2015年09月22日

toujyouka016.jpg 受験に恋愛は無駄なのか?

すごいかたがいらっしゃるものです。
息子さん3人を東京大学理科3類に入学させた「お受験ママ」です。

「息子3人を東大に入れた佐藤ママ「受験に恋愛は無駄です」」
(はてなブックマーク)

「「受験に恋愛は無駄」息子3人を東大理Vに入れた母の方針に賛否両論 
ただし息子3人は男子校」


自分は母親としてなにをしたか、子どもを受験で成功させるには
母親はなにをしたらよいかを、本にまで書いています。

『受験は母親が9割 灘→東大理Vに3兄弟が合格!』

 
いろいろと批判したいことはあるだろうと思います。
たとえばこんなふうにです。




わたしがここで問題にしたいのは、記事の見出しにもある
「受験に恋愛は無駄です」のくだりです。
お受験ママのかたは、このように語っています。

佐藤:受験に恋愛は無駄です(会場笑)。
1日は24時間しかありません。女の子とスタバで2〜3時間、お茶する。
年1回ならいいですよ。けれど10回あれば30時間! 
その時間があれば参考書が1冊終わります。
恋愛している場合ではないことを教えましょう。

「恋愛は時間の無駄」なんて言い出したら、
なにをしていてもそうなるのではないかと思います。
締め切りに追われる仕事をしているかたは、
みんな恋愛を禁止にする必要が出てくるのではありませんか?
なぜ受験だけ特別扱いされるのかと思います。


子どもにいちばん効くのは、先輩の失敗談です。
灘のお母さん方から「○○先輩は遊んでばかりで2浪した」
「彼女がいる△△先輩は、医学部をあきらめたらしい」と聞くたびに、
ぜーんぶ話して聞かせていました。

和田:おっしゃるとおり。
「男前じゃなくても、医学部に受かったら彼女ができる、
良いことがある」と持っていったほうが良い。
恋愛だけじゃなく、いいものは努力して勝ち得るほうが人を成長させます。
実際、医学部に行けばモテます(笑)。

恋愛していたせいで受験に失敗した子のお話が
いくつもあるので、息子さんたちに聞かせたと言っています。
そういう失敗談ばかり選んでお話していたら、
そういうことにもなると思います。

恋愛して大学に受かった子もたくさんいると思いますよ。
恋愛は自分と向き合い、自分を磨き、目標に向かって自分を高める
強いモチベーションとなりうるからです。
世の中にはそういうタイプの人もいます。
「恋愛=勉学のリソースを奪う」と決まってなどいないです。
「受験に恋愛は無駄」なんて決めてほしくないですね。



それにしても「恋愛=勉学のリソースを奪う」なんて、
ステレオタイプなイメージのかた、いまだにいるのですね。
思っているだけでなく実践までするからすさまじいです。
どれだけ時代錯誤なのかと、わたしは思いましたよ。

受験やスポーツで禁欲主義を持ち出す人は、
恋愛をご法度にしたがる傾向があると思います。
ひとむかし前の校則の厳しい高校や中学は、
恋愛を禁止にしているところも、結構あったのでした。
(いまはどうなのだろうか?)

こういう人たちは、恋愛をどこか「浮ついたもの」
「軽薄なもの」と、考えていることもありそうです。
勉学なりスポーツなりの「道を極める」ということへの
硬派なイメージに反すると感じられることも、
恋愛をご法度にしたがるゆえんだろうと思います。


太平洋戦争中の日本は、男女で仲良く歩いていると、
憲兵がやってきて非国民呼ばわりしたのでした。
「兵隊さんたちがお国のために血を流しているのに、
お前らはなにを遊んでいるのか!」ということです。
禁欲主義のもと恋愛をご法度にするのは、ファシズムのような
危険思想と親和性があることは、注意したほうがいいと思います。

ヒトラー・ナチスは恋愛をご法度にする発想はなかったです。
(ドイツ人とユダヤ人の恋愛はご法度にしましたが。)
かかる反恋愛主義は、ファシズムの一般的特徴ですらなく、
日本の禁欲主義だけに見られる特徴ではないかと想像します。

posted by たんぽぽ at 18:55 | Comment(10) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
私、この人の話を知った時「昔の漫画に出てくる昭和の教育ママ」みたいな人がいまどきいるんだ!と驚きましたわ。
で、ちょっとググってみたんですが。
単に「恋愛は無駄」だけじゃなく、他にも
「家事手伝いはさせない、生活スキルはいつでも身につけられるが勉強は頭が柔軟な時期じゃないとダメ」とか
「スケジュール表を作って生活時間を管理」とか
なんかいろいろモニョルところが多いです。
なにより、これ、問題だと思ったのは、願書の志望動機を母親が書いて、子どもにはそれを清書させるだけということね。

