2015年04月28日

toujyouka016.jpg 子を持つ女性の国際比較

舞田敏彦氏の「データえっせい」の1月16日エントリで、
子どもがいる30-40代の女性の属性についての国際比較がなされています。
出典は『世界価値観調査』です。

「子育て期の女性のすがた」

 
ここではひとつ目の二次元で表現した図について見てみます。
有業をフルタイム、パートタイム、自営などの3つ、
無業を専業主婦とそれ以外(学生など)のふたつにわけて、
5つのカテゴリがどれだけの割合かを視覚的に表わしています。

子どもがいる30~40代女性の組成

子どもがいる30~40代の女性のすがた

前に日本とスウェーデンとで年次推移を比較をした図しめしました
ここでは現在だけですが、日本とスウェーデンのほか、
韓国、アメリカ合衆国、ドイツ、中国がしめされています。

(わたしとしては、家族政策に力を入れていて
女性の労働環境も整っているフランスを見たいのですが、
イギリスとフランスは調査対象になっていないとあって残念です。)


例によって日本の専業主婦の割合が高いことが目立ちます。
さらに日本は有業の中でもフルタイムが半分以下で、
パートタイムの割合が高いという特徴があります。
女性が子どもを持つと仕事をやめることが多いことや、
復職を希望してもパートに回されることが多いという
現状が反映されているということでしょう。

「子を持つと仕事をやめる」
「出産でパートに回される」

韓国の専業主婦の割合も、日本とおなじくらいです。
日本と韓国で専業主婦が多い2国ということで、予想通りだと言えます。
フルタイムの割合は日本とおなじくらいですが、
パートタイムはすくなく、自営などが多くなっています。


アメリカ合衆国は、就業女性のフルタイム率は高いですが、
専業主婦の割合も、ヨーロッパの国とくらべると高めです。
21世紀に入って、アメリカ合衆国の女性の就労率は
下がりだしていることが、現れているということでしょうか?

「アメリカの女性就労率」

2013年に日本の女性の就労率が、アメリカ合衆国に追いついたのですが、
アメリカ合衆国はフルタイムの割合がずっと高いので、
まだまだ日本よりは女性の労働環境は整備されていると言えるでしょう。

アメリカ合衆国の女性は、二極化が進んでいるようです。
フルタイムの比率は高いけれど、専業主婦も多めというのは、
こうした二極化の反映ということかもしれないです。

「働く女性の割合が1位のフランス 理由は「手厚い子育て政策」」
アメリカでは、仕事を持つ女性の割合はフランスより低いものの、
子どもを持っても働き続ける女性は仕事で成功をおさめやすく、
より高い地位につく傾向がある。
逆に仕事から離れてしまうと、たとえ政府からの援助があったとしても、
母親になることで出世コースから外れてしまう
「マミートラック」に陥る可能性がある。


ドイツは専業主婦の割合は低めですが、有業の女性のうち
フルタイムの割合が半分程度で、パートタイムの割合が高くなっています。
ドイツはイタリアほどではないにしてもヨーロッパの中では、
家族やジェンダーに関していくぶん因習・反動的で、
女性の労働環境の整備がやや遅れている、ということかもしれないです。

「良妻賢母嗜好と出生率」

きわだっているのはスウェーデンです。
ほとんどが有業のフルタイムですよ。
おそらく男性とくらべても、大差がないのではないかと思います。
専業主婦のかたは、132人中わずかにひとりだけです。
スウェーデンでは専業主婦はもういないと言っていいレベルです。



謝辞:

2月3日エントリのコメント欄で、上述のエントリを教えてくださった
ritiarnoさま、ありがとうございます。

posted by たんぽぽ at 21:16 | Comment(6) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
舞田敏彦氏を知ったのはたんぽぽさんのTwitterからですが、女性政策の参考になるデータが多いですよね。

先日彼のリンク紹介されてた記事、「フランスの女性は日本の女性と違って、母親の仕事が少ない」http://toyokeizai.net/articles/-/67964 には、なるほど!と膝をうってしまいました。

そうなのです。日本はルールが多すぎる。保育園では着替えや前掛けやお手拭きや、色々なものをたくさん準備していかないといけない。忘れればイヤミを言われる。イベントでは親が手作りしなくてはいけないものがあったり。幼稚園の弁当では冷凍食品禁止なんてところもある。
小学校ではPTA役員は一度はやらされ、そうなると、月に何度か仕事を休まなくてはいけないこともあります。緑のおばさんも、当番で回ってきます。
中学校では解放されるかと思えば、朝の挨拶運動とかいって、親が校門に立って生徒に挨拶、というのが当番でまわってくる。全く意味不明。部活は親が試合での車だしなど協力が必要。部活保護者会議あり。自分の学生時代と比べるとずいぶん違います。

「親は預けっぱなしでなく、子育てに参加しろ」というメッセージをひしひしと感じます。
フランスではそういう負担がほとんど無いということです。

スポーツ少年団などの学校外活動も親の負担が非常に大きかったのですが、これは、フルタイムで働いていない母親(ボランティアは偉いことですが、)を基準としたかかわり方を推奨しているからだ、ということをようやく最近ひしひしと頭で理解できるようになってきました。それはPTAでもどんなことでも、そういう人達が中心になっているからですが、フルタイム親には本当に負担です。しかも多くは母親しか参加しません。父親で様々な学校活動に濃くかかわるのは私の夫ぐらいです。
ときどき、子育てをきちんとやってない母、と脅迫めいたレッテルを張られるんじゃないかと思うことすらあります。

