取り上げられ、自民党の佐藤ゆかり議員が出演していました。
佐藤ゆかりは例によって反対論を展開したのでした。
番組をご覧になったかたのツイートをご紹介したいと思います。
「佐藤ゆかり、フジテレビの「バイキング」で、選択的夫婦別姓の反対論を展開」
佐藤ゆかりは、問題になりやすい研究者の改姓について、言及しています。
「自身が結婚前に書いた論文が旧姓のままで通用している」などと言って、
結婚改姓に関する負担や不利益を矮小化していたそうです。
「研究者のための別姓」
選択別姓制度反対派の佐藤ゆかり議員。自身が結婚前に書いた論文が旧姓のままで通用していると言っていたが、それが何故反対の根拠になるのかわからない。改姓したいま新たに論文を書いたら別人のように扱われてしまうのだが。
— 破レ傘(横浜駅取材班) (@kenketsumiyagi) 2015, 4月 10
多くの人たちが、改姓すると改姓前の自分の業績の
連続性をしめすのが困難になるという現状がある以上、
いくら自分の体験を持ち出して「反論」しても意味のないことです。
佐藤ゆかり個人がよくても、ほかの人たちはぜんぜんよくないからです。
佐藤ゆかりが「自身が結婚前に書いた論文が旧姓のままで
通用している」というのなら、どうやってそうしているのか、
ほかの人たちにも教えていただきたいものです。
同様の必要に迫られる人たちは、たくさんいるだろうからです。
もちろんその方法は、ほとんどのかたにとって容易なことなのでしょう。
ほかのかたにはむずかしいのなら、佐藤ゆかりひとりだけ
いくら問題なかったところで無駄だからです。
(本当に「結婚前に書いた論文が旧姓のままで通用」させるのが、
だれにとっても容易なら、とっくにその方法が広まっていると思いますが。)
つぎの疑問も出ています。
録画を見直したが、佐藤ゆかり議員は「結婚前に」とは発言していなかった。では結婚後に旧姓で論文発表できるのか? 要確認。
— 破レ傘(横浜駅取材班) (@kenketsumiyagi) 2015, 4月 10
論文を書くだけでしたら、使う名前に制限はないので、
結婚改姓後も旧姓で発表することはできます。
その場合、日本国内の研究機関での事務手続きとか、
科研費の申請とか、パスポートの記載といったことで、
同一人物と認識させるのが困難という問題が起きるということです。
日本国内の諸手続きは戸籍姓を原則としています。
それゆえ手続きの際に研究業績を申告する必要があると、
旧姓で書いた論文が自分のものであることを示すことが難しくなるからです。
科研費は2001年度から、旧姓だけでも申請できるようになっています。
よって結婚改姓したかたが結婚後も論文を旧姓で書き続けても、
自分の業績として認識させることはできます。
「科学研究者の別姓使用の<現状と対策>」
この場合、所属機関の職員名簿が戸籍姓で登録されていると、
書類を受ける事務方が、旧姓を認識できない可能性もありえるので、
注意は必要になってくるでしょう。
「自分の名前で仕事するV【科研費】」
パスポートは旧姓を併記できるので、旧姓で認識されているかたは、
併記のパスポートを取るという方法があります。
外務省は基本的に併記のパスポートを発行したくない方針なので、
併記のパスポートを取るには、ある程度以上覚悟して交渉する必要があるでしょう。
「パスポートの旧姓併記」
「旧姓併記のパスポート」
パスポートが戸籍姓で、研究業績が旧姓になっていると、
パスポートを見ても同一人物と認識されず、ホテルの宿泊を拒否されるとか、
入出国を拒否される可能性さえあることは、よくご存知の通りです。
これらはいずれも、結婚改姓後も旧姓で仕事を続けて、
旧姓で論文を書き続けている必要があります。
結婚改姓後は戸籍姓で論文を書き始めた場合、改姓前の業績を
自分のものと認識させる簡単な方法は、おそらくないと思います。
関連エントリ:
「各種免許等における旧姓使用について」
「JSTORの著者名典拠ファイルは結婚等の改姓に対応してないことが判明!」
これも女性議員を増やすお話につながりますが、佐藤ゆかりさんは女性議員ですね。
男性議員で夫婦別姓推進の人もいれば女性議員で否定する人もいて、そういうことを知っていながら女性議員を増やせというような、男か女かで判断するには無理がありますよね。
党の違いについても、前に書いたかもしれませんが自民党であっても野田聖子さんは夫婦別姓を要求していました。
ところが面白いことにご自身が結婚してお子さんを持つと、どういうわけか男性側が野田姓になりましたけど。
最初から自分の姓でいたい。別姓でなく相手側が私側の姓になってほしいということだったんでしょうね。
でも人には心変わりがあるし、結婚してから、またお子さんができたら自分の抜本的価値観の変化があるかもしれません。