 …なんかさ。
 人間を学歴だけで評価するわけではないですが、基本的には高学歴の人はそれに比例して頭が良い筈ですし、それは大局では外れていません。
でも、時々、学歴もその後の経歴も錚々たるものなのに「アホか、こいつ?」と思えるような人っています。
(具体例を挙げれば、ネトウヨのデマをコロッと信じる片山さつきとかねw)
 そういう、なんで頭良いはずなのにバカなんだろうって「考えない」んですよね。
 考えないというか、悩まないというのかなあ。

 
 この母親の育て方をみると、そういう良いとこ出のバカって、こういう環境で育つのかとなんか納得できました。
 息子さんたちがそうだ、というわけではありませんよ。
 ただ、そうなる可能性が大きい。
 常にリビングに勉強机を置いて、苦手な箇所やつまずいたところは、母親がチェックし、その克服方法を教えてあげる。
 家事手伝いをさせず、それどころか、靴下まではかせてあげて、受験会場の前まで母親が着いて行く。
 無駄なものを一切排して受験勉強に専念できる環境を整えた!とドヤ顔で自慢したいのでしょうけれど、こういう母親の元で育った子どもって
「なぜ?
と考える習慣が持てないんじゃないかと。
 自分はなぜ受験するのか?
 どうして東大の、どうして理Vを目指すのか?
 自分は、将来どんな道に進みたいのか、もっといえば、どんな人間になりたいのか?
 そこで、自分以外の人間の気持とか事情とかを考えたり、共感したりすることが出来るようになるんですよね。
 それが欠落しているから、ものごとがなぜどうしてそうなるのか?人がどんな状況でどんな思考をし行動をするのかが解らない。
 

 理Vって、医学部ですよね、つまり、将来医者になるわけです。
 医者、と一言で言っても、研究面に進む場合もあるでしょうが、もし、臨床医になるとすると。
 患者さんとの対峙は、生身のコミュニケーション、しかも、命という究極の状況でのやりとりです。
 医者を目指す人って、そりゃ、家が医者だからとかいう人も多いでしょうけれど、どこか「命を救いたい」とかいう気持があるもんじゃないのかなあ?
 これは、半分は私の願望もあるでしょうけれど。
「だれだれ先輩は女の子と付き合ったから受験に失敗した」
を「失敗」とだけしか受け止められない人間が将来命を預かる仕事について、例えば終末期の患者さんやその家族に接する時、
「もう、生きてるの無駄ですから」
とか言っちゃいそうでこわいわ。

 あと、ここの家、テレビを見ないというけれど、果たしてニュースとかどの程度、子どもは知っていたんでしょうかね?
 嫌、常識的教養として情報としては知っていたかもしれないけど、「原発は再稼動すべきか、廃炉にすべきか?」
なんて考えるのは「受験の無駄」とか言いそうじゃん、このお母さん。

 そういう人が政府の大本営を頭から信じるバカになりそうだ。
Posted by イカフライ at 2015年09月22日 23:39
イカフライさま、このエントリにコメントありがとうございます。

>「昔の漫画に出てくる昭和の教育ママ」みたいな人が

わたしも同じようなことを思ったです。
そこにも時代錯誤を感じますよね。
30年くらい前の世界から抜け出してきたの?みたいな。

いまのお受験は冷戦崩壊の前後ほど熾烈ではないでしょうけど、
一流大学はやはり「狭き門」でしょうから、
「お受験ママ」も成り立つのだろうとは思います。

>問題だと思ったのは、願書の志望動機を母親が書いて、
>子どもにはそれを清書させるだけということね

書類書きもお勉強のうちなのですよね。
受験勉強をやっていると、気がつきにくいのかもしれないですが。
子どもが自分で書いて親が添削するなら、教育的配慮はあると思います。
親が代筆したらむしろ悪影響ですね。


>時々、学歴もその後の経歴も錚々たるものなのに
>「アホか、こいつ?」と思えるような人っています。

>この母親の育て方をみると、そういう良いとこ出のバカって、
>こういう環境で育つのかとなんか納得できました

いわゆる「学校秀才」ですね。
「戦争に行きたくないのは利己的」発言のかたもそうですね。
https://twitter.com/takaya_mutou/status/626788645379280896

程度の差はあると思いますが、それこそ絵に描いたように
きわだった「学校秀才」なんて本当にいるのか、
フィクションのお話ではないのかと、わたしは思っていたのですよね。
「実例」と呼べそうな人たちを見て、
いることはいるんだと、ちょっと納得してきています。

お受験がいちばん熾烈だったのは、団塊ジュニアが
受験生だった冷戦崩壊の前後でしょうけれど、
彼らが40代になって、社会の第一線で活躍するようになって、
弊害が見えてきたような感じです。

問題の「お受験ママ」の3人の息子さんたちが、
本当にそういう「学校秀才」かどうかは、わたしにもわからないです。
「お受験ママ」のような親の環境のもとでなら、
「学校秀才」になりやすいとは言えそうですね。


>理Vって、医学部ですよね、つまり、将来医者になるわけです

医学部は偏差値が高いので、勉強はよくできるけれど、
それこそ「他者の気持ちや事情を考えたり共感したり」とかが
できない人が入ってくる、なんて議論はむかしよくされましたね。
いまもこの議論は当てはまる現状があるのかな?