逆にフランスは毎日学校に子供をお迎えにいかないといけないそうですが、定時に終わるのが普通なので、負担にはそうならないです。先生とコミュニケーションも取れてよいそうです(そのかわり、授業参観や運動会などイベントはないそうです)。
フランスに学ぶことは多いと思います。
Posted by うがんざき at 2015年05月05日 08:18
うがんざきさま、このエントリにコメントありがとうです。

>舞田敏彦氏を知ったのはたんぽぽさんのTwitterからですが、
>女性政策の参考になるデータが多いですよね

教育学者なのですが、ジェンダー問題にもかなり理解があって、
さまざまなデータを作ってくださりますね。
わたしもいつも参考にしていて、しょっちゅう図をもとに
ブログでエントリを書いているのは、見ての通りです。

あと、わたしのツイッター、ご覧くださりありがとうです。


>「フランスの女性は日本の女性と違って、母親の仕事が少ない」
>http://toyokeizai.net/articles/-/67964 には、
>なるほど!と膝をうってしまいました。
>そうなのです。日本はルールが多すぎる。

あらためて見てみると、日本はごちゃごちゃとやかましいですね。
(それが「いかにも日本的な光景」なのでしょうけれど。)
手作り信仰が強いのも、日本人にありがちだと思います。
無駄に負担を重くして、どうしようというのかと思います。

>フルタイムで働いていない母親(ボランティアは偉いことですが、)を
>基準としたかかわり方を推奨しているからだ、

PTAに出てくる母親は、専業主婦かパートタイムという、
前時代的な発想はここでも引きずられているということですね。


>先生とコミュニケーションも取れてよいそうです
>(そのかわり、授業参観や運動会などイベントはないそうです)

「親が子育てに参加」というのは、日常的に教師と
コミュニケーションを取れることのほうが大事ですよね。
授業参観やイベントなんて、あきらかに特別なことをやっているときに
親が出てきても、あまり効果はないでしょうね。

日本の「子育てに参加しろ」は、つまるところ、
「子育てに熱心なように見せろ」ということなのかもしれないです。
「なにをしたか」ではなく「なにをしたと思わせるか」ですね。
Posted by たんぽぽ at 2015年05月05日 17:58
これは産経でも記事があります。
「働く母親追いつめないで」と。
シーツやエプロン手作り求める保育園。
平成5年から中学で家庭科と技術科が男女共修になり家庭科授業が半減し、小学校以来針を触ったことがない人もいる。
既製品全盛の時代でもあり、そのような時代に合わせた保育園運営が求められる。
という記事です。

時間と金銭を考えても買ったほうがいいんですよね。私は個人的に服飾好きなのでネクタイ作ったりしますが、子供が使うお弁当など入れる袋なども100円ショップで買えますし。
昔、女性が手編みのセーターをプレゼントするという流行もあったようですがウール100のセーターは当時値が高かったこともあるでしょうね。
今はカシミヤ100でさえそう高くもないし。
料理も冷凍食品が安く充実してますから、そういう面はどんどん効率化で割りきって問題ないですね。
Posted by ヒラリー at 2015年05月05日 22:46
ヒラリーさま

>これは産経でも記事があります

できたらその産経の記事を、わたしがアクセスできるように
紹介してほしかったです。

>シーツやエプロン手作り求める保育園

前のコメントでもお話したけれど、なぜか「手作り信仰」が強いのですよね。
苦労して作ったものに愛情がある、みたいな思い込みもありますし。

既製品が利用できるならどんどん利用して、余計な時間と負担が
かからないようにしてしかるべきと、わたしも思います。


>平成5年から中学で家庭科と技術科が男女共修になり家庭科授業が半減し、
>小学校以来針を触ったことがない人もいる。

これもいろいろと悩ましいところがありますね。
技術科を重視するかたは、技術の時間が減ったことを問題にするし。

男女共修という原則はいまさら崩せないですし、
全体の授業時間がほとんど増やせないとなると、
家庭科を重視するかたと技術科を重視するかたが
おたがい妥協し合うよりないのだろうと思います。
Posted by たんぽぽ at 2015年05月06日 15:43
たんぽぽさん。
ネットでアクセスする方法とかよくわからないんで、そのまま紙で読んでいるので。
4月24日の産経ですけどね。

家庭科と技術科の授業においては技術科なんて男女双方に必要ないと思います。
私は世代的に中学で経験ありますが、技術以前に内容も覚えがないですね。
なんとなく記憶にあるのは椅子やテーブルを造るような授業。
それは素人がやることではないんですよ。昔から日曜大工という言葉はありますが、逆に好きな人は授業無関係で好きというだけで。

むしろ家庭科は日常としてシャツやジャケットの取れたボタンを付ける。全自動洗濯機といっても使い方がわからない人、米を研いで炊飯器で炊く方法も知らないとか、そういう基本以前を知らない人がいますから。
技術科の場合は椅子の造り方なんて習う必要ないし知らない、出来ないでも済まされることですから、浅くてもいいから家庭科全般を男女が義務教育で理解、実践できるようになるほうが重要ですね。意外と男の学校教員に米の炊き方知らないという人がいそうな気もしますが(笑)
Posted by ヒラリー at 2015年05月07日 07:21
ヒラリーさま

>そのまま紙で読んでいるので。
>4月24日の産経ですけどね。

ご紹介ありがとうございます。
記事の見出しまで書いてくれたら、わたしにも探せるかもしれないです。

>家庭科と技術科の授業においては技術科なんて男女双方に必要ないと思います

そのあたりは、やはり人によって意見が別れると思います。
技術科を推進する人たちは、納得しないでしょうし。
どちらでも取りたいものが取れるよう、
選択制にするのはひとつの案かもしれないです。
Posted by たんぽぽ at 2015年05月07日 22:48
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