2015年09月11日

toujyouka016.jpg 人口政策はやはり男女平等

「ヨーロッパで出生率が上昇しているのは移民のせいで、
家族政策やジェンダー平等の整備とは関係ない」と
いまでも喝破する人たちが、とくに「反フェミ」の中にはいます。
そういう主張をするかたを、ひさしぶりに見つけたのでご紹介します。

「移民なしの人口政策は男尊女卑しかない」
(はてなブックマーク)

 

ここでしめしている図は、以下のページにあるものです。

「ヨーロッパ諸国における自国女性と移民・外国籍女性の合計特殊出生率」

ヨーロッパ諸国における自国女性と移民・外国籍女性の合計特殊出生率


この図のピンクでしめされた「自国女性」の出生率を見ると、
家族政策やジェンダー平等が遅れているイタリアは1.26です。
そして家族政策やジェンダー平等が整備されている
フランスは1.8(2004年)、スウェーデンは1.72です。

フランスはもっとむかしのデータも出ていますが、
1991-1998年の出生率は1.65、2004年の出生率は2.8です。
これは10年間で家族政策やジェンダー平等の整備が進んだので、
出生率が0.15だけ上がったということだと思います。

これらは「家族政策やジェンダー平等を推し進めて、
女性が仕事と家庭を両立しやすい環境を整えると出生率が高くなる」という、
従来からの議論通りであることをしめしていると言えます。
「フェミの言い分」というのがこれのことだとしたら、
どこも間違っていないということです。


このつぎは「1.26が1.8になっても人口置換水準2.07を
超えなければ、みな同じで無意味」なんて言うのでしょうか?
0.54も出生率に差があれば、だいぶ違ってきますよ。

「選択する未来委員会」が試算した日本のケースですが、
50年後の人口は、出生率が現状の1.43のままだと8700万人、
出生率が2.07にまで上昇すると、1億500万人になると推定しています。
いまから出生率を高めていって、差が0.64にまでになると、
50年間で1800万人も人口に差が出ることになります。

「人口政策・選択する未来」
「人口政策・選択する未来(2)」

このままでは50年後は8000万人台に

現在のフランスとイタリアの差0.54も、じゅうぶん大きいです。
出生率が0.6前後程度も違えば、中長期的にはかなり影響が出ます。
しかも人口の増加や減少は指数関数的に効いてきますから、
時間が経つほど加速度的に差が開くことになります。


現代の先進国において、自国民の出生率を人口置換水準以上に
引き上げるのはかなり困難であることはたしかです。
いまのところ自国民だけで出生率が2.07を超えた国はないようです。

少子化が深刻でないアメリカ合衆国も、非ヒスパニック系
民族グループの出生率はどれも2を下回っています
フランスの2004年でさえ1.8、11年経っている現在は、
もっと高いと思われますが、2.07を超えるのは
まだ時間がかかるのではないかと思います。

それでも家族政策とジェンダー平等政策を整備して、
女性が仕事と家庭を両立しやすい環境を整えれば
出生率が高くなることは、さんざん実証されています。
それは中長期的には大きな違いとなって現れることになります。


つぎのエントリもご紹介しておきます。
「フランスの出生率が高いのは移民のせい」という主張は、
ずいぶんむかしから言い回されていて、反証されているものです。

「フランスの高出生率を支えるものーー移民の子だくさんという先入観。」

posted by たんぽぽ at 23:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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