2015年05月29日

toujyouka016.jpg アイルランドの同性結婚

5月22日にアイルランドで同性結婚を合法とする
憲法改正の是非を問う国民投票が行なわれたのでした。

「アイルランド同性婚合法化 国民投票で初、賛成6割」
アイルランド 同性婚で国民投票 カトリック国 転機 「賛成優勢」きょう実施
「アイルランドで同性婚合法化、国民投票では世界初」
「Ireland votes overwhelmingly in favor of same-sex marriage」
「アイルランド共和国の同性結婚合法化…
「他の誰かの幸せ」と「国の制度」と「価値観」と。」


賛成が62%、反対が38%という、圧倒的な賛成多数です。
投票率は60.5%(約195万人)です。
これによって「結婚は当事者の性別を問わない」と、
憲法に書き込まれることになります。

 
アイルランドでは、2011年には同性カップルに対して、
パートナーシップ法が定められ、異性カップルの法律婚と同等の
社会保障や税制、福祉、相続が認められていました。
同性カップルに対する養子縁組は認められず、
異性カップルとの完全な平等化のためには、憲法改正が必要でした。
2013年に現政権が、国民投票を行なうことを表明していました。

議会の決議や裁判所の決定で、同性結婚が認められた国は
これまでにもたくさんあったのでした。
国民投票によって憲法改正して、同性結婚を認めるようにした国は、
アイルランドが世界ではじめてとなります。


世論は賛成が有利に展開して、事前の世論調査も賛成多数でした。
投票後も公式な開票結果が発表される前から、
賛成派の陣営の中には勝利を祝っているものもいました
反対派はさほど勢いがなかったようで、反対の中心である
カトリック教会も、積極的な活動には出ていなかったのでした。

この国民投票のために、世界中からアイルランドに
帰国してくる人たちもたくさんいたのでした。
同性結婚を認めることを重要課題と考え、
合法化に熱心な人たちの様子が伝わってきます。

「Irish People From All Over The World Are Travelling
#HomeToVote In The Same-Sex Marriage Referendum」





これだけたくさんの賛成があれば、自分自身の利益とは
直接関係ない人たちも多くいらっしゃると思います。
他者の権利のために、これくらい熱心になれるというのは、
すばらしいことだと思います。



アイルランドはカトリックの影響が強く、家族やジェンダーに関して
因習反動的なカチカンが幅を利かせている国です。
なにしろ「マグダレンの祈り」の国です。
1996年までは離婚が法律で禁止されていました。

妊娠中絶もずっと禁止され、2013年に母体の命が危険な場合という
条件付きで、妊娠中絶が認められるようになったにすぎないです。
「ウィミン・オン・ウェーブ」という人工中絶船が来たこともある。)

同性愛も1993年までは違法行為だったのでした。
そうした国が国民投票で同性結婚を認める憲法改正を決めた
というのは、大きいことではないかと思います。
ここ20年ほどの社会情勢の変化が大きさが伺えます。

性や家族をめぐるアイルランドの制度の変遷

posted by たんぽぽ at 21:19 | Comment(2) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
離婚禁止、堕胎禁止…つい最近までそんな厳しい法律があったとは全く知りませんでした。
本当に歴史的なことなんですね。
宗教が土台の厳しい性規範という土壌にありながら変えていく潮流に対し、日本は渋谷区が法的効力のない同性愛条例を出すのがやっとで、まだまだ先は長いですね
Posted by うがんざき at 2015年05月30日 09:14
こちらにコメントありがとうございます。

>離婚禁止、堕胎禁止…つい最近までそんな厳しい法律があったとは

意外ですよね。
離婚も中絶もいまもって認められるのは条件付きですしね。

1993年まで同性愛に罰則があったのは、衝撃的だと思います。
同性愛が違法なんて、アジアやアフリカの開発途上国か
共産主義国のお話というイメージがあるけれど、
20世紀の末のヨーロッパの先進国にあったのですよね。


>宗教が土台の厳しい性規範という土壌にありながら変えていく潮流に対し

教会の関係者は「人びとの信仰心が薄れてきた」と
言っているけれど(古典的なRPGみたいだ)、
それだけではない意識の変化もあるだろうと思います。

最近の20年ほどのあいだに、急激に変化しているのでしょう。
日本はいつのまにか追い越されてしまいましたね。
Posted by たんぽぽ at 2015年05月30日 19:16
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