気が変わるかもしれない前提で政治家を続けるのは困難ですが、政治家だと変節とか支持者への裏切りと認識される。
女性はそういう世界を嫌うんじゃないかと。そういうことも思います。
とはいっても、くらがえ前の選挙区では野田聖子みたいに別姓を主張して自民党にいる人もいますけどね。
夫婦別姓で何かが崩れると思っている人だけ、夫婦同氏にすればいい話なんだから。
アイデンティティの最たるものである姓名に人様が口を出すと言うのはおこがましい、と自分は思いますけどね。
自分の身の回りの話で恐縮ですが、先日、メールアドレスの「名前」と、ご本人の名前が異なる女性がおりまして。
自分はまぁ入社してアドレスを設定した後で結婚したために、違っちゃったんだろうな、と漠然と感じていました。ですからことさらそのことについて、指摘するつもりはなかったんです。
で、本人と直接電話で話した際に、彼女は自分の感じたことと同じ内容を説明してきたのです。説明されなくても察することくらいできてたんですが、、、。
でも、いちいち説明したということは、いちいち説明しなきゃならないケースが多かったんでしょうね。
研究者の場合とはちょっと違うかもですが、一般的な仕事でも相応の面倒があるのだなぁ、という例示のひとつとして。
女性議員を増やすのはなぜか、というお話でしたら、
それは女性にも多様性を確保するためです。
http://taraxacum.seesaa.net/article/411422838.html
女性にも多様性があることが定着すれば、
そこには思想や政治信条の合わない女性が入ってくることや、
女性の権利にぜんぜん理解のない女性も出てくるようになります。
それは受け入れる必要があります。
選択的夫婦別姓の実現という観点でしたら、
賛成派・推進派の議員を増やせばよいことになります。
とうぜんのことですね。
女性ならかならず賛成とはかぎらないですが、
女性のほうが賛成が多めという相関はあります。
http://taraxacum.seesaa.net/article/411048977.html
>この人は自民党にいたいから、反対しているだけなんじゃないかと
高市早苗みたいなパターンですね。
http://bit.ly/1IJa07k
そういう女性議員は、まわりに受け入れられたくて、
まわりの平均以上に右翼的になるので、怖いと言えますね。
支持母体が夫婦別姓に反対しているので、支持を受けるために、
反対せざるをえないという可能性も考えられます。
わりとよくあるパターンみたいです。
>くらがえ前の選挙区では野田聖子みたいに別姓を主張して
>自民党にいる人もいますけどね
自民党で選択的夫婦別姓に賛成の議員は、
いまどれくらいいるのかと思います。
もともと多かったわけではないけれど、
とくに野党時代に右翼イデオロギーに傾いたこともあって、
いまはもっと少なくなっているのではないかと思います。
>夫婦別姓で理屈の通った反論を期待するのは無理なんでしょう
無理だと思います。
反対派の主張の中には、デマやねつ造と呼べるものもあるし、
わたしはまともな反論を見たことがないですよ。
>夫婦別姓で何かが崩れると思っている人だけ、夫婦同氏にすればいい話なんだから
選択制なのになぜ反対なのか?ということに、
ぜんぜん答えられていないですよね。
反対派(非共存派)にとって、「夫婦同姓でなければならない」という、
家族思想が「信仰」のようになっているのだと思います。
「異教徒」を排除することが、彼らの「教義」なのでしょう。
>アイデンティティの最たるものである姓名に人様が口を出すと言うのはおこがましい、
まったくです。
ところが非共存派はアイデンティティのなんたるかを、
そもそも理解していなかったりします。
>自分はまぁ入社してアドレスを設定した後で結婚したために、
>違っちゃったんだろうな、と漠然と感じていました。
>ですからことさらそのことについて、指摘するつもりはなかったんです
察しがよかったですね。
あえてなにも言わないという配慮はよかったと思います。
不必要に相手のプライバシーに踏み込むのは、はばかられますしね。
>いちいち説明したということは、いちいち説明しなきゃならない
>ケースが多かったんでしょうね
その可能性はありそうですね。
いままでにもたくさんの人が、訊いてきたのではないかと思います。
それできっと疑問に思っていると思って、先回りして言ってきたのでしょう。
>一般的な仕事でも相応の面倒があるのだなぁ、という例示のひとつとして。
どんな職種でも、結婚改姓にはおおかれすくなかれ不便はありますね。
メールアドレスは変えにくいので、そのままということも多いのでしょう。
こういうかたちで自分のプライバシーが他人に知れるとか、
他人のプライバシーを知ってしまうというのは、
わたしは気持ちのいいものではないですね。