「ヨーロッパで出生率が上昇しているのは移民の子だくさんのせい」
という主張をする人は、自国民と移民・外国人の人口比を
無視しているのではないかと、おそらく思います。
それについて検証したエントリを以下にご紹介します。
「フランスの高出生率を支えるものーー移民の子だくさんという先入観。」
このエントリでは、2004年4月のフランス国立人口学研究所の
ロラン・トゥルモンによる研究を紹介しています。
この研究が参照したフランスの国勢調査は、
「フランス産まれ」か「外国産まれ」かでわけて集計しています。
外国で産まれた移民のかたが、フランスに来てから
フランス国籍を取った場合も、「移民・外国人」にカウントされます。
1999年の国勢調査の際にINSEEとINEDによって
行われた大規模な家族履歴調査の結果を用いて、
移民女性の出生率についての数字を示したものである。
調査には帰化によってフランス国籍となったものや不法滞在者をも含まれている。
結果を要約するとつぎのようになります。
1. 全体の出生率: 1.72。
2. フランス産まれの出生率: 1.65
3. 移民・外国人の出生率 2.50
4. 移民・外国人の寄与 0.07ポイント(=1.72-1.65)。
5. 移民の割合: 8.5%
全体の出生率は1.72で、自国産まれの女性の出生率は1.65です。
移民・外国人女性からの寄与はわずか0.07ポイントです。
移民・外国人女性の人口の割合は8.5%であり、
自国産まれの女性と比べるとはるかに少ないので、
全体の出生率はほとんど自国産まれの女性の出生率で決まるということです。
ここで計算に使われている出生率は、自国産まれの女性が1.65、
移民・外国人女性が2.50ですから、9月11エントリでご紹介の
「社会実情データ図録」の図にも載せられた数値だと思います。
「ヨーロッパ諸国における自国女性と移民・外国籍女性の合計特殊出生率」
2004年のデータも見つかったので、同様の計算をしてみます。
1. 全体の出生率: 1.90
2. フランス産まれの出生率: 1.80
3. 移民・外国人の出生率: 3.29
4. 移民・外国人の寄与: 0.10ポイント(=1.90-1.80)
5. 移民の割合: 11.1%
移民・外国人の出生率に対する寄与は0.10ポイントで、
1991-98年の0.07ポイントより少し増えています。
それでも全体の出生率は1.90であり、そのほとんどは
自国産まれの出生率1.80からの寄与であることはあきらかです。
2004年も移民の割合は1割とちょっと程度なので、
全体の出生率への寄与は小さいことになります。
2004年の出生率は、以下の資料の図3を利用しています。
出生率のデータは「社会実情データ図録」の図に
載せられたものと同じものだと思います。
「フランスの子育て支援 - 家族政策と選択の自由 -」
この図を見ると「全体の出生率=自国民の出生率」と
ほとんど言っていいくらいであることが、
いっそうはっきりするのではないかと思います。
1981年から2004年までのあいだで、全体と自国生まれとの
出生率の差が0.10を超えたことはないです。
それに比べて移民・外国人の出生率は、変動はありますが、
1981年からずっとはるかに大きな値となっています。
「全体の出生率上昇は移民の子だくさんのせい」なんて
考えるほうがおかしなことだと、一目瞭然だと思います。
(「社会実情データ図録」の図を見ると、ピンクと黄色の
棒グラフで比較するので、移民の出生率が大きく見えて
寄与が大きいような錯覚を起こすのでしょう。
このあたりは「統計のトリック」の一種だと思います。)
2004年の移民の割合はつぎの資料から採っています。
トゥルモンの研究の1991-98年のデータは「移民の女性」、
こちらのデータは男女問わず「移民」なので、厳密には同じではないです。
それでも移民として来るのは男女で同数に近いだろうと仮定して、
このデータで代用することにします。
「主要国の移民人口比率の推移」
ほぼ「全体の出生率=自国産まれの出生率」なのですから、
全体の出生率を上昇させるためには、
自国産まれの出生率を上昇させる必要があるということです。
それは家族政策やジェンダー平等政策を、
地道に推進していくよりないことになるでしょう。
「人口政策は移民を受け入れても男女平等しかない」です。
2004年はいまから10年以上前なので、いまはどうなのかと思いますが、
事情はここでお話したこととほとんど同じだろうと思います。
1981年からずっとほぼ「全体の出生率=自国産まれの出生率」ですし、
それが最近の10年できゅうに変わるとは思えないからです。
移民の割合は2004年11.1%、2012年は11.9%ですから、
移民からの出生率への寄与はほとんど変化がなさそうです。
全体の出生率は2004年が1.90、2012年は2.01で、
0.11ポイントとわりと目立つ上昇をしています。
ここには家族政策やジェンダー平等政策にともなう
出生率の回復があることが、強く予想されます。
「フランスの家族政策」
「フランスの家族政策(2)」
>フランス本国に居住する移民は431万人。これは、人口の7.4%にあたる。このうち156万人がフランス国籍を取得している。残りの275万人は国籍を取得しておらず、これにフランスで生まれた外国人51万人を加えると、フランス本国に居住する「外国人」は326万人ということになる。http://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2004_11/france_01.html
