2015年09月19日

toujyouka016.jpg 22歳妊娠適齢説が批判される(2)

9月18日エントリで、文部科学省の副教材に出てくる
「22歳妊娠適齢説」の図が間違っていることをお話しました。

副教材に載せられている「妊娠しやすさ」のグラフと、
出典だとされているオコナーの論文に出てくる図とで、
曲線が若干違っているのではないかと思ったかたもいると思います。

「文科省「22歳をピークに女性の妊娠のしやすさが低下」
のグラフ、元論文と食い違い?」

(はてなブックマーク)
「文科省副教材「22歳をピークに女性の妊娠のしやすさが低下」
のグラフは正しいか?」

(はてなブックマーク)

 
最初に「22歳妊娠適齢説」が話題になったとき検証されたのは、
文部科学省の副教材の図に出ているカーブと、
オコナー論文の図のカーブが一致しないことだったのでした。

女性の妊娠のしやすさの年齢による変化

Apparent fecundability


重ねてみると、文部科学省の副教材のグラフの曲線は、
オコナーの論文のグラフの曲線より、ピークの22歳を過ぎたあたりから
小さめの値を取っていることがわかります。

加齢とともに実際よりも妊娠しにくくなる方向への
エラーだったので、女性に妊娠や出産を即すよう、
圧力をかけようという意図があるのではないか?
という疑惑が持たれることになるわけです。


シノドスの記事で挿入されている、
http://synodos.jp/education/15125
(注)グラフについては、横軸年齢区分やカーブの傾きが
その前の論文(Bendel & Hua 1978)と微妙にずれていること等が
その後判明するのだが、ここでは触れない。
という注は、このカーブの不一致のことでしょう。

「性交頻度の寄与を含むみかけの受胎確率」を、
性交頻度に関係ない「医学的」な「妊娠のしやすさ」とするという、
もっと深刻かつ本質的な間違いが見つかったので、
カーブの不一致はこれと比べたらさほど重要でないとして、
触れないことにしたものと思います。

posted by たんぽぽ at 16:06 | Comment(2) | TrackBack(0) | 疑似科学(にせ科学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
そもそも「で?」って感じですね(^^ゞ
22歳が一番妊娠しやすいいから、なんだよ、って。
子供って産んで終わりじゃないんです、成人するまで20年かかるんだよ、わかってるってかんじで。

 22歳の女子と考えれば、相手の多くは同世代、今の進学率を考えれば学生も多いし、もし、社会人でもせいぜい社会に出て数年です。
 それで夫婦で子育て出来る環境が整ってますか?

 全く、データの偽装までしてなに考えてるんだろ?
Posted by イカフライ at 2015年09月19日 23:32
イカフライさま、
このエントリにコメントありがとうございます。

>そもそも「で?」って感じですね(^^ゞ
>22歳が一番妊娠しやすいいから、なんだよ、って

だからどうしろというの?と思いますよね。
いまの一般的なライフスタイルでは、
22歳に出産なんてほとんど無理ですし。

40代になると妊娠が難しくなることを言いたいのなら、
こんな方法による必要はないでしょうし。

この副読本は有村治子が推進しているものだし、
http://taraxacum.seesaa.net/article/405006431.html
データの改変まであれば、「女はキャリアを持たずに
さっさと子どもを産めとでも言いたいのか?」と
思いたくなるかたもいるだろうと思います。
Posted by たんぽぽ at 2015年09月20日 08:17
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