「生活保護は遺伝する」などと言った、首長選の候補者がいたのですよ。
「生活保護が「遺伝する」「根が腐っている」「大阪はふきだまり」など
ヘイト発言が問題化した札幌市長選」
(はてなブックマーク)
「「日本のために行動する会」での講演 生活保護は遺伝する?」
(はてなブックマーク)
かかる候補者は本間奈々氏。
札幌市長選に出馬していて、自民党の推薦です。
問題の発言はこれです。
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そして、生活保護は遺伝するとか、世襲制だって言われていますけれども、
生活保護をもらっている多くのご家庭のお子さんたちは
また生活保護をもらうような状況に入ってしまう。
ある意味、ノウハウを与えているのと同じになってしまうと思います。
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生活保護が必要になる生活環境が、どうやって遺伝するのかと思います。
環境は個体の形質ですらないですから、遺伝のしようがないことです。
「ノウハウを与えている」というのなら、学習して身に付くことであり、
典型的な獲得形質ですから、やはり遺伝しないものです。
「遺伝」と「世襲制」が並んでいて、同義のように思っているあたり、
生物学的な遺伝子の継承と、自分の子孫に跡を継がせるという
社会の人為的な取り決めとの区別が、ろくにつかないのかもしれないです。
「言われていますけれども」などとも言っているのですが、
どこでだれに言われているのかと思います。
こういうところで出典不明の「人から聞いたお話」になるのは、
信頼できない怪しい言説にありがちだと思います。
生活保護世帯の子どもが、また生活保護受給者になるというなら、
それは「貧困の連鎖」が起きているということです。
「貧困の連鎖」が解消しないのは、とりもなおさず
福祉がふじゅうぶんだからであり、それは行政の責任です。
行政が福祉に力を入れないという意味でなら、
そういう街は「魅力がない」ことになるでしょう。
常識的にご存知のかたもいらっしゃると思いますが、
生活保護受給者の多くは高齢者です。
「貧困の連鎖」によって生活保護受給者世帯の子どもが
また生活保護受給者になる、というイメージさえ、
あまり正確でないと言えるでしょう。

生活保護受給者は現在も増え続けているのですが、
もっとも多く増えているのは高齢者世帯(65歳以上)です。
2015年1月の厚生労働省の発表では、受給者全体のうち
高齢者世帯の占める割合は48%となっています。
「生活保護世帯、2カ月連続で過去最多更新 厚労省」
こうしたひずんだ認識の背景には、例によって生活保護に対する
強烈な偏見があるのだろうと思います。
勤労意欲がどうのと言い出すあたり、「生活保護をもらうのは
働かないで怠けているからだ」という典型的な蔑視感があるのでしょう。
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勤労意欲を養うというのはどこから学ぶかというと、
『働くっていいことだよ』と言葉ではなく、
身近に働いている人がいて、それを見てああ働かなきゃって
思うんですけど、みんなが働いていなきゃ、子どもも思えないですよね。
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2012年の生活保護受給者の世帯数は、高齢者世帯が44.4%、
障害傷病者世帯が29.2%で、両方合わせて4分の3程度です。
生活保護受給者はその大半が、働けない人たちということになります。
「生活保護受給者は勤労意欲がない」というのも、
間違ったイメージと言えます。
受給者世帯のうち、就労者のいる世帯は14.6%です。
高齢者世帯や障害傷病者世帯の中にも、就労者がいることはあるので
かならずしも正確ではないですが、受給者のうち働ける人が
約4分の1で、その半分以上が就労していることになります。

出典:
世帯種べつの受給数
「国立社会保障・人口問題研究所 「生活保護」に関する公的統計データ一覧」
No.6 世帯類型・保護受給期間別被保護世帯数の年次推移
就労している世帯数
「政府統計の総合窓口 e-Stat」
平成24年度被保護者調査 > 年次調査(個別調査)
6-13 就労者のいる世帯数、級地・就労人員・世帯類型・世帯人員別
付記:
札幌市長選(4月12日投開票)は、民主、維新、社民、大地が推薦の
秋元克広氏が当選しました。
本間奈々氏は次点に終わりました。
「候補者・開票情報:札幌市長選」
つまり高齢者の格差ですね。よく言われる日本の資産の多くは高齢者が所有していると。
しかし、それが格差であって資産を所有しておらず預貯金もない高齢者が多く、生活保護までいかなくてもまったく余裕のない高齢者が多い。
ところが全体論として高齢者が優遇され中高年や若い世代が割りを食っていると拡散されています。
今の高齢者が若者の頃こそどうにもならない格差があったのに、それこそ昔はよかったとなってしまっています。
あえてこういう言い方をすると、高齢者という時点で裕福だろうが気の毒な存在です。
裕福な高齢者で無一文になってもいいから若者と言わずとも中年くらいになりたいという人が多くいます。
しかし若年層、中年層は自分が貧しかろうが仕事がうまくいかなかろうが、それでさえ裕福な高齢者より希望があるとの現状に気づきません。
もったいないことです。20代はもちろん40、50代でも経済的に苦しい生活をしていて10億円貰えたら80才になってもいいという人はいないはずですね。
戦争は嫌だといいながら、でもあの頃のほうが良かったというお年寄りがいます。
要するに現状が最悪でも自分が若かったからでしょうね。それほどまでに年老いるのは苦しく先がないことに絶望するのだと思います。
若年層、中年層はどんな状況であろうと今の時間、時期を貴重に感じとり生活していくことが尊いことだと思いますね。
こういうお話かな?
