未婚率や無子率にジェンダー差があることの要因は、
つぎの「知恵袋」の回答でくわしくお話されています。
「何故、現在、未婚女性に比べ、未婚男性の方が圧倒的に少ないのですか」
つぎの3つを原因として考える必要があるということです。
1. 適齢期の人口は男性の方が多い
2. 初婚は女性の方が多く、再婚は男性の方が多い
3. 高齢初婚者は男性の方がはるかに多い
「ノルウェーではシングルマザーがいい男の二番目さんになるから、
事実上の一夫多妻制」と力説する「弱者男性」氏は、
2. の再婚だけを取り上げていることになります。
「いい男が離再婚を繰り返すから、弱者男性に女が回って来ない」と
結論するために、都合のいい事実だけ注目しているのでしょう。
「男女平等、格差対策、少子化対策のトリレンマ」
一方で無子率は決して低くはなく、45歳無子率(最新の1965年生まれ
コーホート)は男性で22.9%、女性で12.5%ほどになっています*10*11*12。
これは、ノルウェーの男性の10.4%は離婚や不倫により事実上の一夫多妻となっており、
その分結婚できていない男性がいて、
ここでは1. の人口の性差を見ていきたいと思います。
日本の場合、総務省統計局の2013年のデータがあります。
「人口推計(平成25年10月1日現在)」
「第1表 年齢(各歳),男女別人口及び人口性比-総人口,日本人人口」


外国人を含めた総人口を見ると、結婚が多くなる
20代の後半から30代にかけては、男性が女性より3-4%多いです。
(日本人だけの人口にかぎると、もっと男性の割合は高くなります。)
人口の性比が3-4%もあることは、未婚率や無子率の性比に
影響してくるのにじゅうぶんな数と言えるでしょう。
ノルウェーの総人口については、2010年の統計があります。
20代後半から30代にかけては、やはり男性が女性より3-4%程度多いです。
「ノルウェーの男女別5歳年齢階級別人口 人口ピラミッド」

ノルウェーは40代になると、なぜかさらに性比が偏ってきます。
40代の前半の男女比は1.058で、男性は女性より6%近くも多いです。
「非もて」氏が挙げている45歳の無子率の性差は10.4%ですが、
その半分くらいは人口そのものの男女比からの寄与と
考えられることになります。
謝辞:
7月4日エントリのコメント欄で、情報をお寄せしてくださった
ritiarnoさま、まことにありがとうございます。
「男女平等、格差対策、少子化対策のトリレンマ」を書いた当人に自覚があるのかどうかはわかりませんが、統計データを用いて印象操作を行い、見た者に誤った(偏った)認識を植え付ける典型的な例と言えますので、ここで取り上げていただくことはとても有意義だと思います。
男女の人口比についてラトビアが女性100人に対して男性84人で、たまたま日本のサッカー選手がラトビア人女性と結婚したことも手伝って、ラトビアの美人女性が結婚できずに困っているだとか一部で盛り上がったことがありますね。
ラトビアだけでなく旧ソ連の国は女性人口が多い。俺、今からそういう国に移住する、などの書き込みも。
現実はそれらの国は若い女性が余っているわけではない。ロシアの男性平均寿命が短いのは有名ですが、やはり若い女性が余っているわけではない。
全体で女性100人に男性80何人などという数字を見て、今すぐ行かなきゃ!というのは、もちろん冗談がほとんどだと思いますが。
ただ仮に日本において若い世代の比率が女性100人、男性80何人であったとしても、何ら魅力のない男に彼女ができたり結婚できたりする機会が増えるということは絶対にないでしょう。
逆に男性が多くても同じで、今の日本人の感覚は男女ともに、意に沿わない相手と付き合ったり結婚するくらいなら独り身、未婚を選ぶでしょうね。
ノルウェーについて調査の意味不明な点があるようですね。
・夫婦の家事。夫が家事をよく行う国1位ノルウェーで日本は最低。
ところが、
・ノルウェーで家事分担する夫婦は離婚率が高い。いや、そもそもがノルウェーは家事の7割を妻が行っている。
何だか分かりませんね。
>たんぽぽさん、私のコメント内容を取り上げてくださり、とても嬉しく思います
いえいえ、こちらこそ情報提供をしてくださり、とてもうれしいです。
「トリレンマ」のエントリ、批判している人は結構いるけれど、
同様の指摘をしているかたはいないみたいなので、
わたしとしてはとても貴重です。
「トリレンマ」の人は、「弱者男性」や「反フェミ」の中では、
ちょっと人気があるみたいなので、釘を刺す必要があると思います。
>ここで取り上げていただくことはとても有意義だと思います
まだ途中までしか書いていないので、しばし恐縮です。
残りも書きたいと思います。
わたしのブログは零細で、読者がほとんどいないので、
たいして拡散しないのが、残念なのではありますが。