2015年07月18日

toujyouka016.jpg 子育て新制度の継続保育

所沢市の「上の子は保育園を出て行って」政策の続き。

「所沢市長が三歳児神話」
「所沢市長が三歳児神話(2)」

今年の4月から始まった、子ども・子育て支援新制度は、
保護者が育児休暇を取っているあいだも、すでに保育所を
利用している子は保育所を継続して利用できることが、
はっきりと書かれるようになりました。
つぎの記事でそのあたりについて解説があります。

「【時代錯誤】所沢市長「保育園に入りたいと子どもは思っていない」の欺瞞」

 
それまでは保護者が育児休暇を取得しているあいだの扱いは
はっきりしめされず、自治体ごとの裁量にまかされていたのでした。
これに国が一定の承認を与えたことになります。

「保育の必要性の認定について」

現行制度における取扱いを踏まえ、保護者が育児休業を
取得することになった場合、休業開始前に既に保育所に入所していた
子どもについては、保護者の希望や地域における保育の実情を踏まえた上で

(1)次年度に小学校入学を控えるなど、
子どもの発達上環境の変化に留意する必要がある場合
(2)保護者の健康状態やその子どもの発達上環境の変化が
好ましくないと考えられる場合

など市町村が児童福祉の観点から必要と認めるときは、
継続入所を可能とすることとする


内閣府が作った、子ども・子育て支援新制度の解説冊子でも、
「保育を必要とする事由」の中に「育児休業取得中に、
既に保育を利用している子どもがいて継続利用が必要であること」
という項目があります。

「子ども・子育て支援新制度 なるほどBOOK
みんなが子育てしやすい国へ。すくすくジャパン!」


1. 保育を必要とする事由

このような新制度を導入した主旨は、
「(育休退園は)復職に当たり、改めて保育所を探すのは
保護者にとって負担であるとともに、
第2子出産を躊躇する要因にもなっているのではないか。
こうしたケースでも継続して利用できる仕組みとすべきではないか」
という問題を受けてのことです。


所沢市はこの国の新制度の記述を逆手に取って、
「保育の必要性の認定について」の(1)と(2)しか認めないとし、
巧妙な記述で、0-2歳児を退園させるという方針を述べています。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/ogawatamaka/20150619-00046820/
「“など”市町村が児童福祉の観点から必要と認めるときは」の一文がない。
つまり、上記の二点以外を所沢市では認める気がないということだ。
「0〜2歳児は退園(継続不可)」と書かず、「3歳児・4歳児・5歳児は
継続が可能」と書いているので、一見してそれがわかりづらい。
(2)に後述して、「(2)の1〜5のいずれかの事由に該当し、
保育の継続利用が認められた場合には、0歳〜2歳児(クラス年齢)の
在園児も継続が可能です。」と書く。
ここで初めて、育休取得中保護者の0〜2歳児が基本的に
退園を迫られていることに気付く人もいるだろう。

子ども・子育て新制度の主旨は、保護者が育児休暇中でも、
上の子は保育所に継続して入所できることを、広く認めることです。
保育所の継続利用の条件を限定して、継続して入所できる子を
極力減らす所沢市の指針は、新制度の主旨に反することになります。


「親が育児休暇を取ったら、上の子は保育園から出て行って」という
新方針を作った所沢市は、住民から提訴されることになりました。
上述の子ども・子育て支援法違反などが理由です。

「育休で退園「違法」 保護者ら11人、所沢市を提訴」

「育休で上の子退園 埼玉・所沢市、保育園新方針 保護者「違法」申し立てへ」
「育休で上の子退園 埼玉・所沢市、保育園新方針 保護者「違法」申し立てへ」(全文)
(はてなブックマーク)

第2子以降を出産した母親が育児休業を取得した場合に保育園に通う
0〜2歳の上の子を原則退園させる所沢市の方針は、
女性の社会進出を阻み、子ども・子育て支援法などに違反するとして、
同市の保護者8世帯11人が25日、市を相手取り
退園の差し止めを求める行政訴訟をさいたま地裁に起こした。
原告の母親らは「少子化を食い止め、働く女性を支援する
流れに逆行する制度」と批判している。


posted by たんぽぽ at 22:14 | Comment(1) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
たんぽぽさん。
この前は保育所建設に反対する住民がいる問題を挙げましたが、職場については日経新聞の6月13日にあるように、育児休暇取得に不満を感じるのは男性より女性に多い。
中小企業、大企業、管理職、非管理職。
すべて不満を感じるのは女性に多く、中でも一番男女差があるのは大企業管理職で女性30%、男性18%です。
自治体がどのように改善しても職場の意識、特に大企業女性管理職に無理解な人が多いというのは困ったものですね。
Posted by ヒラリー at 2015年07月18日 23:41
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