2014年5月に行なわれた「Qzoo」というインターネット調査で、
つぎのように「しらべえ」の記事になっています。
「【男性が知るべきこと】女性の58.3%は痴漢に遭ったことがあり、
その殆どは泣き寝入り」
わたしの印象は「思ったより少ない」ですよ。
もっと多いのではないかと思っていました。
【「これまでに痴漢に遭ったことがある」と答えた人の割合】
20代女性:43.1%
30代女性:63.1%
40代女性:65.0%
50代女性:63.3%
60代女性:58.0%
(全体平均:58.3%)
男性諸氏の中には「こんなに多いの?」と意外なかたもいらっしゃるでしょうか?
このアンケート自体、「男はどれだけの女が痴漢に
遭ってるかを知らない」というので、行なったもののようです。
この「しらべえ」の記事を、フジテレビのクイズ番組
『ネプリーグ』がクイズの問題として取り上げたのでした。
そうしたらやはりというか、ネットで猛反発が起きたのですよ。
「そんなにいるわけない」とか「ブスの勘違いだ」とか
「冤罪も多いはずだ」とか、根拠もなくアンケート結果を否定する始末です。
「『ネプリーグ』が「女性の60%近くが痴漢被害経験者」と放送⇒
「自意識過剰だ」とネット原住民猛反発」
(はてなブックマーク)
今日やっていた番組か何かで痴漢特集やってたんですか? 予想通りというか何というか、「冤罪も多い(←性犯罪被害と司法不備による被害の混同)」「そんなにいるわけない(←大した根拠もなく被害を最小に見積もる)」「ブスの勘違い(←美人は自分を拒絶しないと思いたがる)」が湧いてきてる模様。
— えいこだん (@denpa_hoihoi) 2015, 5月 18
痴漢被害者にいわゆる「美人」が多いということはない、
というのは、しばしば指摘されることです。
狙われやすいのは、まじめでおとなしそうで、
抵抗しなかったり通報をしなさそうに見えるタイプです。
「性犯罪にあいやすいタイプ」
痴漢被害者のお話が出てくると、しばしば「被害妄想だ」とか
「勘違いだ」とか嘲笑する人たちが、何人も出てくることがあります。
アンケート結果の根拠のない否定も、こうした性暴力被害者に対する
嘲笑の一形態ということでもあるのでしょう。
「嘲笑される痴漢被害者」
ある種の男性の中には、性暴力の加害者に男性が多いという
事実を見せられると、なんとかして否認したがるようです。
ストーカーの加害者に男性が圧倒的に多いことも、
「女にも加害者はいるよね」とか言って、
しきりに眼をそらそうとする男が何人かいたのでした。
「ストーカー事案の概況」
ある種の男性は、厳然たる女性差別の実態を見せられると、
自分がその加害者として、批判されている気になるのかもしれないです。
(本当に差別的なので、眼をそらしたくなるのかもしれないです。)
それで現実と向き合おうとせず、逃げ道を探したくなるのかもしれないです。
今回の痴漢被害のデータは、効果的な反論をする
余地がなかったので、見苦しくなったのだと思います。
情報リテラシーの観点から言えば、なんら反証のデータを
しめすわけでもなく、自分の狭い経験だけで気に入らないデータを
否定することが反知性的であることは、言うまでもないでしょう。
根拠なく否定している彼らこそ、妄想の中にいるというものです。
ハナっから調べる気のない人たちが自分の狭い経験の範囲内で「それだけは無いわw」「信用できんw」とか、対処できないデータを笑ってごまかし、ますます無知のアリ地獄から抜け出せなくなっていく。
自分の無知を甘ったるく許している者たちによって、無責任でデタラメな社会が維持されていく。
— 廣田恵介 (@Hirota1967) 2015, 5月 19
付記1:
『ネプリーグ』の情報源が「しらべえ」であることは、
確認をされたかたがいらっしゃります。
【男性が知るべきこと】女性の58.3%は痴漢に遭ったことがあり、その殆どは泣き寝入り | しらべぇ http://t.co/c3aFAWADiv (昨夜の『ネプリーグ』のソース元です。フジテレビ視聴者総合センターから教えていただきました。)
— 廣田恵介 (@Hirota1967) 2015, 5月 19
付記2:
ネプリーグが痴漢被害の割合をクイズの問題にしたこと自体、
痴漢被害を娯楽として消費しているとか、軽く扱っている、
という批判も多数あります。
性犯罪者というのは病気なんですよね。