ちなみにお医者になりたいからではなく、
「受験ゲームの勝者」になりたくて、
医学部を志望する人も、むかしは結構いましたね。
なぜ医学部に入ると「勝者」なのかというと、
偏差値の高いところを突破したからですね。
Posted by たんぽぽ at 2015年09月23日 15:31
 しつこいようですが(^^ゞ

 もうひとつ思ったのが、このお母さんの育て方で一番かけているのが「失敗から学ぶ」ということですね。

 「受験に恋愛は無駄、だれそれ先輩はカノジョが出来たから東大に入れなかった。高校時代に恋愛しなくても、東大理Vならモテる」

 と教えられて、いざ大学に入ってカガールフレンドが出来ても、もしかしたらうまくいかないかもしれない。
 もっと偏差値の低い大学の男の子のほうを好きになってしまうかも知れない。
 いくらでもある話ですよね。
 そういう時にどう受け止めてよいのか、気持を整理するのか?
 常に母親が先回りして、万全の環境をあらかじめ整えてそれを当たり前として18年間生きてきた人間には、理屈や合理性に合わないことって、受け入れるの難しいんじゃないかなあ?

 あと、灘出身ということは関西ですよね。
東大は東京にあるから、息子さんたち今は家を出て下宿生活だと思うんですが(それで、教育ママ業が暇になったんで、ドヤ顔してマスコミに出てるんでしょうけど)家事手伝いを一切教えず、勉強さえしていればママの美味しいご飯が出てきた家から、1人暮らしはきつそうだと思うんだけど、そのあたり大丈夫かしら?と余計な心配しちゃいます(^^ゞ

 まあ、10年後が楽しみですな。
Posted by イカフライ at 2015年09月23日 19:10
またまたコメントありがとうございます。

>しつこいようですが(^^ゞ

いえいえ、遠慮なくコメントどうぞです。


>いくらでもある話ですよね。
>そういう時にどう受け止めてよいのか、気持を整理するのか?

気持ちが整理できないと、「ろくでもないやつのほうがもてる」
なんておかしな確信をする可能性がありますね。
そうやって「非もて」になったり、さらにこじれると
「恋愛工学」の信奉者になったりするのだと思います。

男の子は自分のために努力できるし、
基本的に「努力は報われる」という世界ですよね。
それで「他人の気持ち」という、自分の思い通りにならないものに
直面したとき、「自分は努力したのだから報われないのは
自分以外のなにかが悪い」と責任転嫁して、「非もて」になるのだと思います。
http://bit.ly/1iZfxqW

親に道を整備してもらった男の子でしたら、
なおさら自分の思い通りにならないものに直面したとき、
それを受け入れがたくて、責任転嫁して「非もて」化する
リスクが高いのではないかと、わたしは思います。


>東大は東京にあるから、息子さんたち今は家を出て下宿生活だと思うんですが

大学に入ったら親元を離れて暮らすようになった
というのは、まだ救われているかもしれないです。
「ごはんは自動的に出てくる」幻想もなくなるでしょうし。
http://lacrima09.web.fc2.com/teardrops/surround/automatic.html

大学に入っても実家にいて、「お受験ママ」といっしょだと
ちょっと大変なことになっているかもしれないです。
Posted by たんぽぽ at 2015年09月23日 21:04
こんなに撤底してるのに、なんでご本人は津田塾なんだろう、、、イヤ、充分頭いいですけどね。
そして、なんで東大男をゲットできたのかしら、そのスペックで。
くだらないけど疑問がわいてきた。
Posted by うがんざき at 2015年09月24日 19:31
コメントありがとうございます。

>こんなに撤底してるのに、なんでご本人は津田塾なんだろう、、、

自分が受験するのと、他人の受験指導するのとは違う、
ということなのでしょう。

>なんで東大男をゲットできたのかしら、そのスペックで

「受験秀才」を積極的に産み出すという人は、
東大出身者が忌避する要因にはならないのかも。
Posted by たんぽぽ at 2015年09月25日 21:50
たんぽぽさん
なんというか、時代的に、この方は女性として抑圧さあれたのかなあと想像してしまうのですよ。