ということなので、移民の子供はフランス人女性の子供としてカウントされていると思います。
※間違っていれば訂正をお願いします。
ちなみに私は、北欧以外のヨーロッパは少子高齢化に苦しんでいると思っていました。
>http://crossacross.org/ky/?Parents+of+newborns+in+France
拝見しました。
合計特殊出生率の議論なので、移民・外国人の寄与というのは、
母親が移民・外国人のケースのみをカウントします。
母親がフランス産まれで父親が移民・外国人のケースは
「移民・外国人の寄与」とはカウントされていないと思います。
リンクした資料にある「片親がフランス産まれで、
もう片親はフランス産まれでない」は、移民・外国人が
父親と母親の両方のケースが含まれていると思います。
|その比率も2000年には8.6%であったものが
|2010年には13.3%まで増加しており、フランスにおける出生率の回復は
|「フランス国籍と移民の間の子」の増加によるものである、
フランス産まれのかたの出生率にかぎると、
1991-98年は1.65、2004年は1.80です。
https://flic.kr/p/yu5X4F
移民・外国人以外の女性の出生率も増えていますよ。
こちらで触れたけれど。
http://taraxacum.seesaa.net/article/425763933.html
|ムスリムに多い本国からの配偶者呼び寄せに起因する可能性をうかがわせる。
エントリにリンクした記事の後半はご覧になりました?
http://d.hatena.ne.jp/fenestrae/20060128
>例えば1980年代にフランス国籍を所得した移民が子供を産んだとしたら、
>フランス人女性として集計されるのですか。
>それとも外国人女性として集計されるのですか?
トゥルモンの研究で参照したフランスの国勢調査は、
「フランス産まれ」か「外国生まれ」かでわけて集計しています。
よって外国で産まれた移民のかたが、フランスに来てから
フランス国籍を取った場合も、「移民・外国人」でカウントされています。
よってご指摘のケースは「移民・外国人」で集計されます。
http://d.hatena.ne.jp/fenestrae/20060128
========
1999年の国勢調査の際にINSEEとINEDによって行われた
大規模な家族履歴調査の結果を用いて、
移民女性の出生率についての数字を示したものである。
調査には帰化によってフランス国籍となったものや不法滞在者をも含まれている。
========
このあたりについて、エントリ中に加筆しておきます。
それからわたしのエントリ中の「自国民」という表現も
紛らわしくなる原因と思うので、書き直しておきます。
>ちなみに私は、北欧以外のヨーロッパは少子高齢化に苦しんでいると思っていました
フランスは21世紀に入ってから出生率の上昇が際立ってきて、
00年代の中ごろから人口政策に関心のあるかたは、
フランスに注目するようになっていますね。
フランスの出生率は現在は2を超えていて、
ヨーロッパではいちばん高くなっています。
https://flic.kr/p/xvYwmX
私の提示いたしました統計は、おそらく http://d.hatena.ne.jp/fenestrae/20060128 の後半部分の議論を踏まえており、あやふやになりがちな出生率のデータを避けて「ある年のフランス国内での出生数」に焦点を当てているのだと思います。それを見る限りは《フランス国籍どうしの子は横ばい》《フランス生まれどうしの子は減少》という傾向と、《フランス国籍者とEU外国籍者の子が顕著な増加傾向を見せている》ということが読み取れ、この定義が明らかで議論の余地が少ない統計をもとに話を進めるのが良いのではないかと思います。
この結果について、《「子供が5人も10人もいる移民の家族」というステレオタイプは一部の例をもとに流布されたイメージにすぎない》ことを踏まえたうえで、フランス人とEU外国籍者のカップルの産児が突出して増えている要因を、移住元の文化的要因で結婚が強制されやすく未婚率が低いのではないか、という推論をしています。これを検証するためには未婚率などの補助データが必要であるとは思いますが。
そこで言っているのは、
1. 移民はフランスに来てから子どもを持つ人が多い。
2. 本国で子どもがいない人が移民としてやってくる。
3. 国勢調査では移民の出生率は、フランスに来てからのみカウントしている。
4. フランスに来る前を含めると、移民の出生率はもっと小さい。
ということです。
ただでさえ寄与の少ない移民の出生率は、適切な計算をすると
もっと少なくなるというのが、トゥルモンの論文での結論です。
あなたのお書きになったエントリは、
トゥルモンの論文で寄与が小さいとした移民の出生率は、
じつはいかに大きな寄与を与えているかを
「立証」しようとしているのではないかと思いました。
トゥルモンの論文をふまえているよというより、
まっこうから反論しようとしていると言ったほうが近いと思います。
http://d.hatena.ne.jp/fenestrae/20060128
なぜかリンクが開きません。
たんぽぽさんはKY's Logさんが引用したデータに疑義があるようですが、どの箇所が間違えていると考えているのですか。
>確認ですけど、フランス国籍を持つ移民の子供はフランス人ですよね
2世、3世は「フランス産まれ」でカウントされますね。
>元移民でフランス国籍を持つ親の子供たちの出生率は、
>フランス人の出生率に影響するのでは?
