未婚率と無子率の性差（２）7月19日エントリでは、つぎの3つの原因のうち1. を見てきたのでした。
「何故、現在、未婚女性に比べ、未婚男性の方が圧倒的に少ないのですか」
1. 適齢期の人口は男性の方が多い
2. 初婚は女性の方が多く、再婚は男性の方が多い
3. 高齢初婚者は男性の方がはるかに多い
ここでは2. と3. を見ていきたいと思います。
年齢階級別の初婚数と再婚数は、つぎのサイトに出ています。
「性，年齢（５歳階級）別初婚数：1930〜2010年」
「性，年齢（５歳階級）別再婚数：1930〜2010年」
2010年のデータを見ると、初婚数は20代までは女性のほうが多いです。
30代になると男性のほうが多くなりますが、
全体では女性が497638件、男性が484406件ですから、
女性のほうが13232件多いことになります。
20代と30代にかぎると、男性は446180件、女性は471645件で、
女性のほうが25465件多くなっています。
総人口が3-4%少ない女性が多く結婚するということです。
そのぶんだけ男性の競争率は高くなるということです。
再婚も20代と30代の前半は女性のほうが多いです。
30代の後半から男性の再婚件数のほうが女性より多くなります。
それ以降の世代は男性のほうが、女性よりずっと再婚が多くなり、
全体で男性は99672件、女性は86440件で、男性が13232件多いです。
こうして見ると、男性のほうが人口が多く、
しかも婚姻年齢が高齢層にまで広がっているので、
少ない女性をめぐって再婚数が多くなることになります。
現在の日本は少子化で若年層ほど人口が少ないです。
よって結婚する女性の数はますます少ないことになります。
このあたりが、ノルウェーの統計が好きな「弱者男性」氏がご心配の、
同じ男性が再婚を繰り返すことによる寄与となるでしょう。
>無子率のジェンダー差の、再婚率のジェンダー差からの寄与。
ノルウェーにおける無子率のジェンダー差10.4%のうち、
5.8%は男女の人口比の差による寄与と考えられます。
残り4.6%も、夫婦の年齢差や世代間人口比による
婚姻率の差からの寄与が考えられます。
さらに無子率になると、ノルウェーでも離婚したとき
子どもを引き取るのは女性のほうが多いだろうと思います。
この寄与を加えると、「弱者男性」氏がご心配の、
男性のほうが再婚率が高いことの影響なんて、
ほとんどゼロと言ってよいくらいではないかと思います。
7月4日エントリのコメント欄で、概算をいただいているので引用します。
（コメントありがとうございます。）
男女の人口比の差が5.8%、夫婦の年齢差からの寄与が2%程度、
世代間人口比からの寄与はほぼゼロと推定して、
再婚率の性差の寄与は多く見ても3-4%程度としています。
無子率になると、離婚したあと子どもを引き取るのは
女性のほうが多いといった事情が加わるので、再婚率の男女差の寄与は
「重箱の隅をつつくようなものでしかない」としています。
ノルウェーの無子率に関する男女差について、
対象年齢人口男女比で6％近くが埋まり、男女の配偶年齢差を
婚外子の親の年齢差も同様だと仮定してこの年齢帯に換算すると、
あてずっぽうですが2％ほど埋まりそうです。
この点で日本だと1〜2％くらいですが、
ノルウェーの方が年齢差が大きいぶん影響も強いと予想します。
また、世代間人口比も影響していて、少子化で若年層の方が少ないと
平均初婚年齢が低い女性の婚姻率に上昇圧力がかかり、
平均初婚年齢が高い男性の婚姻率に下降圧力がかかります。
ノルウェーの場合は2010年の40〜44歳がピークなので、
男女間で相殺されて統計上の影響はほとんどなさそうですが。
これらを差し引くと、親子関係を遺伝関係だと仮定した場合の
45歳無子率に対する、（婚外子が生まれた場合を事実婚として
含むものとする）再婚率の性差要因はせいぜい3〜4％程度に思えます。
なお、日本では再婚率の男女差が生涯未婚率に2％近く影響します。
親子関係を扶養関係で見たものと仮定とすれば、
養子引取りや離婚児の親権取得は女性の方が多いでしょうから、
さらに差が埋まりそうです。
(Posted by ritiarno at 2015年07月13日 21:12)
詳しい年齢別の結婚データはあまり見たことありませんでしたが、晩婚化と言われながら男女ともに初婚は25-29才が一番多く、また、ともに34才までに初婚という人が多くを占めるんですね。
女性は10代で結婚する人も結構多くて周囲の状況や想像より、晩婚化でもないんだなということが分かりました。
ただ、結婚する人は34、35くらいまでにしているという考え方をしてみれば確かにそうだなとも思いましたが。