という、歴史人口学の記事をご紹介しました。
記事の3ページ目につぎのことが書いてあります。
人口が停滞や減少する時代のほうが文化が成熟するという指摘です。
「人口が減少か停滞する時期に文化が花開く ペスト流行とルネサンスの関係」
なぜ文化が成熟するのかというと、人口が増えないことによって、
ひとりあたりの資産が増えることによります。
日本の江戸時代とイタリアのルネッサンスを、例として挙げています。
さらに歴史を振り返ると、文化が成熟し花開くのは、
人口が減少または停滞している時期と重なります。
なぜ人口が減ると文化が発達するのか。
思うに、人口が増加する時代にはモノを増産して消費も増え、
経済がどんどん拡大していきます。
一方、人口減少社会では生産量を増やす必要はなく、
人口が減ることで1人当たりの所有物が増えます。
例えば江戸時代には、人口も領土もほぼ一定に推移した状況下で、
世界に類を見ない文化の爛熟期を迎えました。
また、14世紀にペストが大流行した欧州では、
イタリアを中心に大勢の死者が出ましたが、
この時期に同国からルネサンスが始まったのは偶然ではないと思います。
この予想は一定の妥当性はあるとわたしも思うのですが、
これが成り立つためには人口の減少が続いても、
社会全体の資産があまり減らないという前提が必要だと思います。
今後の日本は、この前提が成り立たないと思われるのですよ。
将来の社会全体の資産は減っていくことが予想されます。
現時点でも、1995年と2009年とで比較した場合、
日本は下位90%の所得も上位10%の所得も両方減っているという、
特異的な国となっています。
「日本ではピケティでr>gより大事なこと」
(はてなブックマーク)
原因は「失われた20年」のあいだずっとデフレが続いて、
国の経済が縮小し続けているからにほかならないです。
より具体的には、企業による賃金の抑制のし過ぎと、
政府による税金の取り過ぎのため、国民全般の消費活動が
鈍くなるということによります。
日本の一人あたりGDPは1995年を100とすれば2009年は105.3。しっかりプラスです。
分配面でみれば、 GDP ≡ 家計の収入 + 企業の収入 + 政府の収入で、
家計の収入が実質減っているのですから、
日本経済は、企業が従業員給与を抑制し過ぎ(新自由主義の蔓延)、
政府が税金を取り過ぎ(財政再建至上主義の蔓延)、
その結果お金が回らないデフレとなって、国の経済全体を縮めているという
まったく馬鹿げた状態と言えるでしょう。
ようするに国民が国と企業にお金を取られすぎるので、
国民みんなが財布のひもを堅くするようになって、
社会全体にお金が回らなくなるということですよ。
(とてもわかりやすいお話だと思います。)
「失われた20年」のあいだに国民ひとりあたりの資産が
減っていることは、たとえば『クレヨンしんちゃん』の野原家は、
アニメが始まったころは、しがない庶民だったのですが、
いまでは安定した暮らしができる「勝ち組」に見える、
ということがしめしていると思います。
かつての野原ひろし=子持ちでマイホームとマイカー持ってる
出世の目が出ないショボイおやじ
今の野原ひろし=子持ちでマイホームとマイカー持ってる
ちゃんと職を持った立派なお父さん。勝ち組
この20年
一体どれほどの経済的損失が発生したのかがうかがわれる。
— KAKERU (@BARKAKERU) 2014, 12月 16
このまま被雇用者の賃金抑制と、財政再建主義を続けて、
国民一般が国と企業にお金を取られすぎる状況が変わらなければ、
今後もデフレが続いて経済が縮小を続けることになり、
日本社会全体の資産はどんどん減っていくことになります。
そうなると将来人口が減ったとしても、ひとりあたりの資産は、
たいして増えないどころか、減る可能性が大きいと思います。
デフレは最低賃金や多くない賃金で生活するには悪くなかったから続いてきた面があると思います。
私は若くないですが高齢者でもなく、その年代の人間が振り返ると昔は物価が高過ぎますね。
家電はもちろん、様々な日用品なども。
衣類もそうですが、最低賃金と物価がまるで釣り合っていませんでした。
今、最低賃金は80年代の2倍近くになっているはずです。
人口減少はあまり心配していません。というのも昔は55才定年が一般的で父親が言うには、オヤジは(私にとっての祖父)50才で定年したんだぞ。とのことです。
55才定年が常識だとそのように50才でリタイヤした人もいたと。
それが今は60才定年で、それでも何らかの形で仕事を続ける人が多く、中小企業なら70代まで続ける人も珍しくない状態です。
現実に昔の70才は今にも死んじゃいそうな人が多かったですけど今の70才は昔の50代くらいに思えますからね。
私やたんぽぽさんの世代が70才の時は昔の40代程度なんじゃないかと。
