2015年05月06日

toujyouka016.jpg 自民党・改憲の解説漫画

自民党憲法改正推進本部が4月28日に憲法改正を解説する
漫画冊子なるものを発表したことが話題になっています。
ご存知のように自民党、とくに安倍政権は憲法改正は悲願で、
あの手この手で改憲を実現しようと画策するのですが、
今度はこういう手段に出てきたかと思います。

「ほのぼの一家の 憲法改正ってなあに?」

これがあまりにひどいというので、ネットでは批判が高まっているのですよ。

「安倍首相の指示で作られた「改憲推進マンガ」がデタラメだらけであることが判明」
(はてなブックマーク)
「自民が憲法改正漫画 若者ターゲット」
(はてなブックマーク)
「憲法改正を解説するという自民党の漫画が解説漫画としてありえない」
(はてなブックマーク)

 
漫画を作ることは、ほかならぬ安倍晋三首相が指示したものです。
内容も安倍晋三首相の意向を強く反映した内容となっています。
本部長は船田元ですが、「憲法はGHQの影響下で作られたという
歴史的事実を踏まえるべきだ。勇気を持って改正したい」と言っています。

そして冊子を発表した4月28日は、サンフランシスコ平和条約で
日本が主権を回復した日で、ようはそれに合わせたということです。
漫画冊子はどういう目的で、なにを言いたくて作ったかは容易に想像できます。

自民党の憲法改正案なんて、これまでに何度も話題になっていますが、
内容はむかしからたいして変わっていないです。
今回の漫画冊子で解説していることも、基本的にそれに沿ったものです。
それはおおよそ現代国家の憲法とは言えない、はなはだ危険なしろものです。
ネットで批判がたくさん出てくるのもとうぜんと言えます。

「自民党の改憲の問題点」


現代の国家の憲法が持つ大原則として「立憲主義」があります。
これは国家権力から一般市民を守るために憲法があるということであり、
国家権力に守らせることを定めるのが憲法ということです。

国家権力は市民とくらべて圧倒的に力が強いです。
それゆえ国家権力が市民に対して横暴に出る危険があるので、
それを防ぐ必要があり、憲法で定めることになります。
よって一般の国民に対して憲法が定めることは権利保障に関することが多く、
国民の義務に関する条項は少ししかないことになります。

現代の民主主義と基本的人権に立脚する社会においては、
憲法が「立憲主義」に立脚するのはとうぜんのことです。
「立憲主義」に基づかない憲法を持つ国など、おそらくないでしょうし、
そんな国があったら現代の民主国家として認められないでしょう。



自民党の憲法改正案の大きな問題のひとつは、
この現代憲法の大原則である「立憲主義」を否定していることがあります。
彼らは国家権力から国民の尊厳や生命を守るための「立憲主義」に挑戦し、
国家権力が国民を支配するための手段としての憲法に
すり替えようとしているわけです。

「【憲法特集】平和な社会 9条が要に 中野上智大教授」
憲法は戦後の民主主義にとって最大にして最後のとりでです。
憲法や立憲主義とは、人類が国家権力にたがをはめて、
人の尊厳が守られるよりよい社会をつくる理想を掲げたものです。
中身では、自民党の憲法改正草案がありますが、
およそ憲法とは呼べない代物になっています。
立憲主義にのっとっていなければ憲法とはいえませんが、この大前提から壊れています。
公益や公の秩序の許す範囲でしか権利を認めないと書いてみたり、
奴隷を禁じる条項を削るなど、憲法のあり方の基本が理解できておらず、
あるいは意図的に無視していると思います。




posted by たんぽぽ at 18:36 | Comment(2) | TrackBack(0) | 法律一般・訴訟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
識者の間で、かなり批判噴出ですね。
ここでも取り上げられるかな〜って期待してました。
私も全頁読みました。
外国人の手によって一週間で作られた憲法だ、外国では憲法を何度も改正してるだの、本当に歴史観と歴史に学ぶものがなくて、知能が低い人が作ってるとしか思えないシナリオ。
何よりも、ステレオタイプなジエンダ一観でストーリーが展開されてるのがもう気になって気になってしょうがない…それで最後の方で、女性の地位は上がったけど、家族のきずなが希薄になった、のくだりはどういう文脈なのかと。



Posted by うがんざき at 2015年05月06日 21:45
このエントリにコメントありがとうございます。

>ここでも取り上げられるかな〜って期待してました

ありがとうございます。
期待に答えられて、わたしもうれしいです。
わたしももっとていねいに読んで、ほかの具体的な箇所も
いくつか批判しようと思っています。

>外国人の手によって一週間で作られた憲法だ、外国では憲法を何度も改正してるだの、

「またそれかー」と思ったですよ。
さんざん批判されていることですし、いい加減気がつけと思うのですが、
「うそも百編言えばなんとやら」を狙っているのかと思います。


>ステレオタイプなジエンダ一観でストーリーが展開されてるのが

それはわたしも気になったです。
こちらでも取り上げられていますね。
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-6408.html

このブログでも取り上げようかと思っています。

>女性の地位は上がったけど、家族のきずなが希薄になった、
>のくだりはどういう文脈なのか

それもなにが言いたいのかと、わたしも思いますよ。
女性の地位向上がけしからんと言いたいけれど、
はっきり言えないのでちょっと遠回しにする、ということかと思います。
Posted by たんぽぽ at 2015年05月06日 22:39
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