あの稲田朋美氏による、「300日規定」の見直し反対の記事がありますよ。
『正論』に掲載ですから、内容は推して知るべしですね。
「DNA鑑定という生物学的なものを持ち込むな」などという
例の言いぶんが、くわしく解説されています。
「『300日規定』見直しは慎重に」
この中で、稲田朋美は「民法はもともと生物学上の親子関係を
絶対視した考え方をとっていない」などと言っています。
これはそうではなく、民法を作ったときは、生物学上の
親子関係をはっきりさせる、信頼できる方法がなかったからでしょう。
ABO式血液型でさえ、発見されたのは1900年で、
オーストリアのランドシュタイナーという、医師によります。
これがメンデル遺伝をするとわかったのが、この10年後です。
日本で民法が制定されたのは、1896年ですから、DNA鑑定はなおさらですが、
血液型鑑定さえ、存在しなかったことになります。
ほとんどのかたは、生物学的な子を、自分の子としたいでしょうし、
そうすることが、家庭のためにも、子の福祉のためにも、
いちばん安定するのは、いまも明治時代も、大差ないと思います。
だからこそ、出産によって親子関係をはっきりできない
オトコたちは、「父権の推定」という概念を作り、
「待婚期間」「300日規定」による、「子宮の管理」をして、
できるだけ確実に生物学的な子が、自分の子になるようにしたのだと思います。
男性にだけ、「親子関係不存在確認」の訴えができるのも、
科学的な親子鑑定法がなく、誤判定もありえるというので、
彼ら男性たちには、不安が残ったのでしょう。
DNA鑑定を用いることについて、稲田朋美はこんなことを言っています。
|DNAが本人のものか、母親が真実を述べているかなど、
|\鑑定試料(検体)の真偽や陳述書の信用性の判断を
|窓口業務で行わなければならず、現実的でなく、あまりにも危険である。
DNA鑑定を行なう指針は、こんなふうです。
「日本法医学会 親子鑑定についての指針」
========
1. 直接の当事者、資料の提供者に、鑑定実施に異論がないことに留意する。
2. 資料の採取状況が確認されているもののみ鑑定する。
・資料採取に鑑定人または鑑定補助者が立ち会う。
・資料提供者の写真、指紋、署名を取る。
・立会人の署名、資料提供者氏名、生年月日、採取場所、採取日時等を記録する。
3. 個人のプライバシーの保護に務める。
========
鑑定結果によっては、個人や家族の関係に、多大な影響をおよぼします。
本人に無断で鑑定するのは、深刻なトラブルを招くので、通常はご法度です。
当事者全員がよく相談して、同意した上で試料が採集されます。
(ついでながら、試料として、通常は血液が用いられます。)
このあたりは、鑑定にかかわる人なら、神経をとがらせているところです。
それから法医学関係者が、鑑定してよいか、依頼書を見て判断します。
どうしてきゅうに、「窓口業務」になるのか、わからないですが、
どこで扱っても、最後に判断するのは、法医学関係者でしょうから、
しろうとである、役所の窓口の人は、審査しないでしょう。
「鑑定の依頼と受付について」
また、子どもの認知をしたくない男性が、血液型をいつわるなど、
当事者がうそをつくことも、たしかにすくなからずあります。
(稲田は、母親がうそをつくと想定していますが、実際は男性が多いです。)
うそをつく危険があるから、鑑定にかけてはっきりさせるのであって、
「うそをつくから危険だ」と言って、鑑定にかけないのは、
本末転倒であり、まったく意味がわからないです。
また、稲田は前のほうで、「第三者が勝手に父親だと
名乗り出て裁判を起こすことができるとすると」などと言っています。
血液型などほかの鑑定や、過去に通った病院の診断書、
あるいは、関係者の証言、事件の状況などを見て、
親子の可能性があることを確認した上でないと、DNA鑑定はかけません。
「勝手な第三者」のように、状況から見て、実の親でないとわかるときは、
鑑定はしないので、裁判にならないと思います。
ようするに、稲田朋美氏は、親子鑑定のことなど、
ほとんど知らないのであり、おそらくは、思い込みだけで、
反対をしているのだろうと、わたしは思います。
さすがの稲田も、救済が必要な事例の存在は、認めざるを得ないようです。
ところが、これらは「例外」なのだと言って、極力特別扱いしていて、
どうやら、眼をそらすことを、正当化したいもののようです。
このあたり、稲田氏は、自分をいつわって、
納得しようとしているものがあるなと、わたしは感じましたよ。
2007年05月16日
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子供が産まれた後、妻と不倫相手がDNA鑑定を行い、子供が法的に不倫相手の子供になるのでは…という不安です。
「第三者が勝手に父親だと名乗り出て裁判を起こすことができる」この記述の「第三者」は、「夫にとっての第三者」という意味かも知れません。
勿論、現在の法案ではこのような状況は発生しないでしょう。また、そんなことを望んでいる人は多く無いでしょう。
ただ、状況がそちらの方向に進んでいるように思ってしまい、不安になるのです。
このような不安感を解消できれば、稲田朋美等の発言力を削減することができると思うのですが、解消する方法を考えつきません。
現在でもありえますし、そんなときは、親子鑑定もなされたりしますよ。
なんの手続きもしないと、ほかの男性の子であっても、
婚姻中の夫の嫡出子と、推定されることになります。
つまり現行法は、「不倫の子」でもなんでも、嫡出にしてしまいます。
夫である男性が「不倫の子を、自分の子にしたくない」と思ったら、
「親子関係不存在確認」の訴えをすることになります。
(というか、こんなときのための、「不存在確認」なんだけど...)
訴えるためには、自分の子でないことを、はっきりさせる必要があるので、
場合によっては、親子鑑定を行なうことになります。
稲田の言う「勝手な第三者」が、どういう立場の人を、
指しているのかは、じつのところ、わたしには、わからないのだ...
「300日規定」の改正案は、関係はすでに破綻しているのに、
男性が離婚届けを出すことに応じないとかで、
法律婚関係にある場合を、想定しているでしょうから、
ご心配のようなケースは、対象外だろうと思いますよ。
「妻の産んだ子は夫の子と推定する」というのがまちがいです。
妻が夫を含め、10人の男と寝ていれば、夫の子である確率は10分の1、夫とやる時避妊、他の男とやる時避妊しなければ、確率は0です。
だからDNA鑑定をしないで誰かの子と推定したり、確定したりしてはいけないのです。
今の民法こそ、不倫助長の法律のように思えます。
ようするに、結婚している相手としか、
子どもは作るはずがない、という前提があるのでしょう。
不倫を助長しているというより、不倫は存在しないという、
一種の家族幻想なんだとおもいます。