夫婦別姓の記事が出ているので、見ていきたいと思います。
選択的夫婦別姓が最高裁大法廷に回付されたことを受けての記事です。
「夫婦の姓、別じゃ変? ジャーナルM」
(はてなブックマーク)
記事の内容はわりあいスタンダードです。
最初に、旧姓を通称として使う女性のお話が出てきます。
続いて、現行民法が夫婦同姓を強制するようになった経緯、
そして96%のケースで夫の名字を選んでいて、実質的に選択の余地なく
妻が改姓しているという、よく知られたことに触れられています。
それから結婚改姓の不利益や、通称使用と事実婚の限界についても、
すこし触れています。
姓を変えることで、仕事や生活上の不都合もある。
姓の変更手続きが大変だったり、せっかく取引先に
名前を覚えてもらったのに、名刺が変わったり……。
結婚後に旧姓を通称として使う女性も増えてきたが、
パスポートは戸籍名のため、海外で仕事をするときには不便だ。
運転免許証や健康保険証は戸籍名になるため、
本人確認のために提示を求められたときに困ることもある。
結婚届を出さない事実婚なら、改姓しなくてもいい。
が、お互いに相続ができなかったり、
税金の配偶者控除が受けられなかったりする。
子どもがいる場合は、どちらかが親権を持てなくなる。
生命保険の受取人や、住宅ローンの連帯保証人にもなりにくい。
ちょっと変わったものとして、オウチーノ総研の世論調査が紹介されています。
2013年9月に行なわれたもので、わたしのブログでも取り上げたのでした。
「旧姓使用の実態調査」
オウチーノ総研が2013年、60歳未満の既婚男女に
インターネットで調査したところ、20代既婚女性の42%が、
フェイスブックに旧姓を登録していた。
理由は、「学生時代の友人などと再会するときに、
名字が変わっていると相手に分かってもらえない可能性があるため」という。
20代既婚女性の42%が、フェイスブックで
旧姓を登録しているというのは、つぎの図のことです。
「旧姓」と「両方」を合わせて42%ということです。
オウチーノ総研の調査がちょっと変わっているのは、
フェイスブックやツイッター、ラインといった、
ネットで使っている名字について調べているところだと思います。
最後に矢野洋介さんへのインタビューが載せられています。
香川県丸亀市のプロブロガー矢野洋介さん(39)は、
戸籍上は妻の姓だが、普段は旧姓を使っている。
小学生と幼稚園児の子ども3人は妻の姓を名乗り、
自身は子どものPTA名簿にも旧姓の「矢野」で載せている。
自分の取材が記事になったので、ご本人がブログで書いています。
ブログをご覧になった、選択的夫婦別姓の活動をなさっているかたが、
朝日新聞の記者に紹介してくださったとのことです。
「夫婦別姓を実行してブログに好き勝手書いてたら新聞に載った話」
(はてなブックマーク)
このかたは4月23日エントリでご紹介した、
選択的夫婦別姓が認められると離婚が減るのではないか、
という予想をなさったかたです。
1年ほど前にも、選択的夫婦別姓によくある誤解に関して、
ドラえもんの漫画入りで解説したエントリを書いてもいます。
わたしもこのブログでご紹介したのでした。
世界には結婚しても名字を変えなくてもいい国がたくさんある。
そう子どもたちには伝えている。子どもたちは自然に受け入れ、
親子の関係は変わらないという。
矢野さん自身、小さい頃から母方の祖母も一緒の家で暮らしていた。
「名字の違う祖母も私にとっては同じ大切な家族でした。
名字が違うことと、家族の結びつきとは関係ありません」
2015年現在、夫婦別姓の選択が認められないのは、
世界中でもほとんど日本だけの特異現象となっていますね。
「国際結婚と苗字」
現在の同姓強制で、妻がほとんど改姓するという状況だと、
母方の祖父母とは、名字が異なることが一般的です。
「名字が違うと家族がばらばらになる」と金科玉条のように言う
選択的夫婦別姓の反対派(非共存派)にとって、
名字の違う母方の祖父母は「家族」ではないのかと思うところです。
ところが非共存派たちは、これに明確なお答えはしないのですよね。
非共存派たちの意識する「家族」とは、
夫婦と子どもたちだけがいる「核家族」ではないかと思います。
「家族=核家族」という認識は、高度経済成長期の家族観が、
信仰のようになっていることの現れのうちだと思います。