移民の出生率がフランス産まれのかたの出生率と
差がある理由は、前のわたしのコメントの
========
1. 移民はフランスに来てから子どもを持つ人が多い。
2. 本国で子どもがいない人が移民としてやってくる。
========
ということによります。
リンクしたエントリに
http://d.hatena.ne.jp/fenestrae/20060128
========
一方、13歳以前に移住してきた移民女性の出生率は
フランス生まれの女性の出生率とほとんど変わらないのに対し、
========
という指摘があります。
これらから移民の2世、3世の出生率は、親がそれ以前から
フランス産まれのかたの出生率と変わらないと考えられます。
>http://d.hatena.ne.jp/fenestrae/20060128
>なぜかリンクが開きません。
開きましたけど?
>たんぽぽさんはKY's Logさんが引用したデータに疑義があるようですが
エントリにあるふたつ目の図を見ると、移民の出生数は
1998年: 8.0%程度
2004年: 11.1%程度
となっています。
(数値データが見つからなかったので、図の上にものさしを当てて概算。)
そして全体の出生率は
1991-98年平均: 1.72
2004年: 1.90
フランス産まれの出生率は
1991-98年平均: 1.65
2004年: 1.80
移民・外国人の寄与は
1991-98年平均: +0.07ポイント
2004年: +0.10ポイント
1998年と2004年とで、移民の出生数は3.1ポイント増えていますが、
移民・外国人からの全体の出生率への寄与は、
0.03ポイントしか増えていないです。
全体の出生率が1.72から1.90へ上昇したのは、
ほとんどがフランス産まれのかたの出生率によると言えます。
よって
http://crossacross.org/ky/?Parents+of+newborns+in+France
========
フランスにおける出生率の回復は「フランス国籍と移民の間の子」の
増加によるものである、ということが読み取れる
========
とは言えないと思います。
http://d.hatena.ne.jp/fenestrae/20060128
========
トゥルモンの論文ではその調査期間(1991-1998)以降のことについては
触れていないが、フランス全体の出生率のその後の大きな上昇
(1991-98年の1.72に対し2005年が1.94)と、
一方、移民の出身国の出生率の低下傾向*2を考えると、
フランス生まれの女性の出生率と移民女性の出生率の差、
後者の全体の出生率に対する寄与の割合は、
さらに小さくなると考えて安全だと思われる。
========
と考えるほうが妥当でしょう。
図3において、フランス移民の2世、3世‥の出生率はフランス人としてカウントされているのですか、そうではないのですか?
http://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2004_11/france_01.html
>外国で生まれ、出生時にフランス国籍を持っていなかった人」――これが、フランスにおける移民の定義である(国立統計経済研究所)。つまり、出生地と国籍の届出によって、移民か否かが決まるということになる。
ですので、フランス国籍を持つフランス移民の2世・3世はフランス人となるようです。
たんぽぽさんはフランス人をフランス国籍を持つ人と考え、KY's Logさんはその出自から考えているのでしょう。これでは議論がかみ合わなくて当然です。
こちらですか?
