなことです。
自分が好きでもない相手に好かれてしまう面倒くささを経験していないと「モテたい」という妄想が膨らみます。
ただ1人の相手と恋愛関係が充実すると、そのことによって男女共に性的な魅力が増して、結果、他の異性も惹き付ける魅力を無意識に獲得してしまうとは言えるかと。
もうひとつは王子はコジキになりたがりコジキは王子になりたがる。女性も王女が下品な女になりたがり下品な女が王女になりたがる。
コジキや下品は大げさとしても、思えば王子や王女の服装は公務員やサラリーマン、OLではなく水商売のホストやホステスに近いですね。
優生学について日本では大昔、社会党の女性議員がそれを本気で支持していたことがあります。
ロクなものではありません。
しかしヒトラーが強引に日本人は我々と同族民であると言ったかと思えば、ユダヤ人が日ユ同祖論で日本人とユダヤ人は同族と主張する人もいます。中国人や韓国人が日本人は元々が中国人だ、韓国朝鮮がルーツだと主張するのはよくあることで、日本人の血は人気があるんですね。
>藤沢数希という人がモテなかったことだけは
なるほどね。
自分が「非もて」なので、「非もて」的な女性観、恋愛観を
自分でも本気で考えている、ということかもしれないですね。
(「非もて」のつぼを突いているというだけで、
ご自身は「非もて」というわけではないのかと、なんとなく思ってた。)
>読んだことありませんが「モテる」という発想自体が無意味で、
「もてる」という概念があいまいで、「恋愛工学」とやらは
そこをまく利用しているところもありそうですね。
「もてる」とはどういうことかというと、
やはり不特定多数の異性から好かれることであり、
その「好かれる」は恋愛感情とは違うのだろうと思います。
それを、ひとりの恋愛対象を見つけやすいことと
混同させている感が、なきにしもあらずです。
>自分が好きでもない相手に好かれてしまう面倒くささを経験していないと
その危険は女性のほうが多いと思います。
不本意な男性が寄ってきたり、さらには不本意な男性と
結婚させられることさえ、めずらしくなくあるのだけれど。
「非もて」はこういう危険が、理解できないみたいなのですよね。
優生学は、アメリカ合衆国の断種や、戦前の日本の同化政策が出てこないで、
旧社会党が出てくるのは、知識の特殊性を感じさせます。
日本人の遺伝子はべつだん人気はないと思います。
同族という主張には、政治的な意図があるのだと思います。