そういう研究結果があるのでご紹介したいと思います。
これはわたしもちょっと意外でした。
「世界的に見ても女子は男子より成績が良い これが続くと…【研究結果】」
(はてなブックマーク)
調査対象になったのは、「PISA(生徒の学習到達度調査プログラム)」
という、OECDが世界中で実施している学力テストです。
研究の対象となった「PISA」は、OECDにより2000年から
世界中で実施されているテストだ。
2009年のテストでは、調査対象国の70%において、
読解、数学、科学で女子が男子よりも成績が良かった。
スコットランド、グラスゴー大学のギスベルト・ストット博士と
ミズーリ大学のデヴィッド・C・ゲーリー氏の報告によって、
2009年に、調査対象74カ国のうち52カ国で女子高校生が
国際標準テストで顕著に良い成績を収めたことが明らかになった。
さらに意外なのは、女性が不平等に扱われ、女性の機会が狭い国でも、
女子生徒のほうが男子生徒よりも、成績上位の傾向があるということです。
研究では、特に男女間で機会の不平等性が見られやすい
厳格なムスリム諸国でも、同様の結果となった。
「こうした国の多くで、女性は多くの行動を制限されています。
しかしこうした国でさえも、女子が学校でよりよい成績を
収めていることは興味深いことです」。
女子のほうが成績がよいというのは、
男女平等が比較的浸透している国だけではないということです。
あきらかに不利な社会状況のもとでも、女の子のほうが
学業成績がよくなるゆえんは、なんなのかと思います。
(記事はそこまでは分析していないようです。)
それでも理工系の教科は一般に男子生徒のほうが、
成績がよいのではないか?数学が苦手な女の子とか、
いかにして女子生徒に理系に興味を持ってもらうかなんて、
いまでも問題になるではないか?という意見もあると思います。
「男女平等と数学の成績」
理工系において男子のほうが成績がよいというのは、
成績上位者数パーセントにかぎった「特例」ということです。
全体を平均すると、女子のほうが男子より成績が上になるのでした。
ゲーリー氏は、男性の上位成績者は女性の成績優秀者よりも
数学でよい成績を収める傾向にあると述べた。
この事実は、理系職でのジェンダーギャップを説明しているように見える。
「男子は理系に進み、数学に秀でているというような議論は、
成績優秀な生徒たちの話にすぎません」。ゲーリー氏は述べた。
「世界全体を見れば、そもそも理系に進むことができない
子供たちの数の方がよほど多いのです。世界の子供の95%は、
どの国であっても男子が女子の成績にひけをとっていることがわかります」。
日本では私立高校でも公立高校でも、男子より女子のほうが
入学試験の成績がいいので、男女の数のバランスのために、
男子生徒を低い合格点で合格させることがあります。
こういう男子に「下駄」を履かせることが珍しくないらしいのも、
世界的な現象の中の一環ということになりそうです。
「学校で下駄を履く男の子」
「学校の入試でも男子は下駄を履いているようです」
学業成績で下位となる男の子が増えた場合、どうなるかという問題があります。
キャリアを持たない男性が増えることで、
犯罪率が上昇する可能性が懸念されています。
ゲーリー氏は、ますます複雑化する労働市場に対し、
研究の示唆するところには大きいと述べた。とりわけ途上国において、
職業技能を持たない男性が増加する可能性があると言う。
「職業技能を持たない男性の比率が高い国では、
暴力犯罪を含めた犯罪率が上昇します」
女性の場合、職業技能を持てず収入や雇用の安定した職につけないと、
日本のシングルマザーに代表されるような、
自身の貧困をもたらすことになります。
それでも貧困女性の犯罪が顕著になることはないので、
社会的に有害なことはしないと言えるでしょう。
男性の場合、犯罪率が上昇することになるというのなら、
あきらかに社会的に有害な影響をおよぼすことになります。
男性自身の問題としてはもちろん、社会全体の問題としても、
男子のキャリアについて対処する必要がありそうです。
記事の最後は、このようなことが書いてあります。
「男の子の問題は見逃されています。
これは重大な、世界レベルの問題であり、潜在的にも意味を持つものです。
これまで言及される機会がなく、なぜそれが問題になりうるのか
人々の関心を引いてこなかったテーマです」
なぜ見逃され、関心を引いて来なかったのか、わたしが想像するに、
「男子のほうが女子より学校の成績がいいに決まっている」という、
根拠のない思い込みが原因だろうと思いますよ。
調査をした研究者でさえ「典型的に女子が不平等に扱われる国において、