この図でも2世、3世は「フランス産まれ」でカウントされますよ。
https://flic.kr/p/xyGCHH
http://www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/data/pdf/18529304.pdf
出典がINSEEとINEDですから、こちらのエントリで紹介している
トゥルモンの研究と同じデータを使っていると思います。
出自の区分のしかたも同じでしょう。
http://d.hatena.ne.jp/fenestrae/20060128
>たんぽぽさんはフランス人をフランス国籍を持つ人と考え、
>KY's Logさんはその出自から考えているのでしょう
わたしはここでの議論は、「フランス産まれ」か
「フランス産まれでない」かで区分しています。
これはKY's Logさまもそうだと思います。
よって議論が噛み合ない原因は、ご指摘のことではないと思います。
フランス産まれの出生率: 1.80のデータには、フランスで生まれた移民2世・3世女性も含まれています。ですので、
>移民・外国人以外の女性の出生率も増えていますよ。
Posted by たんぽぽ at 2015年09月13日 11:26
という主張が、フランス国籍の親の寄与で出生率が増えている可能性を否定できていません。
http://crossacross.org/ky/?Parents+of+newborns+in+France
この記事に対して、たんぽぽさんはこう書いています。
>1998年と2004年とで、移民の出生数は3.1ポイント増えていますが、
移民・外国人からの全体の出生率への寄与は、
0.03ポイントしか増えていないです。
全体の出生率が1.72から1.90へ上昇したのは、
ほとんどがフランス産まれのかたの出生率によると言えます。
こちらも同様です。フランス生まれの出生率データには、フランス国籍を持つ移民2世‥も含まれています。次の記述は重要です。
>またフランス国籍と移民の間の子の内訳を詳細に見ると、フランス国籍の妻とEU外の夫が44%、フランス国籍の夫とEU外の妻が41%、フランス国籍の妻・夫とEU内の夫・妻の間の子が15%となっている。この数字は、「フランス国籍と移民の間の子」が自由恋愛により出生した可能性が低いことを意味する。
社会保障が充実したフランスの国籍を取得した移民が、EU外から配偶者を呼び、結婚している状況が分かります。このフリーライダーによって、移民に理解のあるフランスでも反移民感情が強くなっているようです。
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2014_5/france_01.html
>フランス生まれの出生率データには、フランス国籍を持つ移民2世‥も含まれています
1. 移民2世、3世はもとからのフランス産まれより出生率が高い
2. よって「フランス産まれ」の出生率は、移民2世、3世が押し上げている
と言いたいのかな?
1. に関しては、移民1世でさえ
http://d.hatena.ne.jp/fenestrae/20060128
========
一方、13歳以前に移住してきた移民女性の出生率は
フランス生まれの女性の出生率とほとんど変わらないのに対し、
========
ですが?
2世、3世ならなおさら、もとからのフランス産まれと同じでしょうね。
http://crossacross.org/ky/?Parents+of+newborns+in+France
========
またフランス国籍と移民の間の子の内訳を詳細に見ると、
フランス国籍の妻とEU外の夫が44%、フランス国籍の夫とEU外の妻が41%、
フランス国籍の妻・夫とEU内の夫・妻の間の子が15%となっている。
この数字は、「フランス国籍と移民の間の子」が
自由恋愛により出生した可能性が低いことを意味する。
========
「意味する」とは言えないですよ。
単純に人口比の問題があります。
EUからの移民は3割、非EUからの移民は7割程度です。
「人の移動」ということについて言えば、
EU市民はフランス以外のEU加盟国への移動がしやすいけれど、
非EUのフランス移民なら出身国はフランスと政治的経済的に
結びつきがあった旧植民地が多いから、フランス以外のEU加盟国には
縁が薄いということもありそうです。
ほかの要因がいくつも考えられそうなのに、
「自由恋愛により出生した可能性が低い」なんて、
なにを根拠にそんなことが言えるのかと思います。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/9020.html
現在のフランスでの移民人口から考えて、移民の2世3世女性はフランス人女性よりも出生率が高いだろうと私は考えています。残念ながら裏は取れませんでしたが、私としてはどちらでもよく、フランス国籍を持つ移民とその配偶者カップルの出産が増加している事実が掴めればOKです。それとも、このデータは捏造なんですか?
http://crossacross.org/ky/?Parents+of+newborns+in+France
自由恋愛であるか否かはケースバイケースでしょうが、フランス国籍を持つ独身者は、移民国の配偶者候補にとって魅力的だとは思います。ブログ主が考えるような強制結婚がなされているのかもしれません。
>2008年データによるとフランス全体の4分の1以上になるようです。
>http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/9020.html
それは以下の記述ですか?
========
また、移民2世による出生を含めると、フランスとオランダでは、
全出生の4分の1以上がやはり移民女性によって占められている
========
これは「出生数」であって、「出生率」ではないのではありませんか?