寿命が延びても出産可能年齢は延びないというわけですが、仕事が出来る時期や元気で活動出来る時期は確実に延びていますから、労働人口などについて全体の人口減は心配なく、個人の収入アップというより仕事をして収入を得られる時期が長くなりますね。
失業者の犠牲の上に成り立っていることは、ご存知だろうと思います。
最低賃金はいまも釣り合ってないですよ。
日本の最低賃金は欧米の民主主義国とくらべて低水準です。
http://finalrich.com/sos/sos-economy-world-bad-work.html
https://twitter.com/ohnojunichi/status/513562179576942592
高齢者の雇用を促進すると、若年層の仕事を奪う
可能性が出てくるという問題がありますね。
その前に高齢者もていのよい労働力として
安く買いたたかれていることが、問題だと思いますが。
最低賃金が高い国は物価も高いんじゃないですかね。日本、特に東京の物価は世界でかなり高いようなことを言われますが今は違うようですし。
そのために働く人の賃金が抑えられているとなると、それはどちらがいいか難しいですが年金生活に限らず、働く人も同時に消費者なので。
挙げられたリンク先のものは、ちょっとおかしな認識です。
公認会計士、行政書士、司法書士、社保労務士、簿記検定資格などを勧めていますが、それらの資格を取得することは弁護士も含めてお勧めと言えるほどの資格ではなくなっていますよね。
言われてみれば、それらの資格を持っている人がなかなか引退せず詰まっている。若手に不利と言えます。
ただ一般的な中小企業で老年の人が嘱託とか顧問のようになって残ってもらうと助かるんじゃないでしょうか。
助かる、邪魔になる、無駄になるなどは、その人のヤル気や実績のみならず人徳もあるでしょうね。人徳のある人しか残ろうにも残れないとなれば結果として誰にとっても良いことになります。
こんなの見つけました。
日本の最低賃金は物価考慮してもオーストラリアの6割、ひとり親稼働世帯貧困率は豪の3.5倍、富裕層2倍
http://bylines.news.yahoo.co.jp/inoueshin/20150419-00044961/
おまけ:イギリスの例
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2015/04/uk_01.html
いろいろあるもんですね。
>日本の最低賃金は物価考慮してもオーストラリアの6割、
>ひとり親稼働世帯貧困率は豪の3.5倍、富裕層2倍
>http://bylines.news.yahoo.co.jp/inoueshin/20150419-00044961/
ご紹介ありがとうございます。
「最低賃金が高い国は物価も高い」と言って、日本の最低賃金の
低水準を擁護する人は、結構たくさんいるみたいですね。
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「オーストラリアの物価は日本の倍近く高いのだから最低賃金も高くて当然だ」
というような指摘がコメントやツイッター等で寄せられています。
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物価を顧慮した実質最低賃金くらいデータがあって
それを見れば、日本の最低賃金は物価を顧慮しても
低水準であることは、すぐにわかるのですね。
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各国の物価水準も考慮に入れた購買力平価で換算した実質最低賃金を見ると、
直近の2013年の数字で、日本は6.7米ドルで、オーストラリアは10.5米ドルです。
物価水準を考慮に入れてもオーストラリアは
日本の1.56倍の最低賃金額になっているのです
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わたしが前のコメントでリンクしたひとつ目の記事の
最初のグラフは「最低賃金と平均賃金の相対水準」なのですよね。
だから物価は関係ないのですよね。
http://finalrich.com/sos/sos-economy-world-bad-work.html
>おまけ:イギリスの例
>http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2015/04/uk_01.html
こちらもご紹介ありがとうございます。
物価上昇率以上の最低賃金引き上げですね。
(それでも経営者側が納得する水準で、低賃金委員会は引き上げ幅が
じゅうぶんでないとして不満が残っているのですね。)
経済の安定を重視するなら、景気が回復してきたら
被雇用者の賃金を引き上げる必要が出てきますね。
日本の「アベノミクス」は、まだこの段階にいたらないですが。
(消費税増税の後遺症で、実質賃金はいまだに下がり続けている。)