ここでもいちばん貧しいの女性単独世帯となっていますね。
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/wp-pl/wp-pl01/html/13103300.html
あとのお話は、興味ないしくわしくもないです。
気が向いたら調べるかもしれないです。
大家族から核家族へ。さらに単身世帯増加ですね。
以前、朝日新聞の記事にもありましたが過去を遡っても必ず格差を野党は持ち出す。
高度経済成長期に大企業と中小零細企業の所得格差はまったく縮小が見られないと責める野党。
小泉政権の時は「ジニ係数」を持ち出し責める。
今、野党はピケティを持ち出して責めている。
と、確かそんな記事です。
朝日新聞の記事だということが興味深いですね。
ピケティ論は早くも国会論争の場から消えつつあります。
ジニ係数との用語も新聞記事からは見られなくなりました。
このジニ係数とやらは当時、京都大の橘木教授から広まったわけですが、大阪大の大竹教授がジニ係数とは高齢化、単身世帯増加で数値が悪化しているように見えるのであり格差の本質とは異なるとしました。
これは政治家やメディアの怠慢であり、自分の頭で考え自分の足で取材すべきです。
たった1人の学者がジニ係数を持ち出すと政治家、メディアや市民団体が引用して広まって、結果、単身世帯増加が原因ですとなると一気にジニ係数の用語が消える。
さすがにピケティ論に関してはその反省からか多くのメディアも有力なデータ分析と学説と評価する反面で、日本にはあてはまらないとか、上記朝日記事のように高度経済成長期から現在まで野党は格差論を持ち出すものなんですよと言及しています。
その人の思考や専門、学派なども医療に置き換えれば分りやすく、外科医は外科手術が最良と思いたがるし、放射線療法医はもちろん放射線療法。
原発事故の際に必要以上に放射線擁護を行っていた放射線医がいましたね。
あなたが格差問題を矮小化したいらしいことはわかりますが、
そういう人と格差問題の重要性について議論したい気は、
いまのわたしにはないです。
「朝日新聞の記事」というのはなに?
朝日と野党を叩きたいらしいこともわかりますが。
新聞を宅配や購入で読まれていますか。
私は朝日叩きがやりたいのでなく新聞は全体を通して読まないと分からないということです。
ネット時代になってネットで新聞記事のトピックスとか誰かがネットにアップした記事でしか読まない人がすごく増えましたよね。
格差と生活保護が関係ないというのは、まあ、たんぽぽさんの場合、ここのエントリと無関係との切り捨てが多い人ですが、そういう断片だけ扱い何が分かるのか不思議です。
貧困の連鎖と逆によく言われるのが東大生の親の年収が多いとか。
昔から、いや昔であればあるほど大学進学する人の親はそうでない人より収入が多いですけどね。
格差と生活保護が関連しないなら、生活保護は遺伝すると言うバカな候補者がいるんです、ということをご報告したかった。またホントにそいつはバカですねとだけコメントすればよかったのかな。
わたしは典型的な、ネットでだけ新聞記事を読む人ですね。
>ここのエントリと無関係との切り捨てが多い人ですが、
ここにないお話をきゅうに持ってきて、
「これについて意見を言え」と言われた側は、
かなり負担になるということを理解する必要があると思います。
ぜんぜん知らないことだと、最初から調べる必要があります。
発言する以上、無責任なことは言えないです。
コメント欄の対話程度で、そこまでしたいとは思わないです。
自分なりに問題意識を感じるので話題にしたいのでしたら、
ご自分でブログなりタンブラーなりワードプレスなりを作って、
記事を書くのがいいと思いますよ。