ほんとはもっと難関大学にいけるオツムがあっただろうけど、女子大で、本人としての等身大で合格できるところ。それとも第一志望の国立は落ちてしまって滑り止めに行かざるえなかったのか。
卒業後も就職は銀行と、ずいぶんとフツー。まあ入ってみたら当時は女性なんてお茶くみで絶望したかもですね。しかも2年で退職。

なんというか、保守的な女性観で自分にブレーキをかけながらきたくせに、自分が成し遂げられなかったはかりしれない悔しさがあって、それを子供にモーレツに託してしまったのかしらん、と私は妄想する。

津田塾なら合コンは一ツ橋の男性だろうけど、いや、私は違うのよって。ビジュアルも含むスペック的にも、どうやって出会い、ゲットしたんだろう。銀行じゃないだろうし。
自分の息子に受験期は恋愛をご法度にして、東大に行けば彼女はいくらでもゲットできるからと伝授してるけど、まさに、その女性側の立場だったわけですよね。
ドン引きするような執念を感じてしまうのですよ。

まあ、ベストセラーとなり、世の注目を浴びるほどの今自己実現を達成しえたわけですから、良かったと思いますが。
Posted by うがんざき at 2015年09月26日 07:47
またまたコメントありがとうございます。

>時代的に、この方は女性として抑圧さあれたのかなあと想像して

>自分が成し遂げられなかったはかりしれない悔しさがあって、
>それを子供にモーレツに託してしまったのかしらん

その可能性もありそうですね。
自分が果たせなかった夢を、子どもたちに託すというのは、
抑圧された女性であればありそうです。

>東大に行けば彼女はいくらでもゲットできるからと伝授してるけど、
>まさに、その女性側の立場だったわけですよね

自分はまさに東大の男性に惹かれたのだから、ということですね。
自分がサンプルというのは、説得力を持たせるのに効果的ですね。

結婚相手に東大出の男性を選んだのも、
自分が抑圧されたがゆえ、ということもありそうですね。
自分が夢を果たせなかったので、結婚相手に託す、
というパターンでしょうけれど。


こうして見て来ると、くだんの「お受験ママ」も被
害者ということになりそうですね。
自分は自身のために生きられなかったので、
夫や息子たちのために生きる、ということなのですから。
Posted by たんぽぽ at 2015年09月26日 14:04
色々このお受験ママは批判を受けている人ですが、「受験に恋愛は有害」という話はあながち間違っているとは思えないです。(特に男子については)
数学者の秋山仁さんの、「オロカ者の定義」という本を読んだことがあります。そこには、秋山さんが受験生のカップルを観察していて見つけた傾向が記載されてました。
受験生のカップルで一番多いのは「両方不合格」二番目は「彼女だけ合格」らしいです。「彼氏だけ合格」「両方合格」というパターンはあまりないということでした。結局の所、高校生はまだ精神的に大人になりきっていないので、恋人ができてしまうと他のことに手がつかない状態になってしまうかことが多いらしいです。要するに自制心が無いということです。(特に男子は)恋愛が受験にプラスになる人もいるにはいるけど、男子の場合だとマイナスに働いてしまう人が圧倒的に多いようです。
佐藤ママの子どもは三人とも男の子らしいので、恋愛をしていたら受験に支障が出ていた可能性は高かったでしょう。
実際の所、恋愛なんて大学に入ってからもできます。(本人にその気があれば)それに、医者になりたいのであれば、まず医学部に合格しないと話にならないわけです。なので医学部に合格するまでは、受験の支障になりそうなことはシャットダウンするのも有効な手段なのではないかと思います。(もちろん過度な制限はだめですが)息抜きも必要だとは思いますが、それは同姓の友達と遊びに行くというのでいいのではないかと思います。
Posted by マルクス at 2017年04月22日 01:51
はじめてコメントなさるかたは、
あいさつと簡単な自己紹介は欲しいですね。

自分にとって受験に恋愛は有害だと思うなら、
自主的に控えればいいだけのことだと思います。

恋愛は受験に有害かもしれないし、
関係ないかもしれないし、有益になるかもしれない。
人によっていろいろなケースがあるのに、
一律に「恋愛は受験に有害に決まっている」と
決めつけて禁止するから、批判されることになります。


>受験生のカップルで一番多いのは「両方不合格」
>二番目は「彼女だけ合格」らしいです。
>「彼氏だけ合格」「両方合格」というパターンはあまりないということでした

そのお話は知っていますよ。
わたしも経験的に感じていることです。

でも受験生の恋愛の相手も受験生とは限らないですよ。
Posted by たんぽぽ at 2017年04月22日 22:08
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