彼女たちの国際学生アセスメント・プログラムでの成績は
相対的に劣るであろうというのが当初の彼らの想定」だったくらいです。
ましてや、企業で男性が優先的に登用されたり、
収入が多い現状に対して「女のほうが劣っているから当然だ」と言ったり、
ポジティブアクションのお話になれば「無能な女に下駄を
履かせるのか?」と喝破する人が、ごろごろいる現状です。
こうした人たちは、「じつは男のほうが成績が悪い」なんて、
夢にも思うことはないだろうと思います。
>「男子のほうが女子より学校の成績がいいに決まっている」という、
>根拠のない思い込みが原因だろうと思いますよ。
この点についてですが、選抜者側は女子の方が学業成績が良いことは百も承知の上で、男子に下駄を履かせていますね。
その理由は、女子の方が学業成績は良くても、男子ならば浪人OKだが女子はNG、男子は親元離れて大都市圏の私大進学もOKだが、女子は地元国公立大以外NGといった、家庭方針による様々な制約によって、女子生徒は現役合格確実なところしか受けない傾向が強くなり、学業成績が同程度の男子生徒と比べて大学合格実績の面で著しく振るわなくなるので、女子は成績優秀でも落とし、男子は成績が劣っていても下駄を履かせて合格させて高校の大学合格実績を高めようという「統計的差別」のインセンティブが選抜者側に働いてしまうからす。
その例として、都立名門校はかつて男子の入学定員を女子の3倍ほども多く設定していましたし、北海道でも名門校が男子に1ランク以上にも相当する点数を加算して入学させ、偏った男女比率(男子の方が3倍ほども多かったらしい)から女性差別として問題になったことがあります。
今ではまだマシになったと言えますが、公立名門校が男女別学になっている所(埼玉、栃木、群馬)は、男子校と女子校で入試レベルはあまり違わないのに、男子校は東大のよう難関大や東京の有名私大が多いが、女子校は地元国立大への進学が多いといった、大学合格実績の面で顕著な差があります。
これは、企業が女性の出産による退職リスクを根拠に採用・研修・昇進で女性差別人事を行ってしまうのと同様の構造です。
家庭の方針が息子と娘で大きく違う理由は、たんぽぽさんの↓エントリのデータにあるように、高等教育への投資効果が芳しくないからに他なりません。
http://taraxacum.seesaa.net/article/408984381.html
結局のところ、社会における女性差別構造を解消させない限り、学校や家庭にまで差別の連鎖が波及してしまうのだと思います。
>選抜者側は女子の方が学業成績が良いことは百も承知の上で、
>男子に下駄を履かせていますね
日本の高校で男に下駄を履かせているところは、
おそらくそうだろうと思います。
>女子の方が学業成績は良くても、男子ならば浪人OKだが女子はNG、
>男子は親元離れて大都市圏の私大進学もOKだが、
>女子は地元国公立大以外NGといった、
わたしも、親に「浪人は認めない」くらいのことは、言われましたよ。
そういうことはいまだにあるのですよね。
家計がちょっと苦しい場合、男の子なら親は少々無理してでも
大学に入れようとするけれど、女の子なら進学を断念させようとさせる、
なんてこともありますね。
男子に下駄を履かせるのは、家庭事情で男子のほうが
大学への進学に自由度があるから、ということだったのですね。
>都立名門校はかつて男子の入学定員を女子の3倍ほども
>多く設定していましたし、北海道でも名門校が男子に
>1ランク以上にも相当する点数を加算して入学させ、
>偏った男女比率(男子の方が3倍ほども多かったらしい)から
>女性差別として問題になったことがあります
そんなに露骨なことが横行していたのですね。
いまでも当たり前のように男に下駄を履かせていますから、
問題視される前は、もっとひどかったでしょうね。
>高等教育への投資効果が芳しくないからに他なりません。
>http://taraxacum.seesaa.net/article/408984381.html
こちらはご覧くださりありがとうございます。
日本は大学への公的支出が少なく、奨学金がろくに整備されていないのに、
大学の授業料が高いことは、教育に関係するかたでしたら、
たいていのかたは常識的に知っていることだと思います。
そうした教育問題が、ジェンダー問題にまで
影響をおよぼしているということですね。
点数で評価するとなると、
今度は、女子受験者の点数を原点する、
なんて恣意的な操作をすることもあるから、
いやになってしまいます。
http://taraxacum.seesaa.net/article/460939643.html