このエントリに出ているふたつ目の図によると、
片親もしくは両親がフランス産まれでないかたの
「出生数」は2012年の場合20%近くあります。
http://crossacross.org/ky/?Parents+of+newborns+in+France
よって2世まで含めた移民の「出生数」が25%というのは、
おかしな数字ではないと思います。
>このデータは捏造なんですか?
>http://crossacross.org/ky/?Parents+of+newborns+in+France
ねつ造だなんて言っていませんよ。
現にわたしは(2015年09月18日 19:09)のコメントでは、
そのエントリに出ている図を使って議論しています。
求めたい出生数(この場合は移民2世を含めた移民の出生数)を全体の出生数で割ったら出生率でしょ?しかし、合計特殊出生率と区別しにくいのも事実ですね。「全出生数に占める移民2世を含めた移民の割合」としましょうか。それが25%以上です。
たまごどんは「日本にも移民が必要だ」という命題について調べたことがあり、そのときの結論は「移民を受け入れるメリットよりも、社会構造が劇的に変ってしまうデメリットの方が大きい」というものでした。国籍取得で自国民と見なすフランス(それだけ移民に慣れている)でさえ、移民社会との軋轢は高まっています。
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2014_5/france_01.html
リンク先から少し引用します。
>また、入国理由別の人数を見ると、就労を前提としない「家族移動」(これはフランス人の家族、婚姻のための入国及びフランスに滞在する外国人の家族再統合を意味する)の入国者数が、就業を目的とする「経済的移動」の人数を著しく上回る(図表4)。
この図は2007年からの数値しかなく、トゥルモンが調査した2004年データは記載されていません。調査当時には問題でなかったフランス国籍者と移民との出生率が、2015年現在は社会不安を招くほどに問題になっています(KY's logさんが示したグラフ)。議論はしていませんでしたが、リンク先の情報だと、フランスの不法滞在者も増えているようです。
移民が増えることでのリスクは、いわゆる「底辺への競争」の激化、一部地域のスラム化と犯罪の増加などです。未来に希望が持てない層から、IS思想に共鳴するメンバーが出てくるという新しいリスクも考えなくてはならないでしょう。
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2013_2/france_01.html
>全体の出生数で割ったら出生率でしょ?
>しかし、合計特殊出生率と区別しにくいのも事実ですね
ここでの議論は全部「合計特殊出生率」ですよ。
ひとりの女性が一生に産む子どもの平均数です。
合計特殊出生率以外の出生数を使うことはめったにないので、
とくに断わりなく「出生数」と書いていますが。
ここで問題にしているのは、移民・外国人がフランスの
出生率を高めるのにどれだけ寄与しているかです。
移民・外国人の出生率が、フランス産まれのかたの出生率と大差なければ、
移民・外国人の人口比や出生数がいくら多くなっても、
全体の出生率は引き上げられないです。
それを確かめたのが(2015年09月18日 19:09)のコメントです。
2004年の時点では、移民・外国人が全体の出生率を
たいして高めていない、というのが結論です。
・フランスではフランス国籍を所得した移民2世以降はフランス人としてカウントされる。
・KY's logさんが示したグラフには根拠があり、移民2世以降は、出身国から配偶者を得て、子供を産んでいるケースが増加している。
・2世まで含めた移民および元移民の出生数は、全体出生数の25%以上を占める。
・2004年までの時点における移民の出生率は、フランス全体の出生率にあまり寄与していない。
間違いがあればご指摘をお願いします。
>移民・外国人の出生率が、フランス産まれのかたの出生率と大差なければ、移民・外国人の人口比や出生数がいくら多くなっても、全体の出生率は引き上げられないです。
うーむ、「大差ない」という時点で間違えていると思いますが。そもそもたんぽぽさんの主張は、「移民とフランス人の出生率に差があっても人口構成比が大きく異なるから、全体の出生率への寄与は少ない」だったのでは?
KY's logさんのグラフでは2010年までしかありませんが、フランスの移民構成比は着実に増えていることが分かります。フランスは移民に乗っ取られつつあると主張する国民戦線が民意となるほどに、フランス人は移民問題に苦慮しているというのが、たまごどんの見解です。
これは失礼しました。
「大差ない」と考えられるのは2世、3世でしたね。
>「移民とフランス人の出生率に差があっても人口構成比が大きく異なるから、
>全体の出生率への寄与は少ない」
(2015年09月18日 19:09)で確かめたのはそれでした。
ご指摘ありがとうございます。