「データブック 国際労働比較 2015」という
労働政策研究・研修機構が発行している資料があります。
「データブック 国際労働比較 2015」
この資料に年齢別やジェンダー別の労働力率および就業率の
国際比較をした表が出ています。
労働力率や就業率のジェンダー格差を調べるために、
生産年齢人口のこれらについて、見ていきたいと思います。
>労働力率
はじめに労働力率を見てみます。
「第2-11表 性別・年齢階級別人口・労働力人口・労働力率(2013年)」
という表から、生産年齢人口について抽出して作ったのが次の表です。
全体、男性、女性の労働力率を%で表わし、
いちばん右の列でジェンダー間のポイント差をしめしています。
ジェンダー差をグラフにしたのが以下の図です。
ジェンダー差が小さい国はやはりスウェーデンです。
わずか4.5ポイントで、図でしめされた国の中では最小です。
カナダもかなり小さく、7.0ポイントとなっています。
欧米とオセアニアの民主主義国は10ポイント前後、
東南アジアの国は15ポイント程度の国がほとんどです。
日本とイタリアと韓国はジェンダー差が20ポイント程度と、
おおかたの予想通り、他国よりずっと大きいです。
ほかにブラジルが22.1ポイントとジェンダー格差が大きいです。
フィリピンが28.5ポイントもあって、ジェンダー格差が大きく
表中の国では最大なのが、わたしには意外です。
フィリピンは世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数の
順位が毎年上位で(2014年は9位)、
ジェンダー格差の小さい国として定評があるからです。
フィリピンのジェンダーギャップ指数の詳細を見ると、
「労働力率」は0.65であまり高くないです。
経済分野は「専門職、技術職」で女性のほうが多く、1を大きく
上回っているので、全体のスコアがよくなるもののようです。
>就業率
つぎに就業率を見てみます。
(「就業率」=「労働力率」ー「失業率」です。)
「第2-13表 性別・年齢階級別人口・就業人口・就業率(2013年)」
という表から、またまた生産年齢人口を抽出して
つぎの表を作りました。
さらに次の図でジェンダー差をグラフにしています。
これは労働力率よりさらに傾向がはっきりしています。
1. ジェンダー格差の小さい国
スウェーデン(3.8ポイント)、カナダ(5.8ポイント)
2. 平均的なジェンダー格差の国
ほとんどの欧米とオセアニアの民主主義国(10ポイント前後)
3. ジェンダー格差の大きい国(20ポイント前後)
日本(18.4ポイント)、イタリア(18.6ポイント)、韓国(21.0ポイント)
このように3つのカテゴリに、わりとはっきりわけられると思います。
スウェーデンのジェンダー格差が小さく、
日本、イタリア、韓国のジェンダー格差が大きいというのは、
おおかたのイメージ通りではないかと思います。
謝辞:
2013年10月7日エントリで、「データブック 国際労働比較 2015」を
ご紹介くださり、さらに内容についてコメントをしてくださった
ritiarnoさま、まことにありがとうございます。