その時に病気だとか私生活や仕事で何かあったからとか、そういう言い分を聞かずに処罰することが重要です。
言い分で許されるのは「私はやっていません」とか「満員電車なので当然体は接触しても痴漢行為はやっていない」というケース。
確かに万引きなどで防犯カメラの映像をテレビや新聞、ネットなどで公開することは人権面で問題があるというのは理解できて、被害店側もそれを望まないことが普通だと思います。
大規模な窃盗となると別ですが。
デパートやスーパーで今月万引き被害があったか?とアンケートを取れば、おそらく100%がありました。というより毎日ありますよと回答するはずです。
逆に99%以上の利用者は万引きをやらないのと同じで、痴漢も99%以上は一度もやったことがないと思います。
一定数の人間が繰り返し行っているのが実情ですが万引きと違って相手の性への犯罪ですから、処罰を厳しくすることが重要です。
ところが現在刑務所にいる人間のかなりが出戻りだそうですね。
結局反省してないじゃないかと言うと、人権派が刑務所帰りだと職も見つかりにくいし、世間の目も冷たいから被害者でもあるとか言ったり。
職が見つけにくい、世間が冷たい、それら含めての処罰なんですがね。
米国などは性犯罪者についてネットでその人物の写真や住所も確認できるシステムがあったり、非常に厳しいことをやっていますが、日本でそれが出来ないのは人権派がうるさいからでしょう。
被害者や被害者家族にとって相手が病気だとか心身喪失状態でどうしたとか知ったことではありません。
人権大国と言われる米国でさえそうですから日本の被害者に対する配慮や再犯防止は非常に弱く遅れていると言えますね。
"ある種の男性は、厳然たる女性差別の実態を見せられると、自分がその加害者として、批判されている気になるのかもしれないです。"
ここ、本当にそうだと思います。
痴漢は犯罪者と女性間の問題であって、男は関係ないというスタンスがあるんじゃないかと。
だから被害者である女性の情報に無関心で、痴漢関連の知識も無いんだと思います。
>たとえ個人を特定しないアンケートであっても、
>痴漢の事実をあかしにくいという人はいると思います
その可能性はじゅうぶんありそうですね。
(ご指摘、まことにありがとうございます。)
実際はもっと多い可能性がありますね。
それでわたしは、思ったより少ないという印象を受けたのかもしれないです。
>性犯罪者というのは病気なんですよね
性犯罪者が病気かどうかは、わたしはわからないです。
異常な人を「病気」と考えるのは、注意したほうがいいと思います。
性犯罪は一般に再犯性が高く、
同じ人が何度もやることが多いのはたしかですし、
加害者の中にはカウンセリングが必要なこともありますが。
>日本でそれが出来ないのは人権派がうるさいからでしょう
それもわたしはよくわからないです。
むしろ男性の性加害にあまい「男社会」が反対しているような
印象なきにしもあらずです。
>人権大国と言われる米国でさえ
そんなふうに言われているんですか?
わたしは知らなかったです。
ところでこのエントリは、痴漢被害者が男性の予想を超えて多いことと、
それを根拠なく否定したがる男たちがいるという内容です。
いただいたコメントは、主旨がちょっと違ってますね。
>ここ、本当にそうだと思います
自分も加害者として批判されている気がする男というのは、
内心やましいところがあるのかもしれないです。
「関係ない」というか、「関係ないと思いたい」なのかもしれないです。
女性が性差別の被害について語っていると
「Not all men」と言って、絡んでくる男はよくいるのですよね。
本当に「自分は違う」と思うなら、被害女性に絡むのではなく、
差別的な男を批判すればいいのだと思います。
「自分は違う」なら遠慮なく批判できるはずですからね。
痴漢被害の知識がほとんどないのに、データを出されても
根拠もなく否定するというのは、性加害に加担することになります。
そういう男は「自分は違う」とは言えないですね。
性犯罪は全般的にやっかいです。
やっかいな原因のひとつにほかの犯罪と違って、
被害者落ち度論がまかり通ることがあります。
ご指摘のとおり、比較的少数の男が、
いろいろな女性に痴漢を働いている、
ということだと思います。
痴漢がどれくらい捕まるのかはわからないです。
暗数化も多そうですし、逃げられたりもして、
どうにか検挙できるのは全体の
ごく一部ではないかと思います。